第2話
数日後、高校生の恵子は清範と遊んだりSNSをいじったりして日々を過ごしていた。悪いことをしていたので追っ手から逃げるために神栖市にやって来たのだった。
東は太平洋(鹿島灘)に面し、南は利根川(常陸利根川)が流れる。かつては広大な面積の池「
隣接する鹿嶋市とともに鹿島臨海工業地帯を形成する。鹿嶋市・潮来市・鉾田市・行方市とともにJリーグ鹿島アントラーズのホームタウンである。
以前は農業と漁業が中心の「陸の孤島」と呼ばれた非常に貧しい地域であったが、1960年に始まった鹿島開発によって、掘込式人工港「鹿島港」を核に、鉄鋼・石油を中心とした重化学コンビナートが形成された。現在も工場立地企業からの税収が財政を支えている。このため、鹿嶋市との広域市町村合併構想については、自主財源の確保を理由の一つとして、反対であった。
波崎区域はアウトドアスポーツを観光の中心に据えており特にサッカー合宿が盛んである。
2003年には、有機ヒ素化合物で汚染された井戸水により、住民がヒ素中毒を起こした事件が各メディアで報道され全国的に知られるようになった。環境省は、2007年にこの原因が当初言われていた旧日本軍の化学兵器説ではなく、近年に不法投棄された産業廃棄物に含まれた有機ヒ素化合物による可能性が高いと結論づけた。なお、住民は2006年7月24日に公害等調整委員会に対して国・県の責任を認める裁定を下すよう申請を行った。
そんなある日、何者かによる大規模なハッキングが原因で、神栖市に暮らす人々のネット利用状況が明るみに出てしまった。プライバシーを侵害された神栖市の人々は怒り狂い、魔女狩りを思わせるような犯人捜しが横行した。その結果、町全体が大混乱に陥った。
しばらくして、ハッカーのIPアドレスと恵子のそれが一致していることが判明した。住民たちは恵子を犯人と決めつけ、彼女を殺害しようとした。恵子は清範と協力して、狂気に堕ちた住民たちとの戦いに臨むのだった。
6月5日 - 村上ファンドがインサイダー取引したとして、村上世彰代表を証券取引法違反の疑いで逮捕。
深夜、稲荷山の方から妙な鳴き声が聞こえてきた。
「清範、私怖いよ」
恵子は清範を背後から抱きしめた。
「もしかしたら狐のお告げかも知れない」
清範は各地に伝わる伝説に詳しかった。「女教師が当直で学校に残っていたら鳴き声がして3日後に火事が起きたそうだよ」
6月8日 - 住生活基本法が公布・施行される。
火災が午後10時頃発生した。現場は港公園近くにある木造アパートだ。
🔥🔥🔥🔥
火災の焼け跡から吉田華の遺体見つかる。
建物火災、車両火災などでは、密室のため有毒ガスが蔓延し、炎が人体を損傷させる前に意識を失わせることが一般的なため、焼死の死因は有毒ガスによる有害作用であることが多く、焼損が直接の死因であることはフラッシュオーバーなどによる急激な爆発を伴わない限りあまり無い。事実、焼死とは有毒ガスによる有害作用による死ということが定義とされている。また、衣類に直接引火した場合でも、広範囲の火傷は負うものの命は助かることが多い(なお火傷そのものではなくしばらく経ってから火傷した箇所からの感染症で死ぬことも少なくない)。
自殺の手段としても用いられることがあるがその苦痛は他の手段に比べ圧倒的に苦しいものとされている。そのため、自殺の手段として焼死を選ぶということはそれだけで強力な意志があったことを他者に伝えることとなり、後世に名前が残ることすらある。
同様に焼殺も残忍な殺害方法とされ、近年の事件では、永山基準にかかわらず、被告はほぼ死刑となっている。
藤原刑事は港公園を聞き込んだ。
鹿島港に面しており、高さ52mの展望台から鹿島港や鹿島臨海工業地帯の工場群や、天候条件が良ければ、西側に富士山を一望することができる。展望塔以外にも、広さ7.5haの敷地にソテツやカナリーヤシなどの南国の樹木がおよそ8,000本植えられており、季節ごとに色とりどりの花を咲かせ芝生でゆっくり寛ぐことができる。毎年5月には、港公園わくわく体験フェア(都市緑化祭)を実施されている。地域住民や関係団体の協働による緑地の保全・緑化の推進を目的として開催。イベント当日は展望塔を無料で開放している。
港公園に隣接している乗船場からは遊覧船「ユーリカ号」(土日祝日)が運航されている。(2021年現在は、運航を一時休止中。)
また、冬季シーズン限定(12月~1月)で、港公園の展望塔がライトアップされており、元日の1月1日に限り、朝6時から展望台へ登ることができる。
有力な情報は得られなかった。あのバスジャックの後、吉田華はどうやって神栖のアパートに逃れたのだろうか?
それにしても真凛は美人だった。
既に逮捕したが、あれだけの美貌なんだから女優にでもなればよかったんだ。
6月9日 - 天皇と皇后が、東南アジア3カ国を歴訪。シンガポール、マレーシア、タイをまわり15日に帰国。
恵子はレンタカーで神栖駅にやって来た。
地上駅であり、コンテナホーム1面1線のほか、仕分線・留置線・車両基地(神栖車両区)などが構内にある。駅の事務所は構内の東側(道路側)に設置されている。また、1978年(昭和53年)から1983年(昭和58年)まで旅客営業を行っていた名残で、構内西側(和田山緑地側)に旅客ホームが残っている。
車両基地が構内にある関係で、貨物列車だけではなく旅客列車用の気動車も乗り入れている。また、駅構内で鉄道車両の解体作業を請け負っており、解体予定のJRの電車や貨車が当駅まで輸送されることがある。
鹿島臨海通運(鹿島臨海鉄道グループ)・全国農業協同組合連合会(全農)・昭和産業の専用線がそれぞれ駅に接続していたが、いずれもすでに廃止されている。なお、鹿島臨海通運専用線は日本通運と日本陸運産業(現在の日陸)、全農専用線はJA東日本くみあい飼料なども利用者となっていた。
港公園からもかなり近い。
恵子がやってきたのは吉田組の事務所だ。
華を殺したのは夫の吉田謙三に違いない。華は謙三から殴られたり蹴られたり、疲れてるのにセックスを強要されたりひどい目に遭っていた。
『警察に話して楽になろうかしら』
そう、華子は話していた。
タレ込まれるのを恐れて謙三はアパートを燃やした!?
