Showの舞台裏


「総会の議題に挙げる前にある程度生徒の考えを知っておきたい。とはいえ、いきなり生徒全員に大々的に伝えると教職員の耳にも入り、反発が起きかねない。内密に生徒たちの考えを知る必要があるが、何かいい案はあるかな、高世さん」

「そうですね…。あ、こういうのどうですか」

 高世が渡瀬に耳打ちする。渡瀬が笑みを浮かべた。

「実は僕もそう思っていたところだ。よし!それでやってみよう」

 翌日全クラスにアンケート用紙が配布された。内容は「応援歌練習は続けるべきか、否か」。担任に知られないよう、高世と渡瀬、そして生徒会メンバーや翔が協力して朝早く全クラスに配ったのだ。生徒たちは自分の見解を書いて放課後、担任が去ってから各々教卓の机に出す。そして30分ほど経ったのち、また高世たちが回収に向かった。回収したアンケート用紙を生徒会室で集計し終わったのは午後7時を過ぎてからだった。

「まさか、ここまで生徒たちが思っていたとは…」

 渡瀬は驚愕を禁じ得なかった様子。

「生徒のみんなも心の中では俺や会長と同じことを思っていたんですね」

 高世は嬉しそうに言った。渡瀬が生徒会メンバー全員に呼びかける。

「よし!来月には生徒総会がある。その最後の議題としてこの『応援歌練習』についてあげるかな!」

 その場にいた生徒会メンバー全員が『はい!』と言った。その時、渡瀬が高世に思いがけないことを言った。

「高世さん、今までこの活動の推進に1番力を尽くしてくれたのはあなたです。生徒総会での生徒会側としての見解をあなたの口から発表していただきたい」

「え!?まじですか?」

 高世は素っ頓狂な声を上げた。

「覚悟決めたんだろ?」

 隣にいた翔が笑いながら言った。しばし、高世は悩んだが、やがて

「分かりました!全力でやらせていただきます!!」高世は元気に言った。

「あっ、でも大丈夫なんですか?自分で言うのもなんですが、一つだけ懸念があって…」高世が不安そうに言う。

「なんですか?」

「仮に総会で賛成多数で可決しても教職員や十川家がもし認めなかったら…」

 それを聞いた渡瀬は高世の不安を笑い飛ばした。

「その件なら心配しないで。僕に1つ秘策がある」

 高世をはじめ、渡瀬意外みんなぽかんとしていた。

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