第51話
「いい感じに田んぼになってきましたねー」
ロイが呟く。
田んぼの土づくりは農協が準米を作る従来のやり方を真似した。ドーム内の芝生は窒素、リン酸、カリなどが十分にある土壌であるため農地改造車が良い具合に育苗培土が出来上がった。まだ水は入れていない。
茨ヶ丘では基本的に畑ばかりである。水田には水を張るので、広くかつ平らな土地が必要であり、微高地である茨ヶ丘はあまり稲作に向いていないのだ。例外として、マタギの里は準米を作っている。
「
畔塗りとは田んぼを取り囲んでいる土の壁に田んぼの土を塗り付けて、防水加工することだ。
「塩水選は既に終わってるので、次は浸種ですわね!」
種籾に水分を吸収させる浸種。種籾は水分が13%以上になると、呼吸が盛んになり、細胞の分裂や伸長が始まる。また、水分を吸収することで、胚乳の中のデンプンが分解されてブドウ糖となり、新しい細胞を作ったり、呼吸をしたりするエネルギー源となって発芽が促進される。
「しかし、農協のデータ凄く分かりやすくまとめられてますよね」
二人は大吉の農協の米作りの講習を受けたのである。雫も参加すると言っていたが、まだ移住者の手続きなど普通の市役所職員としての仕事を上司に任されている為、欠席である。
この街は高齢化の為にデータ規格の古いものが多く
***
浸種が終わった種籾を育苗箱にまく作業。
なぜ播種機が都合よく手に入ったのか。それは大吉がジャンク屋に頼んで用意してくれたのだ。
「
「そうですねー」
確かにあのおばさんは少々怖い。ガガガと播種機は進んでいく。大変だが農業は楽しい。
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