第49話

 休日の喫茶店のカウンターで四人で結果を話し合っている。


「いやーー成功しましたね」


「大変でしたよ。65層素粒子複合型総技防壁の突破なんて殆ど不可能って知ってます?キー無しで突破出来たのは表に出せれば表彰ものですよ。」


『まあまあ、ソウは引退したのだし、そもそも妾という裏技チートが無ければ突破できなかったじゃろ』


「まぁそうですが」


「お二人とも凄かったですね。俺も本当に死ぬかと思いました。もう二度とゴメンですよ」


「私も同感だな。電脳世界で死ぬのは御免だ」


 市長は話す。お前なにもしてないだろ。


「では、この情報を元に真米の栽培を開始したいと思います」


「お疲れ様でした。ロイさん無理しないようにしてくださいね」


 こうして会議は解散となった。



 ドーム内の農地を真米用にに水田に改造している。農地と言ってもそこまで大きさはないが、六区画ほどの広さはあるので一人で管理するのは大変だ。一区画はレモンに使っているので残り五区画だ。


 区画分で言えばこのドームは50,000平方メートルほどの広さだから...1,000平方メートルを一区画とすると、47区画ほどか。まあ円形だからそのくらいだろう。


 放牧しているコケモモは一区画ほどの柵の中で放牧している。まだまだ発展途上だな。


 農地改造車が頑張って農地改良をしている。


 この施設とこの地域が特殊で、山地と地下の保水施設から大量の水を確保出来ている。プランクトンや準米を栽培している地域でもない限り大規模な農業を新しく始めるのは難しいだろう。


「ロイさん!」


 肩を叩かれ飛び跳ねる。後ろを振り返ると雫さん。考え事と機械音で気づかなかった。車を遠隔操作で止める。


「雫さん、数日ぶりです。どんな用で」


「真米を作るって聞いて、飛んできました!」


「そうなんですか!ちょっと疲れたので休みますけど冷えたレモンで良いですか?」


「あ、お構いなく〜」


 二人はラボまで戻る。2階は相変わらずのソファーとちょっとした事務椅子と机。昔は何人かで研究していたという事が判るだろう。


 隣の研究室の冷蔵庫(と言っても温度を一定に保つインキュベータを代用している)から巨大なレモンを取り出す。


 分子復像機によって無駄に技術を使ったプラスチックストローを挿し、事務室に戻る。やはり石油ッ!石油は全てを解決する!(地上乗用車至上主義エンジリズム脳)


「はい!こちら特性レモネードでございます」


「ありがと、ところでロイさん。何かお困りごとはないですか?」


「え、いや別にないですよ。どうして急に」


「いやぁ〜実はですね。引っ越してきた人で仕事を探している人がいまして」

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