第60話

 暴れていた連中は通報によって来た警察官に連行された。勿論、正当防衛なのは監視カメラで立証済みだ。俺らは病院に搬送された。


「いくら生物学的バイオ改造しているからと言って、銃弾を素手で受けるのは、頭がおかしいよ、君」


そういって町医者に包帯を巻かれる。


「いやー。ついカッと来てしまいました」


「君は、若いんだから身体に気を付けなさい」


そういってバンバンと背中を叩かれる。


待合室ではクロエさんが待っていた。


「大丈夫でしたか?」


「ええ、問題なく」


そういって、お金を払い病院から出る。


「せっかくの服選びが台無しになってしまいましたね」


「いえ、自分の服は買えたので大丈夫ですよ」


そういって、歩きながら商店街に戻る。


「今日はありがとうございました。お陰で、楽しい一日になりました」

「それは良かったです」


しんみりした空気で「白の輪」に着く。


「コーヒー淹れますね」


二人でコーヒーを飲んでいるとドアが勢いよく開く。


「ロイさん!大丈夫ですか!!!撃たれたって聞きました!!!」


田舎町の情報の速さは現代の通信規格より早い。


「大丈夫ですよ、雫さん」

「よかったぁ……心配しましたよ……」


クロエが微笑む。


「ふぅ、安心したらお腹が空きましたね」

「今日は何を作りましょうか?」


「う~ん、そうですね。あ、そうだ。昨日作ったカレーがまだ残っていますね。じゃあ、それでいいですか?」


「はい、お願いします」


クロエが裏の調理場に立つ。



「あれ?マスターは?」


「父さんは、研究で忙しいみたいで」


「へぇ~、大変だなぁ」


「あ、でも、たまには帰ってきますよ。ちゃんとご飯食べてるかな?」


そういって三人で残りのカレーを食べる。


「そろそろ稲もいい具合に成長してるんじゃないですか?」


雫さんが聞いてくる。


「あ〜そうですね。じゃあ明日、田んぼに行ってみましょうか」

「私も行きたいです」


クロエが言う。

「良いですよ、一緒にいきましょっか!」



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