Sec 2 - 第20話

 ――――――『お前らはただの巨大なシミュレーター訓練場だと思っているんだろうが、ここの特徴とくちょうは『発現現象はつげんげんしょう』をシミュレータに対応させたこと。

我々が普段、訓練で使うシミュレータものが・・一般的、とは決して言えないが、『EAU』のアレをしのぐほどの高性能こうせいのうなモノだ。


このシミュレータでは現実のように発現ができる拡張かくちょうがなされている。

あの窓からも景色が見えるだろう?

まだ再成中さいせいちゅうのようだが。


今回の仮想戦場バトルフィールド公平こうへいすために人工知能AIによって適当てきとう候補こうほの中から無作為ランダム生成せいせいしている。


私たちはこのロビースペースで観戦かんせんできる。

さっきあの窓から見えると言ったが、すすめはしないな。

複数個マルチモニタでなけりゃ、よく見えないだろうから。

実を言えばこの壁面へきめん全体にも同調投映シンクロ・プロジェクションできるんだが。


そうだな。

楽しそうだ。

やってみようか?


これらもAI自動でコントロールされている。

迫力はくりょくあるカメラがけっこう面白いんだ』―――――――


――――――頭の上から聞こえてくる、そのスピーカーの声を耳に入れながら、ミリアはそなえ付けのベンチの上で。

そのひざり曲げてかかえ込むようにその『疑似銃イミテーション・ライフル』の確認をしていた。


とりあえず、さっきまで自分たちがいたロビースペースが観覧席かんらんせきになるらしく。

しかも、あっちはあっちで楽しんでいるような雰囲気ふんいきが伝わってきてる。


えっと、それよりも。

この『疑似銃イミテーション・ライフル』は、外見がいけんが『本物ジェス・オ・ウィル』と全く同じ機構デザインのそれで、実弾じつだんもちいないRAS再現シミュレータ用の機具デバイスだ。


周りのスタッフの彼らがその辺りのストックのたなを開いて、いくつかの荷物にもつはこんできたのはついさっきで。

この装備そうび一式いっしきを、他のチームも受け取っているようだ。

彼らも、同じようにこの部屋へ案内されてきているらしい。


この部屋はかなり広い。

一度見まわすだけで機械的なものだらけとわかる。

よく見れば、いくつかの大がかりな機材ごとに区切られていて、合理的ごうりてきにいろいろ配置はいちされているようだ。

ちなみに、さっき着替きがえをしていたロッカールームからは、すぐとなりのドアでつながっていた。


ここでは同じような機械きかい設備せつびがいくつも並んでいたり、工場のような雰囲気ふんいきがある。

それは、ミリアもなんとなく知っている空気くうきだ。

機械油きかいあぶらにおいものこる、ガレージ倉庫のような、武器庫ぶきこのような空間。

けれど、まだ綺麗きれいな新しい機械が多くて、それらが何に使われる物なのか、はじめて通りがかるたびにキョロキョロと金属きんぞくの物体を、ちょっと好奇心こうきしんに、不思議ふしぎのぞいていたけれど。

