気づき、そして出発!!

…その時

「会長!」「渡瀬さん!」

 気づいた渡瀬が驚いた様子で声の方を振り向いた。そこにいたのは生徒会メンバーたちだった。

「みんな…」

「会長すいません。俺たち会長の悩み知っていながら助けになることができませんでした。」

 岡田が言った。

「心のどこかで会長の仕事なんだからとか、自分達の範疇じゃないとか思ってたのかもしれません。」

 彼の言葉には彼のみならずメンバー全員の後悔、懺悔、悲しみ、切なさ、あらゆる思いが染みていた。

「でも、高世がここに来て会長に提案してるのを聞いてて思ったんです。なんで高世はなんの義務もないのに、誰にも頼まれてないのにこんなことをするんだろうって。メンバー全員と話し合って分かりました。彼は自分の信念に従って動いているんだって。後先考えずに突っ走り気味なのはマイナスかもだけど、今の俺たちには彼のような積極的な姿勢が必要なんじゃないか。会長、思い出してください!1年前のあなたの情熱を。あなたがその気なら俺たちはついていきます!会長、あなたはどうしたいですか?」

 渡瀬は瞑目したまましばらく動かなかった。その場にいる全員、渡瀬の真意に注目している。やがて…

「そうだな… 」

 こう呟き、そして岡田たち、生徒会メンバーの方を向いて、

「みんなありがとう。僕は助けられっぱなしだ」

 渡瀬は苦笑しながら感謝を述べた。その後、高世に向かって、

「君の言う通りだ、高世さん。どうやら僕は臆病者だったみたいだな。会長である僕が臆病では生徒たちもついてきてはくれない。僕が勇気を覚悟を見せなければ。僕には頼れる仲間もいるしな。高世さん、君も僕に力を貸してくれるか?理想を実現するためには君の力が僕、いや天下高校に必要だ!」

「もちろんです!」高世は力強く頷いた。

「俺たちも忘れちゃいけませんよ!」生徒会メンバーたちも気力十分だ。

有志たちが心を一つに集結した瞬間だ。

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