第4話 この世界の常識①
第4話
その後、精密検査をして普通に退院した。
身体中が筋肉痛で痛くて、亡の肩を借りて必死に歩く。
これ、滅茶苦茶恥ずかしいし、情けないなぁ僕………
「でも、何でこんな筋肉痛に………」
『あっ、それは俺がお前の意識を10分乗っ取って戦った時の反動だな。』
「お医者様も解らないって、言ってましたしね………」
うん、直ぐに原因と元凶が解った。
何で僕の意識を乗っ取ったのさ………
『お前が死にそうだったからな。だから、助けてやったんだぞ。でも、お前ちゃんと鍛えてるか?5%の力で10分しか保たないって………』
(そんなに強いの、自称僕?)
『まぁな!俺は婆さん達と一緒に7つの邪神を倒したからな。正確に言うと、その内の一人は仲間だったから不戦勝みたいな物だけど。』
ふぅん、そういう感じなんだ………
『信じてないだろ、お前………』
(だって、奇想天外な話だし………)
『それは此方の台詞だよ。何で異世界に転移させられた訳じゃないのに、俺がスキル持ってんだよ。それに、目の前に異世界のオーガが居た事にもびっくりしたしよ………』
(えっ………?)
自称僕は何でそんな変な事を言ってるんだ?
『俺、変な事を言ったか?』
(うん、だって………)
ダンジョンが現れてから、この地球上にスキルを持たない人間なんて居ないよ?
『なっ………!?』
(大丈夫、自称僕?)
『じゃあ、この世界にはお前の他にもスキルを持ってる奴等がわんさか居るってのか!?』
(そうだよ。少なくとも、持ってない人間は居ないって報告されえるね。)
『まさか、そんな………いや……でも、有り得るのか?だが、アイツ等ならやりかねないし………』
(どうしたの?)
『いや、何でもない。色々と聞きたい事はあるが、先ずはお前の療養が先だ。早く治ってくれよ?』
(自称僕のせいじゃん………)
『お前が弱いのが悪い。』
正論で返してくるのやめてよ………
反論の仕様が無いじゃんか………
「どうかしましたか、お兄ちゃん?」
「えっ、な、何でもないよ?どうかしたの、亡?」
「いえ、ずっと黙ってるのに、誰かと会話してる様な顔をしてたので………」
「どんな顔なのそれ………」
『全くだ。しかし、相変わらず勘が鋭いな、亡は………』
妙に勘繰られながらも、僕達は自宅へと帰る。
その間、自称僕は何かを考える様に黙っていた。
☆☆☆
「うぅ、やっと痛みと疲労感が取れた!」
『遅かったな。さて、じゃあ、さっさと向かうぞ!』
(煩いなぁ、解ってるよ。ダンジョンに行けば良いんでしょ?)
『その通り!ほら、早く行け!早く行かないと罰金百万
………まぁ、滅茶苦茶高額なのは何となく解るけどさ。
『ん?ああ、俺が飛ばされたシンって世界の共通貨幣だ。某RPGみたいだろ?』
それは確かに………
『まぁ、ゲームと違って蘇生魔法なんざ皆無だし、教会で生き返るとかも皆無だったけどな。一部の怪物を除けばだけど…』
(そうなの?)
『ああ。自分が愛している存在に殺されない限り、何度でも蘇る奴がな。』
(厄介だね………)
『そうでもなかった。奴とは敵対どころか味方だったし、最後は自殺を選んだからな。来世に期待だとよ。よく
(確かにね………)
自称僕の事が本当なら、確かに訳が解らない物だ。
しかし、来世に期待かぁ………
その人はちゃんと愛せる人に会えたのだろうか?
そんな事を呑気に考えていると………
「あっ、此処がダンジョンだよ。」
『此処が?唯のデカい施設………いや、違うな。ダンジョンを覆い囲う様に施設を建てたって感じか?合ってるか、俺?』
(正解。色々と買い物も出来るし、便利なんだよ?)
しかし、久し振りだな………
来るのは一ヶ月ぶりだろうか?
………今回は自称僕の為だ。
さっさと行って、さっさと帰ろう。
『おい、ちゃんと前を見ろ!ぶつかるぞ!』
「えっ、わっ!?」
「きゃっ!?」
自称僕が叫んだ瞬間、誰かとぶつかる。
でも、この声は………
………だから、嫌だったんだけどなぁ。
「大丈夫か、レモン。」
「………………………………………幻夢。」
この子は、
僕の幼馴染で………
『ば、婆さん!?』
………どうやら、自称僕の言っていた彼のお嫁さん?らしい。
いや、マジかぁ………
続く
一人で二人のダンジョン攻略 〜ダメな僕が俺と一緒に世界を救うまで〜 クロスディアⅡ @crossdia
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