そうやって歩いているうちに、あらかじめ決められていたらしいそのコーナーのベンチに案内あんないされてすわらされた。


 今も、ミリアがまた見回すと、周りのスタッフの人たちは機械きかい支度したくを始めている。

本当に大掛おおがかりで、1つのチームに数人のメカニックチームが担当たんとうするようで、いくつかの機械を持ち出す周りでも別の人たちたくさん動いている。


「何が始まるんだろうな?」

ガイがそこで立っていて、ちょっと、わくわくしているようだ。

ふむ。

ただシミュレータ訓練をやるだけじゃなさそうなのは、みんなすでに感じ取っていると思う。

見ているだけだと、何かの機械、人型ひとがた装甲そうこうのようなものも・・・。

「・・・」

そんな視界しかいはしに入る、ケイジも腕組うでぐみしながら立っていて、辺りをちょっと怪訝けげんそうに見まわしている。

知らない場所に来て落ち着かない、まるで小動物しょうどうぶつ、というわけじゃないだろうけど。

対照的たいしょうてきに、リースはケイジの傍のベンチに座っていて。

相変あいかわらず、周囲しゅういには特に興味なさそうにまだ眠そうに目をしぱしぱさせていた。

リースは緊張きんちょうしたりしないのか、やっぱり、いつも通りだ。


「パっとやって終わりじゃねぇのか?これ、・・・」

そんな事を一人愚痴ぐちってるケイジは、まあ、いつもの、ただの『めんどくさがり』が発動はつどうしているだけだろう。

さっきも私が手を上げた時、参加さんかするって言った後も一番ブーブー言ってたし。


って、ふと、こっちを見たケイジと目が合った。

ケイジが片眉かたまゆを上げて、むずかしい顔をわざとしてきたみたい、なので。

「まだ言ってる、」

ミリアは肩をすくめて、やれやれと言わんばかりに、というか、はっきり言ったけど。

ケイジは、口をひきつらせたように笑って、というか、余計よけいに眉をひねらせたので、まあまあイラっとしたみたいだ。


そんな・・・、・・ふと、顔を向けたミリアは。

横顔はその向こうで、なにか違和感いわかんを・・・。

・・なにかを話し合うような、向こうがちょっとばかり、メカニックの音とかじゃなく、別の声が聞こえるような気がして。

スタッフの彼らがちらほら、向こうを気にしているようなのも。

ガイがこっちを少し振り返って、目が合った。

そしたら、小さく肩をすくめるような仕草をしてきたのは、ガイはすでに気づいていたのかもしれない。


なので、とりあえず。

ミリアは立ち上がった。


気になったので。

歩き出すミリアは。


向こうを見ていたケイジも、こっちに気が付いてるようで。

「やるからにはやろうぜ、」

って、ガイが笑いながら、ちょっとおくれてケイジにさっきのフォローの声をけてたけれど。

ケイジは、・・歩き出す私とガイを見てたみたいだけど。


リースとちょっと目を合わせたら。

そしたら、軽い溜息ためいきいて、めんどくさそうに後ろをついてきた。



 ―――――向こうの様子が見えるところまで、ミリアが足を止めたその場所からの景色けしきは、メカニックが作業をする各自のスペースが存分ぞんぶんにある。

そして、その中央、この大部屋の中央の辺りに、少し大きめのテーブルが置いてある。

周りでは、『誰か』が少しばかり声をあらげた会話をしているのか、何を言っているのかは聞こえないけれど。

ただ、『誰か?』というか、それは参加する同じチームのメンバーのようだった。


スタッフの人たちの目も集め始めている中で、少しヒートアップしてきているのか。

「・・・あいつらなにやってんだ・・?」

ふと耳に入って気が付いた、ミリアは、通りかかったそこで作業していたメカニックらしい彼かが、遠巻とおまきにそう、つぶやいたようなのを見つけた。

そしたら、たぶん、こっちに気が付いた彼が、ちょっと顔をらしたけれど・・――――――

―――――な~にやってんだあいつら・・?」

急に、今度はそばで、自分の後ろを追いす誰かがいて。

ミリアが振り返った、その横顔、『Classクラス - C』の彼が。

ニヤついているような、眉をひそめているような、一瞬だったからか微妙びみょうな表情が近くに見えた。


「なんだあいつら、意外とやる気じゃんかー」

『C』の仲間の彼らも、声を掛けられ歩き向かっている――――――自分を次々つぎつぎと追いしていく――――その次の、黒いするどい目と一瞬、目が合った――――――すれちがいざまに、・・・ディーと名乗っていた彼と・・・その目が、不機嫌ふきげんそうな・・・どこかで見た事があるような――――――


