第64話 閑話?
俺はアメリカの冴えない青年だった。
「よお、
声を掛けてきたのは友人のビリー。彼はストリートギャングだ。俺を馬鹿にしているのだろうか、いつもハイスクールでつるんでいる奴らを引き連れている。
どうやら、今日は喧嘩を売りに来たらしい。
こいつらは学校でも有名で、特にリーダー格のデブは強いと評判だ。
俺は喧嘩が強い方じゃない。むしろ弱い部類に入るだろう。だから、逃げようとした。
しかし、腰が抜けてしまって動けなかった。情けない話だ。そんな時、助けてくれたのが隊長だった。
路地裏で殴られそうになった所を助けられた。それからも、事あるごとに色々と世話になった。
隊長は俺のことを気にしてくれていた。嬉しかった。まるでヒーローみたいだと思った。ある日のこと、学校の帰り道。いつものように、ビリーたちが待ち伏せしていた。
俺が歩いていると、急に肩を掴まれた。振り返ると、そこにいたのはリーダー格のデブだ。
俺は隊長に教わった喧嘩の仕方を実践することにした。まず相手の顎を殴って怯ませる。そこを突いて脇腹に膝蹴りを食らわせる。後は、ひたすら殴りまくった。
デブは倒れた。すると、取り巻きの一人が銃を取り出した。ヤバい。そう思った時にはもう遅かった。
銃声が響いて、俺は撃たれた。死んだと思った。しかし、不思議なことに痛みはなかった。目を開けてみると、なんと弾は逸れていた。
その時の光景が妙に印象に残っている。それは、弾が意志を持っているかのように空中で方向を変えたように見えたからだ。あれは何だったんだろう?今考えてもよく分からない。
まあそんなこんなで戦闘のセンスがあると言われ、スカウトされた。そして、入隊して数ヶ月経った今では、俺はアルファチームの隊員になっていた。
***
侍の刀が目の前で止まる。俺の首筋には、ヒタヒタと冷たい感触。
「何だよ……殺すなら早く殺せよ!!」
シゲは不機嫌そうな表情を浮かべる。
「いやあ、それがな。殺し過ぎてしまった。これでは妻に怒られる。困ったのう。」
刀の持ち主、老武士は愉快そうに笑っている。
「ふざけんじゃねえ!テメエのせいだろうが!」
老武士はニヤリと笑う。俺はゾクリと背筋が冷えた。
「そうか、お主はあの国の出身じゃったのか。丁度いい。お前を捕虜にしよう」
これが俺はこの街、茨ヶ丘で数奇な生活を送る事になる最初の日だった。
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