第3話 最終決戦!勇者を待つのは生か!?死か!?

俺はドンペルトンさんの家にとうとう到着した。

俺がピンポンを押すと、魔王もちょうどついた。

「お前、そろそろ降参しろよ」

「やだよ。こういうのは勇者が最強になって終わるタイプなのよ。」

しばらくして中からドンペルトンおばさんが出てきた。

「あら、覇権が欲しいのかい?」

「はい!」

俺たちは2人声を合わせて言った。

「でも2人はねぇ…半分こにする訳にも行かないし。それじゃあ2人で戦って、勝った方に覇権を譲るわ。」

「分かりました。やるか、魔王。」

「ああ。俺とお前は今のところ俺が99負0勝…。」

「勝てるわけないだろ…。」

「だが勇者よ、考えてみろ、魔王と言ったら何がある…?」

「弱点…」

「じゃない。」

「もしかして、第2形態?」

「正解。」

魔王はみるみるうちに姿が変わっていって、次第にでかくなり…!やがて小さくなり、元に戻った。

「さあ、始めようじゃないか。」

見た目は変わらないがきっとパワーアップしたのだ。

そんな事を思っているとー

いきなり俺は衝撃を受け後ろに吹っ飛ぶと思うとー魔王が瞬間移動し、俺を下に向かい殴り飛ばした。俺はそのまま地面に衝突…!!!なんと魔王はかなりパワーアップしているようだ。これはまずい。ただしパワーアップしたのは魔王、お前だけではない。俺の先程の結合再結合の魔法が、何故MPを全消費するのか見せる時が来たようだ。そう、再結合すると俺はHPもMPも満タンになり、さらにパワーアップするのだ。つまりあの呪文は俺にとって最強クラスと言えるだろう。お互いパワーアップを果たしたため、ここからは全力衝突になる。俺の全力を見せてやるぜ。俺は今まで逃げ続けてきた。だが、この世には動かない鉄則がある。そう、「魔王からは逃げられない」。俺は既に魔王と「エンカウント」してしまったのだ。俺は背中の剣の鞘を久々に抜いた。魔王は波動弾を放ってくる。俺はそれを剣で弾く…!そして俺を追い続けてきた日本やロンドンの者達よ!どうやら俺が覚えた魔法を使う時が来たようだな。それはズバリ、【意地を操る魔法】である。と言ってもまだ成長段階だ。恐らく人にしか使えない。これを俺を追ってきたものに早速使用…!

【追うべきは勇者ではなく魔王…。】

さあ魔王、次はお前が逃げる番だ。そして

俺もお前を追うッ!

あ、かーちゃんは危ない目に合わせたくないから弁当貰って帰ってもらった。早速駐輪違反だの補習に来てないだのトイレを覗かれただの等の怒りは魔王の方へ向かった。ただ、そんな人間たちが向かった所でどうなるのだ、という話だが、俺も当然馬鹿ではない、彼らに呪文をかけている。そう、それはつまり一時的なレベルアップの魔法だ。つまり、魔王が魔王軍を手下にしていたように俺もこの人達を手下に使う、という訳だ。

「ふふ…勇者よ?新しい呪文を身に付けたのはお前だけじゃない!この俺もだ!」

「そう、俺の呪文は【反転】能力だ。」

魔王は俺の手下たちに反転とやらをかけると…!

なにィ!俺に向かって走ってきている!なるほど、反転、つまり逆の意思を持たせることが出来る訳だ…!俺の意志を変える呪文で…! よし、ひとまずこいつらの意思のエネルギーを0にした、これで正真正銘の一体一だ。

「行くぜ魔王!」

「来いよ勇者!」

「…ほんとに来るの?」

俺は剣を振りかぶり魔王に攻撃ーと思ったがとてつもない覇気と殺気を感じ、咄嗟に攻撃を緩める。その刹那ーなんと、俺が切っていたのは魔王ではなく自分自身だった。肩に剣が当たり、切れて鮮血が滲む。思いっきり攻撃してたら死んでたぜ…。

これが…「反転」ッ!

しかしこの反転…種類があると考えてみろ…プラスに対しマイナスを掛け算すれば反転する…。そういう種類の反転かもしれない。

でもマイナスに対しプラスをかけてもマイナスのまま…つまりマイナスである闇属性を放てば反転できず喰らう!あいつの呪文はいつも中途半端な所あるから、試しに闇属性の魔法を放った!が…!