謙三は恵子がやってくる前に逃亡を図った。
市内にJR線からの貨物輸送、鹿島臨海鉄道の車庫へ行く線路はあるが旅客駅はない。神栖町時代の1978年(昭和53年)から1983年(昭和58年)にかけては鹿島臨港線で旅客輸送を行っていた。
最寄りの旅客駅は、鹿嶋市にある鹿島神宮駅、隣接する千葉県香取市から銚子市のJR成田線小見川駅 - 銚子駅間となる。
「謙三が列車を使うのなら鹿島神宮駅に向かうはず」
恵子はレンタカーを鹿島神宮駅へ向け飛ばした。
それにしても萌歌は手際がよかった。由良を仲間に引き入れた。由良はリストラ候補に上がっていた。
『私たちに協力したら報酬を支払う』
由良は萌歌が女神のように思えたはずだ。
由良は廃工場までバスを運転し、格納庫にバスを隠した。萌歌は10万を由良に払った。
萌歌は恵子、清範、華、由良を解放した。
萌歌は乗客たちは解放しなかった。ケータイは清範が回収してある。通報される心配はない。
そういや、源太の奴宝くじに当たったって喜んでいたな。分け前をもらいたいな〜、恵子は源太のケータイに電話した。スグに出た。
「あっ、耳寄りな情報があるんだ」
謙三は恵子の予想通り、鹿島神宮駅から鹿島線に乗り込んだ。
当駅は鹿島線の途中駅であるが、当駅から鹿島サッカースタジアム駅の間は、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線からの乗り入れ列車が運行されるのみで、かつ、大洗鹿島線からの列車は、すべて当駅で折り返す(当駅を通過する旅客列車は通常運行されていない)ため、当駅が大洗鹿島線(水戸)方面とJR線香取・佐原方面の運転系統上の「区切り」の駅となっている。
また、当駅は鹿島線から成田線・総武本線経由で東京駅へ直通する特急列車「あやめ」の始発駅となっている。定期列車の「あやめ」は当駅 - 佐原駅間(約20分)は各駅に停車する普通列車となり、特急料金不要で乗車できる。数年後、2015年3月14日のダイヤ改正で「あやめ」は定期列車としては廃止され、佐原から特急となる普通列車も消滅することなる。
「華が死んでくれてせいせいした。死神に感謝しないとな……」
謙三は周りの客の迷惑も考えず列車内で通話した。アイツは料理が下手だし、家事もあまりしない。それに比べて通話相手の女は美味しいスイーツを作ったりしてくれる。
吉田は東京へと逃げた。🗼
6月10日
俺は城里ってところにやって来た。コンビニで弁当を若い女の店員にチンしてもらったのだが、まだ慣れてないのかタレがベトベトになっていた。
タレなしなので返金してもらった。
コンビニの外に出ると雲行きが怪しくなっていた。傘を持ってくるべきだった。
愛車フィットの車内で食べた。
恵子の情報では萌歌たちはこの近くの廃工場に隠れてるらしい。
城里町は、茨城県西北部の県央地域にある町である。町名の由来は、当地域が水戸城の北に位置し、昔から「城北地区」と呼ばれていたことから「城」。各町村に「ふれあいの里」「うぐいすの里」「山びこの郷」があったことや、日本のふるさとのイメージがあることから「里」という字を使い「城里」と命名されたことによる。
アジトは赤沢富士の近くにあった。標高275.4mの山で、山頂からは、城里町などを望むことができる。この山は、御前山県立自然公園内にある。
「相手はショットガンを手にしてるんだ、少しは俺たちを頼れ」
自然公園の駐車場で藤原、清範と合流した。
藤原のセリフに俺はグッと来た。
萌歌を殺すことが出来れば俺は不死身になれる。
フィットの荷台に八龍の鎧兜を載せてきた。俺は八龍に着替えた。飯でも買いに行こうとしてるのか、萌歌がアジトから出てきた。
萌歌はあんなに仲のよかった華を焼き殺したことを後悔していた。彼女がアジトに戻ってきたときはビックリした。彼女はパンやおにぎりを人質や萌歌の為に買ってきてくれた。
『警察に見つからないようにな?見つかったら私の人生終わりだから、それにしても汚らわしい顔してるんだね?たくさんの男と交わったから怖い病気持ってるかもね〜、ウチの夫は梅毒なんだ。アンタみたいな虫ケラがいるから、夫みたいな犠牲者が出るんだろ?』
萌歌は首を跳ねられた。その瞳から涙が流れ落ちた。
俺は日本刀から滴り落ちる血を眺めていた。
「仙道、警察が来るまでに逃げるぞ?」
藤原はバイクの後ろに乗るように言った。
「仙道って誰だ?」
「おまえ、どうかしちまったのか?」と、清範。
清範はミニクーパーで来ていた。
「俺は源義経だ」
源義経の事件簿⑥ 茨城エスケープ 鷹山トシキ @1982
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