極道ナース

@mey

第1話 生い立ち

京都の田舎町。老舗ヤクザ京都光寿会総本部。

800人弱の構成員を取り仕切る7代目総長、紅傘寿女組長だ。

ヤクザ会でも過激派でやり手、一目置かれる存在だ。

後継者と言われていた一人息子がいたが、10年ほど前に事故で他界。岡山県の傘下の組幹部の葬儀に向かう途中、どしゃぶりの雨だった。高速道路で車がスリップしガーデレールに激突、即死だった。

その後、後継者は白紙となった。総長の血筋をひく者はただひとり孫娘の街子がいるが、街子は当時6歳。後継者は誰なのか・・・

あれから10年、総長は70歳、街子は16歳になっていた。

ある蒸し暑い夏の夕方、息子仁の法要が営まれていた。その後、幹部が集められた。。

「うちは、もうええ歳や。そろそろあとめをと思ってる。仁が死んで10年、やはりここは・・・街子にゆずる。」総長が切り出した。

幹部は顔を見合わせた。

「しかし、お嬢はまだ高校生。成長されるまで、いったん誰かに譲ってはどうかと」若頭の南が言う。

「お嬢さん・・・」と若頭補佐の新堂が続き、街子にふる。

「えつ、あたあた、あたし?いやーどうかなー?」と苦悶の表情に、周囲は呆れ顔。

とうのも、街子は、極道とは無縁に育ってきた。本性をひたかくし、今も普通の高校生活を送る。しかし、時々、血筋である気性のあさらが顔を出す。

「うちの命令は絶対や、あんたはあとを継ぐ、そのために今まで好きにさせてきた。違うか?そうやろ?」総長が街子に詰め寄る。

「あっーそうだ、せめてさ、高校卒業まで待ってよねー返事、ねぇおばあちゃん。」

「まぁそれくらいなら・・・これからは、たまには組に顔を出しなはれ。少しずつ極道へシフトや、みんな頼むで」


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