なにーーっ!!!これも反転し光属性の攻撃が飛んでくるッ!俺は左に咄嗟に避けたがなんと反転し右に避けている…!!!しまった、光属性の呪文がカーブしている!当たるーっ!!!!

俺は光属性の呪文をもろに食らってしまった…

どうやら根本的なエネルギーだけを反転させてしまうらしい…。

どうしよう…剣も呪文も効かない…意志を変える力は人間にしか効かない…。あと俺に残されたのは「アイテム」コマンドだけ…

…いや。

まだある。

それはー

俺が今までずっと行ってきた

最強で最もスリリングな行為、そうー

「逃げる」。

俺はこの土壇場に来て保証は出来ないが逃げる方法を思いついた。そうだ。俺みたいなヘボ勇者には逃げるしか選択肢はなかったんだ。早速その案を実行してみよう。まず俺はアイテムからかーちゃんの弁当を取り出し食べる!

「あーずるい!唐揚げ入ってるじゃん!」

「あげないからな!!!」

食べ終わった!やっぱかーちゃんの飯は世界一だ!力が漲る!HP.MP共に満タンだァ!俺は先程使ったMP全消費の呪文を使用した。そして俺は念の為持ってきた飴ちゃんも食べた。そして俺の意志を変える力!今なら人間のみならず魔王にも効く!絶対だぁ!!!俺は自分の左手に剣を突き刺し抜いた。かーちゃんパワーで痛くないぜ!!俺は血塗れになった剣を振りかぶり魔王に突撃!

「まだ分からぬか馬鹿者!反転の力は無敵だぁ!」

俺は魔王の意志を変え、反転のエネルギーを俺から剣へ向かわせた!そしてその反転エネルギーを剣に溜め込んだ!そう!エネルギーを溜める呪文!さっきの飴ちゃんのMPで使えたぜ!飴はソーダ味だったぜ!俺はエネルギーをまとったその剣を持ち、魔王を通り過ぎ、狙いはー

そう!俺の呪文!俺のこの生命エネルギー、「血」と漲る「弁当」パワー!俺は呪文に向かい剣をぶっ刺した!すると発動した!そしてぶつけるもう1つの生命エネルギーは!地球だぁ!!!!

俺は呪文を全力で地面に打ち付けると地球が一瞬でバラバラになった。そこでこの「反転」のパワーを解放!そして反転するのはー

【魔王からは逃げられない】【逃げる は 敗北。】

このルールを反転だぁ!!!!!!

2つのルールだけを反転させ、地球が再構築された。

「俺の勝ちだ!魔王!」

「なっー!」

勇者は 逃げ出した!

魔王との戦いに勝利した!







俺は何とか魔王との戦いに勝利した。

「やっぱお前は強いなー。100敗0勝になっちゃったな。覇権はお前に譲るヨ」

早速俺はドンペルトンさんの家に向かった。

「おや、あんたが勝ったのかい!」

「ああ!最強になる覇権を早速くれ!」

「はいよ。」

輝くテニスボールみたいな感じだな。手にした瞬間ー

俺はなんかパワーアップした気がした。

「おお!!!体がみるみる回復していく…!!」

さっきのルールも元に戻すことが出来た。最強ってすごいな。

「あ、ちなみに1度君のかけた魔法とかは全解除されるからね。」

「うん!OK!」

「うん、OK…。」

「?」

あ…。

後ろから奇妙な殺気を感じる、、、まさか、、、

あああ!!!!!!!みんなが俺を追ってきてる!!!!!!

「勇者に魔王!補習なんで来ないんだよ!」

「自転車の危険走行だぞ!!!!!!」

「これは違反駐輪だ!!!!!」

「ハンカチ落としましたよ!!!!!」

「あんた身体検査!!!!!!」

「パスポートはどうした!!!!」

「お前ら川口組敵に回したらどうなるか分かってんだろうな!!!」

「チキン余りましたァ!!!!いかがですかぁ!!」

「私の車弁償しろー!!」

「フィッシュアンドチップス!!」

「コンクリートめちゃくちゃにしやがって!!」

「工場を荒らすなガキども!!」

「僕の自転車どこやったんだよォ!!」

これあかんやつや…

「おい魔王!逃げるぞ!!」

「畜生!お前といるとろくな事がねーぜ!」

2人は、誰にもまわりこまれないよう、いつものように素早い動きで。

日本の家に向かってー


逃げ出した!!

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受験と人間から逃げ続ける勇者の冒険譚 ありんこ @ariarideruchi

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