Sec 2 - 第5話
咲き
絵画のようなひなびた道がバスと花畑に浮かぶよう
――――
窓の外からこっちへじっと、・・縦長な
丸まったのは、そこの日当たりを気に入ってしまったからか
暖かい日光に呼ばれてるネコは、後ろ頭をこちらへ見せている
急に横から飛んで来た時は、ちょっと
走るバスの車内では、この景色にちょっと文句を言う人もいたみたいだ。
『のどか過ぎる』とか、『緊張感がない』とか、『映画をみんなで見よう』とか。
「全域で映画とか見ないか?アクション映画とか、最高だぜ?」
「お前らだけのバスじゃないんだ。プライベートでやってくれ、」
「楽しそうじゃんか、」
「静かに過ごしたいんだよ、俺は」
彼らの言う事が実現していたら、だいぶ
まあ、そう言うような人達の意見は
「
って、隣の席のガイが言ってたけど。
「なにそれ?」
「アクション、SF映画か。前見たんだ。シアターで観たらすごいよな、」
「ふぅん」
「ミリアは
「ん、行った事ないかな、」
「そうか?面白いぞ。ババぁーンって、
その時の事を思い出したのか、ちょっと楽しそうなガイだ。
「ふーん?」
ミリアが想像したら、ウニョウニョが
横目に、また窓の外へ・・というか、今は
何十分か前に、一瞬で車内の窓が全域の花畑になったのは、窓の外を
出発前の、あの誰かの説明通りで。
気持ちのいい日差しと青空と花畑の景色に、ついでに気まぐれに現れたネコはちょっとドキっとした、
どこかの国では幸運を呼ぶとか、ちょっと得した気分にはなるけど。
でも、これから訓練で、きっときつい時間が待っているから、『花畑とネコ』は少し場違いなチョイスだとは思う。
―――――・・まあ、それでも、まるでどこかの外国の
そんな窓辺で、ミリアは
たぶん、目の前ですやすや寝ている気まぐれネコと同じ顔をしているんじゃないか、とちょっと思いながらバスに
・・そんな、古い車とかみたいに全然、
そんな風に過ごす時間は長かったような、短かったような。
ガイとの小さな会話とか、たまにぎゅっと閉じた目をぱっと開けて、後ろの座席のケイジやリースの様子を
車内の様子を見たりするのも
不意に窓が黒くなって、車内はライトの明かりだけになった。
花畑やネコの映像がシャットダウンしたようだ。
「お、なんだ?」
「ぉー?」
車内が少しざわつく、みんな目を覚ましたのか。
「到着する、
車両の速度が
「ぉー、やっと着くのか」
「
「予定通りだ、心配すんなよ」
「順番に降りろー」
前の方から声が掛かり、みんなが立ち上がっていく。
座席からちょっと
「少し待つか、」
「そうだね、」
ガイの声に頷いて。
「リースを起こしといて、」
後ろのケイジへリースを起こすように言っておく。
「おいリース、・・
一応ちゃんと起こすケイジが、
『熟睡』とか、
・・訓練前に熟睡って。
ふむ、まあ仕方ないか・・・。
ミリアも、息を大きめに吸って胸を
肩に掛ける荷物とかを持った人もいる車内で、ミリア達は前の人たちが行くのを待って。
出る人たちも少なくなるのを
硬いコンクリートのような地面を
少し暗い印象だったけど、バスから降りたばかりの人たちがたくさん
少し鼻に匂うのは機械のものか、屋内の駐車場のような空気なのか。
いや、広い倉庫のような、ガレージのような。
少し歩けば、遠目の向こうでシャッターが動いてる、外の
おそらく、入り口が閉じていくのが見えた。
その
EAUの人たちとは明らかに違う服装をしていて、ミリアはその姿を知っている。
「ここは・・、」
ミリアが口を、少しだけ開いていた。
「おい、マジ聞いてねぇぜ?」
「ここ、軍部の施設じゃあねぇのか・・・!?」
バスから降りたばかりの、周りの彼らも周囲を
「軍か・・?」
「ぽいな・・・?」
「なんでこんなとこに・・?」
「知らねぇ、」
「いや、軍とは限らないし?」
バスの花畑の景色からガラリと変わった窓の外は、見知らぬ
『EAU』の
向こうには機材らしきものがシートを
ちらほらと見える軍服の姿の人たち、軍部で普段着られている
それに、彼らもこっちを見ている。
間違いなくここは軍部の施設か、それに関係する場所だとは思う。
『じゃあ・・?』という次の疑問は、『なぜこんな所に来たか?』だけど。
「入口で立ち止まるなよ、つっかえるぞ、」
「なんだここ?」
「想像してたんと違う。」
「な?」
みんなの声が聞こえてくる中で、少し移動する前の人に付いて歩く、ミリアが向こうを見ながら
広い
私たち『EAU』のメンバーは総勢で何人いるんだろう、数十人以上、ざっと50人はいるのか。
『EAU』のメンバーが『外』でここまで集まるのは見た事が無い。
けれど、他の人たちはそんな事より、車両の傍で知り合いと言葉を交わしては、戸惑っているか、
