第93話
数時間後、彩から連絡がありアンナは彼女の家に訪れた。昔ながらの畳に座り、机越しに話始める。
「と、言う訳で!アンナちゃん、法的解釈を曲解出来る方法が出来ましたよ」
「そうですの!?是非是非教えてくださいまし!」
「じゃあ、簡単に説明しましょう!」
◆◆◆◆
彼女が説明したのは以下の通りだ。
・海には三権分立がある。漁業権、研究権、管理権だ。
・国家は管理権を放棄し、
・NOEsが暴走して各国の漁業権を武力によって放棄させた。
・実質NOEsが持っている権利は「海の三権分立」のうちの漁業権、管理権の二つだ。
・研究権は、
◆◆◆◆
「──という事で、研究権を主張しつつ、廃棄物という体で刺身を売れば大丈夫、という事だね」
「なるほど!いいアイデアですわ!」
「しかし、いくつか問題点が。研究権を使うにしても原則として大学などの研究機関にしか認められないんですよね。あと廃棄物回収業者もダミーの企業があると良いですね」
「ダミーの企業は、お父様が用意してくれますわね!」
そう、アンナの父親はラスベガスを牛耳る社長なのだ。幽霊企業の一つや二つを作るのはお手の物なのだ。
「じゃあ研究権の確保だね。」
「あっ!!最悪な事を思いついちゃいました!」
「何かな?」
「茨ヶ丘って電脳空間では土地の防衛性と地価の安さから大企業が密集してますよね!そして!大企業密集地域には土地の入手の困難性から自動的に危険物の研究権の付与がされますよね!」
「うん。そうだね」
「調べたところ、この研究権には産業用の海洋資源の研究権も含まれてました!東京湾とかの遺伝子変異した生物を研究するなどの権利ですね!大企業密集地域は現実と同じように、大都市周辺に発生します!なので手続きの易化の為に作られたようです!」
「そうだね。臨海産業都市
「vuの土地って基本的には、その政府の法律が適用されてるんですよ!」
「うん。それがどうしたの?」
「河川敷ってvuでも人気ない土地じゃないですか!」
「そもそも放置されてますよね」
「誰の土地でもないんですね。無料で使えるんですよ!!」
「河川は公共用物ですからね。確か……排他的・継続的に使用するなど、自由使用の範囲を超える場合は、河川法の許可が必要ですね」
「そうです。ですので、vuで河川敷を使うのには河川事務所に許可が必要です!」
「なるほど!私にも見えましたよ!」
「手続きを考えると、許可が必要になってコスパが悪いので、vuは放置されています!それに、ここは200年前の制度を流用していますしね!つまり、実際の申請は事務所に直接行かなくてはいけません!」
「はい、それで余計に面倒な事になってるんですね」
「それが可能な私たちなら!実質、大企業密集地域に電子拠点が置けます!すると、どういうことでしょう!大企業の
「なるほど!アンナちゃん、町おこしのアイデアとしては良いわ。でもね、計画をじっくり練ってからにしましょう?長生きしているから言わせてもらうけど、生き急がなくても良いのよ。もっと丁寧にいきましょ?」
アンナはハッとした表情で彩の方を見る。
「そうですね……すみません。わたくし、いつも先走ってしまいますの」
「まあ、そういうところも可愛いんだけどね」
彩はそう言って微笑む。
「それじゃあ、今日はこの辺にしておきましょうか。また明日、連絡するわね」
「はい!分かりましたわ!ありがとうございます!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます