第7話道しるべ

車で山にドライブに行った帰り道、私は迷ってしまった。


「おかしいな、行きはすんなり行けたのに...。」


走っても走っても同じような道。


おまけに電波は圏外と最悪だ。


とりあえず走り続けること一時間。


二手に分かれる道が現れた。


その二手の道、それぞれに道しるべが立っている。


右、アノ道。


左、レイノ道。


「なんだ、これ...。」


一瞬目が点になったが「誰かの悪ふざけか。」と思い、なんとなく左に進むことにした。


しばらく道に沿って進む。


普通の道だ。


そう思ったのも束の間、レイノ道と書かれたお札が木や地面、いたるところに貼り付けられている。


「おいおいおい!なんだこれ!。」


私はパニックになりながらも懸命に走り続けた。


進んだ先にまた二手の道と二つの看板が見えた。


右、焼身自殺。


左、首吊り自殺。


私は車を止めて固まった。


思考が追いつかない。


「これは現実なのか、夢じゃないのか?。」


戻るのも怖い。


進むのも怖い。


そんな気持ちの中、僅かだが私の中に好奇心が芽生えるのを感じた。


「この先を見てみたい。」


私はそんな小さな好奇心に負け、右の道。


焼身自殺と書かれた道に進んだ。


ライトに照らされた木々。


永遠に続くのではないかと思える道。


その先にそいつらはいた。


焼けた死体が道にゴロゴロ転がっているのだ。


避けるスペースはない。


グシャグシャと焼身死体を轢きながら進む。


「はぁ、はぁ。」


もう私の精神は崩壊寸前だ。


道の先にお馴染みの二手の道。


二つの看板。


右、地獄。


左、異界。


私は猛スピードで右の道に進んだ。


赤黒い門が見え、その先には今まで見たことがない残酷な世界が広がって---。













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