―――――その彼の目が、私と確実に合ったけれど―――――彼は、通り過ぎていった。


――――同じように、眼鏡めがねをかけた彼、たしか、オルビ・マイヤーも。

―――うつむ気味ぎみな、目の下にクマがある彼の眼の光も。

「ミモ、勝手に行くな・・・」

―――――ミモと呼ばれてた彼、ミリュモ・ル・サラマンも。

彼らが、先頭のミモと呼ばれた彼を追いかけるようにそばを通って行った。


瞬間に見れた彼らの横顔と、すれ違う目と。

さっきは遠くてよく見えはしなかったから。

こちらを見る目とが合っても、彼らがなにか反応はんのうする感じでは無かった。


彼らは、アイフェリアさんたちと最初に・・、ケンカごしというか、やりあっていた人たちで。

さっき、私たちの参加にも、文句をアイフェリアさんたちへ少し言っていたようだった。

でも、今はこちらに言うことが無いようだ。

その一瞥いちべつする目が、こちらを少し注意ちゅういするような感じもあった気がするけれど。


「お、よろしくなー」

って、前のガイが遅れて気が付いて、彼らの横顔へ挨拶あいさつしてた、けど。

「・・・・、」

再度さいどこちらを一瞥いちべつした彼らは、特に何も言わず。

むしろ、ちょっと舌打したうちが聞こえた気がしないでもない。

それはでも、気のせいかもしれなくもない、たぶん。

わからないけど。

まあ、どちらにせよ、やっぱり、こころよくは思われてないのかもしれない。


「なんだあいつら、」

こっちへ来ていたケイジが、ちょっとイラっとした様だったけれど。

「気が立ってるんだろ、」

ガイは、簡単かんたんに受け流してる。

そして、隣のリースは、ねむそうなのはさっきからだ。


まあ、何も言わないよりは、挨拶あいさつでもして、けられた方が良いとは思う。

普通ならば。


そんなことを考えつつ、ミリアもみんなが先へ行く後ろを追って歩き出した。

向かう場所はきっと同じだ。

前にいる味方チームの彼らの所へ、それは部屋の中央だから、スタッフや作業をしている人たちは、ちらりとこっちを見たりで。

さっきからちょっとばかり強い話し合いをしている彼らの様子へ、手を止めて気になっているみたいだ。


 そこの中央は情報共有ブリーフィングのためのスペースなのか、テーブルや一体型いったいがたのディスプレイらしき設計デザインがされている。

それらをミリアは――――――


―――――なにが言いたいんだ?」

ちょっと苛立いらだちの感じる声と。

「俺?ちゃんと言ってんだけどなぁ?」

とぼけている様な声と。


「まじめにちゃんと言ってほしい」

「俺だって、まじめだぜ?やー、誤解ごかいされやすいんだよなぁ、俺って。なんでだろな?」

それらに目を戻したミリアで、雰囲気ふんいき的に、やっぱり、すでに彼らはめているようだった。


「元々そんな顔してるもんな、」

「イケメンすぎるってか?」

「それっ、そういうとこぉ、」

「んっはっは、」

「・・・」

「あれ?これもダメ?」

自分とみんな、同じようなスポーツウェアのようなものに着替えてある彼らの中で、わるふざけ、ってわけでもないかもしれないけど。

おどけてるような、まじめなような、つかみどころがないような、彼らの中心となって話しているのは、たしか、『デンジャラ・アズミック』と名乗っていた彼だ。

「ロアジュ、あいつらもわざとじゃないってバよ」

「・・・」

ちょっとあきれてるのか、口を閉じて彼を見ているのは、ロアジュで。

「大丈夫だって、俺もチームリーダーまかされてっからさ、それなりにやれる方だってさ、」

そう『デンジャラ・アズミック』は言っていた。

「じゃあわかるだろ?チームとチームを誰かがまとめて・・・」

周りにも彼らの仲間チームが集まってきているようだけど、話しているのはチーム全体の方向性ほうこうせいみたいだ。


「つうかちたいんだろ?じゃあ、そりゃ、ムリ。」

「・・・」

はっきり言う彼、『デンジャラ・アズミック』に、ロアジュは口を閉じてだまって見ていて、ちょっとまたイラっとしたみたいだ。

「さっきからそれだけどよ、勝てねぇってーの?」

