第75話

 京都、とある忍者屋敷。


「5日後に行われる盆栽大会、其奴らは来るのか」

「は、おそらく……」


 一人の男が、目の前の男に答える。男は着物を着ている。

 ここはイガ・ニンジャ・ギルドの支店だ。


「ふむ、やはり、その日に動くか」

「ええ、盆栽大会は毎年、あの男がいる限り開催されますから」


 男らは話を進める。


「今年は遺物【霊式隔離封印棺】が副賞として出る。準備しておけ」


 遺物:霊式隔離封印棺。単に棺とも呼ばれるそれは大戦時代、斥力発生装置及び空間圧縮を応用した技術によって作られた産物である。この棺は政府の重要人物の為の寝具だ。言わば空間に安定した切り取り線を作る装置。これによって、要人は安全な状態で生活することができる。


 この棺の技術を軍事転用すれば、局所的だが空間的を切断する兵器、或いは強力な盾が作れることになる。故に、多くの武装勢力が、棺の技術を得ようと暗躍している。 

「御意」

「ああ、そうだ。例の物の準備をしておくように」


 イガ・ニンジャ・ギルドは長年、この時の為に準備してきた。100人規模の大量の義体化兵。5年にも渡る厳しいの修行。そして、ついにこの日が来た。全ては我らが師のため。


「ハッ」


 男達は、部屋から出ていった。一つのアタッシュケースを確認する。中には、広範囲をカバーする妨害機ジャマーと遺物の所有権を強制的に描き替える機械が入っている。

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