第87話

 暫くして、雫さんとアンナちゃんがやってきた。


「おはようございます」

「こんにちは~」


 二人とも元気そうだ。


「ようこそ、我がラボへ」

「わ~、これが噂のモノリスですか~」

「そうだよ。これが最強の盾なんだ」


 俺はモノリスの説明をする。まず、表面の幾何学模様はシールド生成の術式陣になっている。そして、内部にはナノマシンが格納されている。そのナノマシンが周囲の環境に適応するのだ。


 例えば、砂漠地帯なら水分を吸収したり、寒冷地なら体温を調整したりする。また、人体の免疫機能を高めて病気を防いだりもしてくれる。つまり、あらゆる環境下で生存できるシェルターなのだ。ちなみに、モノリスの内部には酸素もある。


 外部と遮断されても窒息死することは無い。そして、コールドスリープを施すことによって、長期間の滞在も可能だ。いくつかの遺物級技術の複合機なので稼働に必要なエネルギーもほぼ0に近い。まさに究極の防衛装置である。



「それじゃあ、開封します」

 俺がモノリスのロックを外す。


「わあ、本当に棺みたいですね」


「ああ、凄いだろ」


 シューっと冷気が漏れ出す音がした。



「えっ?」



 そう、中には女性が横たわっていた。冷凍保存されているようだ。



「「「ええええええ!!!???」」」



 皆、驚いている。そりゃそうだ。俺も驚いた。

 まさか、こんなことになるとは思わないだろう。



「おい、どういうことだよ……おい、まさか?」

「いやいやいやいや、違うって!」


 マオが詰め寄ってくる。高校生と逢瀬とかシャレにならんから止めてくれ。


「雫さん!こいつロリコンですよ!」

「違うって!」

「私というものが居ながら、最低ですね……」


 コラ、雫さんも乗らない!


「だから違うって!!こっちだってビックリしているんだよ」

「じゃあ何で女がいるんだよ」

「知るか!!見てみろ、この人コールドスリープしているだろ」


 彼女は見覚えのある服装を着ていた。


「これってセーラー服か?」

「そうですね」

「しかも、旧帝大付属高校じゃないか?」

「はい、間違いないですね」


 俺と雫さんは冷静に分析しているが、マオとアンナちゃんは動揺していた。


「え?誰?知り合い?え?え?え?え?」


 それを横目に俺らは冷静に話し合う。


「ええ、でも何者なんでしょう?どうしますか、ロイさん」

「取り敢えず、医者を呼びましょうか」

「分かりました」

「それにしても、綺麗な人ですねぇ」

「ああ、まるで眠り姫だな」


 俺達は女性をまじまじと見つめていた。眼鏡を掛けており、どこか幼さが抜けていない顔立ちをしている。長い黒髪は毛先まで艶があり美しい。


「うーん、旧帝大付属高校ってことなら、間違いなく頭が良いはず。だけど制服のデザインが古いんだよな」


「そうなんですね。そうするとコスプレか何かなんでしょうか?」

「眼鏡なんて古いアクセサリー付けているし、恐らくそうですね」

「ねえねえロイさん!もしかしたらこの人!100年以上前の人なんじゃないですか?!」


 アンナちゃんの言う通り、眼鏡なんて余程の物好きしか付けない上に今じゃ、オーダーメイドのものしか売っていないだろう


「ああ、そうかもしれないね」

「じゃあ、この人はお婆ちゃんなのかよ!」


 マオは興奮気味に言う。


「まぁ、そういう事になるかな」

「じゃあ、起こせばいいじゃねえか」


 マオが提案してくるが断る。


「いや、それは無理だろう。冷凍保存されている状態から、バイタルを安定させるまで数時間は掛かるぞ」

「じゃあ、このまま寝かせておくのか」

「そうだな」

「はは~、まるでお伽噺の世界ですわね~」


 アンナちゃんが感心して言う。


「いやいや、そんな事無いですよ。現にこうして起こっているので」

「ロイさん、普通は信じませんよ」

「いやまあ、確かにそうかもしれませんけど」

「それより、この棺桶はどこに置いておきますか?」


雫さんが聞いてくる。


「取り敢えず、このままにしておきましょう」



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皆様の日々の応援ありがとうございます。現在、絶賛受験中のため更新が難しい状況です。またカクコンも終わりに近づいて来ています。2つほどお願いがございます。


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2月中盤まで受験が続くので、それ以降は更新再開しますので、暫くお待ちください。

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