その横から言った彼は、たしか、ラッドだ。

「いや?別にバラバラでいいじゃんか、どうせ、」

気楽きらくそうに答える『デンジャラ・アズミック』は。

「ほんとかなあ?」

あやしんでるのは、ニール。

「リーダーを決めろなんて言われてないだろ?」

「言われたことしかできないヤツにこんな仕事はつとまらないんだよ、」

「おー、いいこと言うな。俺もそう思うよ。コーチから言われたん?」

「・・・時間が無いんだよ、クイズ出し合ってる場合じゃないんだ、」

「だからはっきり言ってるじゃんか、無理なものはムリって」

「お、よく見たらカワいい」

「名前なんてーの?」

「む・・・」

ロアジュの後ろでラッドたちと少し話していた女の人が、そう見られてちょっと警戒けいかいしたようで、フィジーだっけ、ロアジュたちのチームの1人だ。

「おい、やめろよ、」

「えー、なんでだよ?」

「ナンパじゃないぜ?」

「え、マジ?心外しんがいだなっ」

「な?わかるだろ?お互いの名前も知らないのにな?」

デンジャラ・アズミックは、愛嬌あいきょうのあるちょっとの笑みに当然だろ?と言わんばかりに言ってた。

まあ、彼の言いたいことはなんだかわかる気はする。

そして、こちらにふと気が付いたようだ。

「お?お前らも来たんか、」

こっちは、少し距離きょりを取って様子を見ていたから。

「・・『C』の、と・・・」

彼らが気が付く、こちらへ向ける目と一緒いっしょに、私たちも見られた。

「『A』の・・」

少し、ことなるような視線しせん、というのは考え過ぎかもしれないけれど。

「よー、ケイジ。来てたのか、」

「あぁ・・?」

「なんだよ、ひでぇな、」

って、不機嫌ふきげんそうなケイジは、ラッドたちとも友達みたいだ。

「で、君らは何をめてるんだ?いま、」

オルビ・マイヤーが、そう。

「ちょうどいいや、お前らもどう思う?こいつが、リーダーを決めた方が良いってさ。」

デンジャラ・アズミックは大きな声を出して、その場にいるみんなへ。

「意見をとりまとめた方がいいだろ?全員呼んだ方がいいか?手がいてそうなら向こうのやつも呼んできてくれよ、」

「なにかするのは勝手だが、こっちに迷惑めいわくかけんなよ、」

迷惑めいわくってなんだ?」

「あぁ・・?」

「待てって、何しに来たんだよ?」

「別に。俺たちの邪魔じゃまをしないでくれ、とだけ言っておく」

って。

「ぁあん?」

「はぁ、それだけ言いに来たのか?」

「感じわりーな~、」

「あぁ?」

ちょっとおたがいに、にらみ合うような彼らは、まあ。

「ミモ。」

「ぁあん?」

必要ひつよう以上にかまわないでくれ、」

仲良くする気は、そんなに無いみたいだ。

「・・めんどくさ・・」

その小さな声も『C』の彼らの方から聞こえたが。

「話す必要は無い。俺らに指図さしずしなければそれでいい」

もしかしなくても、仲良なかよし、でもないみたいだし。

「待てって。」

って、デンジャラ・アズミックが、そう。

「いや言いたいことはわかんぜ?でもな、付け焼きになったらいいことなんか無いんぜ?そういうのめんどくせぇから、好きにやりゃあいいんぜ?っていうおれ提案ていあん。なぁ?」

「俺はどっちでもいいよ、」

「俺も。」

「マジかよ、」

仲間の彼らが味方でもないことに、ちょっとおどろいたみたいだけど。

――――――ふと、ロアジュがこっちを見ていて、目が合った。

「・・・」

「・・・?」

ロアジュと、ミリアの目が合って。

彼は、少しこっちをじっと見てきていたけれど・・・。

「・・ん・・・?」

――――――「マテまて、こう言ったら誰にでも伝わるって言い方があるんだよな。

理由は4つ、くらい。

1つ目。

即席そくせき』、で集められたって連携れんけいができない。

『EAU』の戦術せんじゅつが頭に入ってなさそうなやつらもいるかもしんない。

マニュアルの確認なんか今更いまさらできないだろ?即席インスタントチームってそんなもん。

下手へた連携コンボがもっとヤバい。

自由にやってみてから考えても悪くはない。


2つ目。

こんな短い時間でチームをまとめるって?

