第86話
市役所に着けば、駐車場に
そう、これが遺物【霊式隔離封印棺】だ。
人間が入れる程度の大きさ。表面には幾何学模様が刻まれている。斥力発生装置及び空間圧縮が施されている証拠だ。これが最強の防御力を誇るベットなのか。仮に例の戦車砲が当たっても傷一つつかないだろう。
「ロイ君、何で
「そりゃあ勿論、政府や自治体など宛てならドローン運送は
「ロイ君、君って奴は意外と抜け目がないね」
呆れ顔で市長は言う。
「じゃあ、早速運びましょうか」
モノリスを持ち上げようとすると、市の職員が手伝うと言ってくれた。ファントムの後方部が展開し、車載出来るようになる。
「お、重いですね。これを一人で運ぶつもりだったのですか?」
職員は一般規格の強化外骨格を身に着けている。
「ええ、これくらい余裕ですよ」
「流石です。では、行きますよ」
俺がモノリスを持ち上げる。すると、背後に控えていたマオも補佐してくれている。
「俺にも持たせろよ」
「いや、いいよ。マオ、腕力なさそうだし」
「はぁ!?舐めんなよ」
三人で協力して、何とか持ち上がる。
「よし、行くか」
俺達は車に乗り込んだ。
「なあ、これって何なんだよ」マオが聞いてくる。
「これは遺物の一つで中に入った人間を完璧に守ってくれるシェルターなんだよ」
「何で、そんなもんが盆栽大会の副賞になるんだよ」
うーん。そう言われても困る。盆栽大会っていうのは良く分からない価値のある物を副賞にするからな。
「盆栽大会だからね。そういうものなんだよ。きっと」
「しかし、遺物っていうとかなりのお宝だろ?」
「ああ。ウン億新円になるだろうね」
「はぁ?そんなものを素手で運ばせてたのかよ」
マオが呆れているが無視しよう。ドームに着き、棺を運んでいく。まるで一昔前の重たい冷蔵庫を運んでいるようだ。
「折角なので、遺物のお披露目として雫さん呼びましょうかね」
「お前、それ雫さんと会う口実じゃねえか」
マオはジト目を向けてくる。
「ははは、バレたか」
「俺もアンナちゃん呼ぼうかな」
「アンナちゃんね~。良い娘だよ」
「料理も出来て、研究熱心で」
ウンウンとマオが頷く。
「まぁ、お前みたいな傭兵上がりじゃお嬢様は仕留められないけどな!!」
「テメエ!!!」
意外にも相性の良い24歳と19歳の男どもは、ワイワイ騒いでいる。
「はい、到着!」
俺たちはラボの地下、古いシェルターに設置する事にした。
「それじゃあお披露目会として、二人を呼ぼうか」
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