第24話 ルール説明
「これよりー今年度第一回の学園交流戦のルールを説明する」
ステージに立った責任者の先生が次々と話していく。
厳正な雰囲気が2つの王立学園のグラウンドを包みながら、毎年行われる学園交流戦が今始まろうとしていた。
そして、俺は生徒会サイドでアリシア、クリシャと3人で端に立っている。
(はぁー)
内心、ため息。もちろん、生徒会ということでこういうイベント系の運営をしなければならない。だが、問題は人員が少ないせいで最悪の場合、自分の学園の生徒会メンバーが全員同時に交流戦に出るタイミングが発生するかもしれないからだ。
まず、この交流戦に参加できない人すらいるというのに…
その人たちは主にチームの補佐に就くから参加できてはいるが、俺的には実際に西側の奴らと戦う方が楽しい。
「ルール説明は終了だ。なにか質問のある人はこの後私のところにきてくれ」
話が終わると同時に、このまま教室へ戻ることになっているため周囲が騒つく。
「さて。今日は忙しくなりそうだな」
「ですね。今日の全過程が終了したらみんなに打ち上げとかしたいです!」
「おっ!いいね、打ち上げ!私もしたい!」
クリシャが期待に満ちた目で俺を見てくる。まさか、俺に奢れとでもいいたいのだろうか。とりあえず、この交流戦が全部終わってからの話だ。
「へいへい、早くいくぞ。10分後にはそれぞれ配置についてないと進行が遅れるぞ」
「あ、そうだ」
そう言って、アリシアがポケットからなにか小さなものを取り出す。
「…」
「これ、どこで入手したんですか?」
冒険者ギルドの開発段階にある超がつくほど便利なイヤホンだ。
すこしだけ大きくて縦長の代わりに、聞こえるのはもちろん、最大4人で同時に通話ができるとか。
「これ、イヤホン。みんななにかあったら互いに連絡ね。あと、ロワは数時間おきに戦況報告よろしく」
「りょーかいですよ」
全員、試しにイヤホンをつけてみて声が聞こえるかどうか確認。通話ができることも確認したところで、俺はミュートにした。
「先輩も頑張ってください!私たちも頑張るので」
「もちろんだ」
そう言って、俺たちはそれぞれ配置場所に向かう。俺と会長、つまり男子の交流戦は交流先の学園の方で行われるため学園をつなぐゲートを使い、交流先の学園へ向かう。
会長は先に行っているらしいので、俺は一人でゲートをくぐる。すると、目の前に広がった景色は一面の緑。辺りは森林といってもいいほど、木で囲まれている。
「やあ、ロワくん。早く配置に着こう。時間がない」
会長がわざわざ迎えに来てくれた。会長も忙しいはずなのに、申し訳ない。
「すいません、わざわざ…」
「いいんだ。ロワくんの配置場所は少し特殊でね」
「えっ?ただ不正防止の監視カメラ室ですよね?」
俺と会長は歩きながら校舎に入る。すると、まだ一階なのに会長が立ち止まった。
「どうしたんですか?監視カメラ室は3階のはずでは?」
「それがね…」
と呟いたところで、会長は床を叩いた。
すると床下からメガネをかけた黒髪のいかにも頭の良さそうな人が現れる。
「君がロワくん?ここが監視カメラ室だ。地下になっていてすまない…」
なんと、監視カメラ室が地下にあった。王立学園は全ての学園が同じ構造で作られているはずだが…
「防犯の都合上、違うところに作られているらしい。僕も初耳だったよ」
俺はその地下室に飛び降りる。
「会長、俺のことはもういいので行ってください」
「ああ、任せたよ」
そう言って、会長も配置場所であるグラウンドへ走る。
俺は会長が行ったことを確認してから地下室につながる床の扉を閉める。
カメラにつながる映像モニターが計9台。全てリアルタイムで見れる。
プログラマーにでもなった気分だ。
「私がここの管理者のキットだ。主にトラブル発生時の対応と、ロワくんが出場するときの監視役の代わりを務める」
「お願いします」
ここで改めてルールの確認をする。
〜〜ルール〜〜
・この交流戦は互いに親睦を深め合い、かつ互いに能力を高め合うために開催する。