ムリムリむり、お前ら、俺の言うこと聞く?

俺はお前らの言うこと聞けないぜ?

信用しんようねぇもん。

あ、誤解ごかいがあるかもしんないな?

お前らがわるい人間とかってわけじゃないぜ??

協力きょうりょくして結果けっかが良くなるってのかがまだわからんって。

だからさ、まぐれでも勝ちたいってんなら、慣れてるチームでバラバラにやった方が勝率しょうりつ高いだろ、ってことよ。

それも立派りっぱ戦術せんじゅつだろ?

どう思うよ?」

デンジャラ・アズミックは、そう。

「『3つ目』は?」

「『4つ』って言ったのは言い過ぎた、」

てへっ、と笑うような彼はまあ、正直しょうじき者みたいだ。

「それでも全体のまとめ役がいた方が・・、」

「マジかよ、いるか?なぁ?セイガ?」

「・・・・」

「セイガは俺の味方だな、」

「なんも言ってないってよ、」

「まじめにやれってよ、」

「うそぉん、」

チームの方向性は、決まらないみたいだ。

―――――「・・勝ちたくないってわけじゃないんだな?」

「そういうこと。チームをまとめるのが、かならずしも勝つとか負けるの話じゃあないんだよなぁ。」

彼らの話が、またあつくなり始めているようだ。


「もう話し合いしてんのか?」

そう、横からの声も、また。

「よおー、お前らのチームは上手くやれそうか?」

「大丈夫だ。俺がリーダーをやることになった。」

そう言ってこちらを一瞥いちべつする彼は、少し貫録を感じると言うか、周りの人たちよりも少し年上なのかもしれない。

いま来た彼らは最後に作られたチームで、即席そくせきに、あまった人たちで組んで、『C』の女の子2人も入ったチームだ。


これで、今ここにいる全員が26人のはず、同じチームの人たちだ。

ちなみに、ガーニィたちのチームは視界しかいはしで、ちょっとはなれているところでこっちの話をのぞき見しているみたい、なのがたまに目に入る。

「で、全体の話はどうなってるんだ?」

「それがさ、俺ら名前も知らんし、趣味しゅみも知らんしどうしよう?ってなってて、」

「ん?趣味しゅみ?」

「さっき名乗ったろ」

「全員なんかすぐ覚えられるかってんだよ、」

「なんでそんな話になってる・・?」

「先ずは自己紹介じこしょうかいからか?俺らからいくか?ハジメマシテ、『Class - B』の『デンジャラ・アズミック』でっス。可愛かうわいぃ『デン』って呼んでくれ。期待の新人ルーキーっておだてられて数か月、今日はヤバいところに来ちゃったみたい。お前らがいうところの外部組がいぶぐみデス。スカウトされた時はもうドキドキの、新人ルーキーらしくフレッシュな―――――」


―――――『準備じゅんびは、できてるかい?』

その空間に声が、行き渡る・・女性の声・・モニタか。

「―――――・・あん?」

ブリーフィングの大きめのモニタに、いつの間にか映っていた――――アイフェリアさんのかおが・・・あって。


『みんなそろっている・・?準備は?できてるのかい?』


あちらも、こちらが見えているみたいだ。

映像通信えいぞうつうしんです、」

近くのスタッフの人がおしえてくれた、ようで。


『・・あ、映っているか』


それより、みんなちょっとおどろいたからか、誰も声をはっしていなかったから。

「ぁ、はい、」

気が付いたミリアが、返事へんじをする―――――のとほぼ同時どうじに。

「ぉ、うっす・・っ、」

「はい、」

みんなもちょっとけたように、しずかにあわてたように向きなおっていた。


そこには向こうのチームの、隊長リーダーかくであるアイフェリアさんが、正面しょうめんに映っていたから。


そう、ドキっとしていたのか――――――対峙たいじして、立つ、そんな気持ちは全く準備できてなくて――――――急に目の前にいたから――――――


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《SSTG》『セハザ《no1》-(3)-』 AP @AP-san

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