第1章 一人で二人
第1話 僕が僕を見つめてました
第1話
「うぅ、痛い………」
身体中が痛くて、動け………
「………って、生きてる!?」
思わず、勢いよく起き上がってしまう。
何で僕、死んでないんだ?
そう言えば、最後ら辺に誰かの声が聞こえた様な………
『そりゃ俺の声だな。』
「えっ!?」
その声が聞こえた方向に振り向くと、其処には………
………僕が居た。
「ま、まさか………」
『俺、ドッペルゲンガーじゃねぇからな。』
「何で僕の考えてた事が解るの!!??」
こ、怖い!
この僕?、一体何なの………
『俺が誰か?そんなの簡単さ。』
と、彼は不敵な笑みを浮かべる。
そして、心の底から愉しそうに………
『はじめまして、
………そう、告げた。
☆☆☆
「いや、違うでしょ!僕がもう一人居る訳がないじゃん!」
後、そんなニヒルな感じで笑わないよ僕!
いつも、「ヘラヘラしてる。」とか、「気持ち悪い笑顔」とか言われてるもん!
……………………………………………はぁ。
『確かに昔はそんな事を言われてた覚えあるなぁ。婆さんはその時も好きって言ってくれたから気にしてなかったし。しかし、この世界でも自分で自分の傷を開くドMさは変わらんのな………』
『俺の悪癖だしなぁ………』と、彼はぼやいた。
何で僕に似た存在に、そんな事を言われなくてはいけないのだろうか?
何か悲しくなってきたよ………
『安心しろ、俺もだ………』
「そうなんだ………」
『ああ………』
「『…………………………………………』」
き、気不味い………
本当に何を話したら良いのだろうか?
『それは俺の台詞だ………』
「僕だよ………」
さも当然の様に心を読んでくるこの人は何なのだろうか?
ドッペルゲンガーでもないらしいし………
『俺はお前だよ。正確には、並行世界のだけどな。』
「えっ、どういう事!?」
流石にファンタジー小説の読み過ぎじゃないだろうか、この自称僕………
いくら、ダンジョンが世界中にあるからってさ………
『なっ、この世界はあのダンジョンがあるのか!?』
「そうだけど、知らないの?」
答えは返ってこなかった。
自称僕は、考え込むかの様に何かをブツブツ言っている………
『かなり前に違う分岐をした世界なのか?』とか、『名前が一緒だからって、あの邪神共が眠っている可能性が?』とか………
そう言えば、僕も考え込む時はこんな感じになってるって言われたな………
………うん、頑張って直そう。
これじゃ、唯の不審者だ。
『よし、決めた!』
「何をだよ、自称僕………」
『お前は俺だよ、どれだけ嫌でもな。って、そうじゃない!俺もダンジョンに行ってみる事にした!だから、お前は早く帰れ!出発は一週間後だ!』
「勝手に決め…あっ……意識が………」
僕の意識が遠退いていく。
自称僕の方を睨むが、奴は俺を良い笑顔で手を振っており………
文句を言おうとした瞬間、僕の意識は完全にシャットアウトされた。
☆☆☆
「痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?」
………これが僕の目覚めの言葉だった。
続く
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