そんな中に知ってる顔も何人かいるみたいだ。
すると、向こうで明らかに軍人といった身なりの軍服の将官だろうか、そんな人たちが歩いてきているのを見つけた。
声を掛けたのか、『EAU』の誰かが気が付いて、おそらく今回の代表者か責任者らしい人と、その軍部の責任者らしい人たちが前に出て、話し始めたようだった。
「―――――お待ちしていました。ようこそ。『EAU』のみなさん。」
近づいてきた軍人の彼らは3人ほどだった。
到着したばかりで今後の行動を確認していた『EAU』の彼らを出迎えてくれた。
「私はオゴール・ハキス中尉です。私が今回の案内をさせていただきます。」
「これはどうも。『EAU』の今回の責任者、ハゴイ・クスフキだ。」
ハキス中尉に差し出された手を
「こちらはコリン・ノ・タール特尉、ジョーン・コールドウォータ軍曹です。
彼らはこの
「これは、お
「ええ、もちろん。『EAU』のエンジニアはとても
「それで、案内を頼んでよろしいか。なにぶん今日は時間が無いので。」
「おっと、そうですね。さっそく向かいましょう。」
ハキス中尉は手と身振りで進む先を示しつつ、彼の部下が先を歩き出し、方向を教えるよう立ち止まってくれる。
「移動だ。全員に伝えてくれ。迷子は出すなと強くな」
『EAU』のクスフキも指示を出し、彼らが了解していく。
「了解でっす。よぉし、お前らぁ移動するぞお―――――」
「滅多にない機会ですので、ゆっくりお話しをしたいものですな。初めて会う方々もいらっしゃるようだ、」
「これからは何度か顔を合わせる機会もありそうです。ジャロンは初めてだったか?」
「はい。自分は『EAU』のジャルオン・シャンドです。先輩たちが一足先に来たと聞いてます――――――」
「―――――移動するぞー!固まってついて来い!」
「チームで
「はい。各チームで点呼を取れ。問題あるならすぐに報告しろ―――――」
そのいくつかの号令に、バスの周りで
『各チームで点呼を取れ。――――――』
「―――――どこへ行くんだ?」
「さあな、」
「あれ軍人か?」
「だろうな、」
「『EAU』にもそういう
『――――問題があるチームは手を上げろよ、メンバーがいなけりゃ今すぐ探せよ。』
「そりゃ『特務協戦』をやってんだからな。警備や軍部に面識くらいあるだろ。現場にほとんど出ない俺たちには関係ないが、」
「軍人を間近で見たの初めて」
「
「アイフェリア隊長とかだってそうだ、」
「え、そうなんだ?」
「らしいな、」
『――――今から全員で移動する。
「つうか、どこへ行くんだ・・?」
『ああ、そうだ。ここでは『おいた』はするなよ?下手したら軍部の皆さんにしょっぴかれる、』
って、前の方でさらっと怖い事を言って
「こえぇぇ、」
「冗談だろ?」
「おいおい・・、どこへ連れてかれるんだよ・・・?・・ったく、」
動き出した集団の中で歩くミリアが、傍のガイと、ケイジとリースがちゃんといる事を、また確認して。
みんなが進む先を見ると、この格納庫らしい広い部屋の壁にあった
・・その扉の向こう側へ、『EAU』の人たちの列が入って行くのを、ミリアも並んでる中で
他にも気になって
「はぁ・・っくぁ、・・腹減った、」
って、横のケイジの。
「一体、どこに連れてかれるんだろうな?」
って、横でワクワクしているようなガイの声も。
「おいリース、寝んなよ?」
「・・どこ・・?ここ・・、」
「迷子になんなよ?」
「ガキか、」
って、傍にいた、知らないおじさんに言われてたけど。
ぁん?と
「あれ?おっさんも来てたのかよ。」
「お前らも来てたんだな。つうかちゃんと目を覚まさせとけ、怪我するぞ」
「誰だ?」
「たまに話しかけてくるおっさん」
そう言われれば見覚えがあるような、ロビーとかでコーヒー休憩をよくしているような。
「なんだそりゃ、」
とりあえず、うちのメンバーたちは相変わらずマイペースみたいだ。
そんな事より、進んでいて、ほどなくして近づいてきたその扉を通り抜ける、少し
「ぉー?」
「おーなんだここは・・?」
周りの人たちが
真っ直ぐに伸びる通路は、壁や床は
照明も明るいけど、目が慣れれば普通のちょうどいい明るさのようだ。
でも、横壁には認証が必要そうな扉しか無さそうだし、生活感があまりない、汚れもあまり目立たないけど、まるで研究所のような
「なんだここ?」
って、ガイはきょとんとしているような。
「なんかヤバくねぇか?」
ケイジは楽しそうだし、あんまり危機感は持って無いみたいで。
ふむ、とミリアは小さく鼻を
ちょっと目を
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