第68話

「ロイ君」


 市長が研究室に入ってくる。セキュリティどうなってるんだ!セキュリティは!


 まあいい。


「はい市長、どんなご用件でしょう」


 俺が返答すると、市長は満面の笑みを浮かべてこういった。


「盆栽大会に参加してくれないか」


 BONSAI。分子プリンターによる植物細胞生成の副産物として生まれた芸術作品だ。そして、ここの盆栽大会ではその美しさを競う。


 盆栽大会の審査員には、世界的な植物学者がいる。彼の審査基準は、美しく、なおかつ機能的であるかどうか。


「でも、俺みたいな素人が参加しても大丈夫なんですか?」

「問題ない。毎年たくさんの参加者がいるからね」


「護衛ってついたりしますか……?何せ、京都ですよね。大会が開かれるのって」


 京都。別名、狂都とも揶揄される日本の都市。日本の三大戦闘種族の一つであるニンジャを始め、スシ、ゲイシャガール、etc……。世界でも有数の観光スポットであると同時に、ヤクザの巣窟でもある。


 また、犯罪発生率も東京に次いで高い。

 つまり、俺はなるべくなら行きたくない場所だ。


「安心しろ。シゲさんも京都に用事があるらしく、護衛として来てくれる」

「そうですか」



 一先ず安心した。いや待てよ?


「もしかして、護衛料金って掛かりますか?」


 危ない危ない。ただでさえ一回分の護衛料金で借金しているのだ。今回は断らせてもらおう。安全でない上でお金も取られてしまうならダメだ。


「今回は特別、彼の好意で護衛料金は無しで良いらしい。」

「そうですか」


 どうしようか。正直盆栽大会には興味はあるのだが、何せ場所が場所だ。


「あー、それじゃあこうしよう。前回の護衛費用の残りを私が払おう」


 おお。かなりいい条件を引き出せた。


「それに……大穴が開いているだろう?」

「まあ……はい」


 そう。戦車による攻撃によって壁にかなりの大きさの穴が開いているのだ。風通しが良くなったなんてネタでも言えない。


「信用出来る業者に頼んで、改修工事を行っておくよ」

「それは、ありがとうございます」


 そう考えると区切りとして、旅行するのも良いかもしれない。


「もし、仮に優勝したら全額こちらが負担しよう」

「え?本当ですか?」


 やる気が出てきた。幾らになるか分からないが優勝出来れば儲けものだ。


「じゃあ、頼んだよ」


 俺は、部屋を出て行く市長を見送る。さて、早速取り掛かるか。


「よし!やるぞ!」


 俺は、モニターの前に座った。今日はvuではなく、現実リアルで作業したい気分だ。モチベーション最大の俺は最強だ。


「まずは松のサンプルデータを使って……」




◆◆お礼とお願い◆◆


いつも読んで頂きありがとうございます。


皆様の応援のお陰で、指定の10万字は確実です。


次の章は盆栽バトルをします。


ストーリー構成をゼロから考え直し、大変自信のある物になりました。


是非、ブックマークはそのまま、お楽しみください!

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