などと、いろいろと開催する目的や意義が書いてあるページをとばして、本戦のルールに目を通す。
〜〜交流戦において〜〜
・本交流戦は男子、女子に分かれて行う。
・本交流戦は学年ごとに4チームに分かれて行う。
最後に他に全学年から選出された5人と、最後に各学校の教師が判断したMVP生徒の一騎討ちが行われる。
・1チームのメンバーは6人であり、6人で攻撃と防御を行う。また、勝敗を分けやすくするために、チームで1つだけ2人でペアを作ること。また、そのペアはペアで攻撃と防御を行う。
・勝負形式は防御側が事前に遊戯形式、勉強形式、魔法および剣術形式の3つの中から選ぶものとし、一度選択したものは変更ができない。
なお、その後選んだ形式の詳細内容はランダムに決まるものとする。
・攻撃側は1人ずつ(ペアの場合は2人で)防御側と対戦し、防御側を全て倒せば勝ち。両学校とも5人倒した場合は先に倒した方に勝利ポイントが加算される。また、遅かった学校にもボーナスポイントが加算される。
・本交流戦はポイント制で行い、1年生の勝利学校は100ポイント、
2年生は300ポイント、3年生は500ポイント加算される。引き分けた場合はその半分ポイントが両学校に加算される。
・最後の全学年戦では1年生、2年生、3年生を必ず1人以上出場させなければならない。全学年戦で勝利した学校は500ポイントが加算される。
・敵を指定された時間内に倒した生徒の学校にはボーナスポイントがそれぞれ支給される。時間は主に1分以内が60ポイント、2分以内で30ポイント、3分以内で10ポイントとなっている。これは全学年、どの対戦でも適用される。
・なお、不正をした者にはペナルティが課せられるのと同時に、その学年のポイントが相手に加算される。
・同じ学年で両学校に不正が見られた場合、その勝負は即時中止とする。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
大まかなルールはこんな感じだ。
場所はグラウンドと各学校の教師が作り出した異空間の2つで同時進行で行われるらしい。
なお、異空間で行われていることの全ての情報が異空間の創造者に流れるらしいのでその先生が不正防止もしれくれるとのことだ。
しかも、他学年が退屈しないために各会場の戦いがリアルタイムで配信されている。なお、配信は男子の場合は女子のものしか見れないらしく女子も同様に男子のものしか見れない。
なお、グラウンドで1戦、異空間で3戦行われる。教室に計3つのモニターが貼られるらしい。俺はここからグラウンド戦をいろんな角度から見れるからある意味おいしい。
このルールは女子にも適用され、タイムテーブルでは午前中に1年生の勝負終え、順次昼食を食べるという感じになっている。ちなみに終了は夜の7時半くらいが予定されている。
ここで俺はとんでもないことに気づいてしまった。
「あの、俺ってまさか一日中ずっとここですか?」
「そうですね。多分ずっと私と一緒にここですよ。まあ、私は教師の都合上、出ることが数回ありますが、あなたは昼食時以外ずっとここです」
「わかり、ました…」
まあ、目の前に大量のモニターがあるし、退屈はしないだろうが。
ずっと地下室だとあとで上に上がったときに気が狂いそうだ。
でも、随時連絡は取れるから暇になったアリシアと通話を繋げておくか?女子の戦況も気になるし。
でも、体もほぐしておかないといけない。なぜなら、俺は会長のせいで重役を担ってしまったのだから…
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ここ、重要会に見せかけてなんでもないめっちゃいらないところです。
ここもなぜ生み出してしまったのかわからないところです。だってこの後…
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