第48話
「それで、妾に土下座しているのか」
「はい。申し訳ございません」
小太りの二頭身キャラが、ケモミミの病的に白い肌の美女に土下座している。ここはvuの隔離された空間だ。
「長よ。お前の家系で妾に土下座して頼み込んできたのは、初めてじゃ。いや初代はたまにしてたな。ロイ、お主は何か対価をくれるか?」
「えっ」
「ただで頼むほど妾は甘くないぞ」
黙る。彼女を満足させられるような対価が思い浮かばないからだ。また借金?
「しょうがない……貸し一つだ」
「いいんですか?」
「修行頑張ってたからな、今回は特別じゃ」
「ありがとうございます」
こうして、二人目の助っ人が決まった。
***
作戦決行日。
自室から
ずらりと並ぶ超巨大な本棚が列をなしている。まばらにアバター達が個人の知りたい情報を集めている。本棚でできた迷路。
大図書館の中はとても静かでまるで時間が止まっているようだ。
『その道を右に、50メートルすすんだ所が受付じゃ』
八尾の指示に従い歩く。俺は受付で電子カードをもらい、閲覧禁止エリアに向かう。
閲覧禁止エリアに入り、エレベーターに乗る。
『慎重に行動しろ』
マスターの声。地下に降り、階段を下りる。薄暗い部屋に着き、パソコンが一つだけポツンと置いてあった。
キーボードに触れると、画面が点灯し、ログインの認証を求めるウインドウが現れる。
画面には【Welcome to The World】の文字とログイン用の英数字の羅列。
『ここからが本番だ』
「お二人とも気を付けてくださいよ。俺はここで脳を焼かれて死にたくないですよ」
『安心せい、妾に任せろ』
『任せてくれ、必ず成功させる』
二人の言葉を聞き、パスワードを入力する。【ログイン完了】のウインドウが現れ、俺は更に奥の電脳世界へと
***
視界には見たこともない景色が広がっている。眼球。眼球。眼球。暗闇の中で無機質な人工知能が無作為に生成した眼球が連続して浮かぶ。
『まずいッ!!罠に嵌った!!汚染されるぞ』八尾の悲鳴。
『待ってくれ!私も解除しようとしてるんだ』
二人が騒いでいるのが自然と遠ざかっていく。
『気を失うな!!!』
八尾の悲痛な叫びが聞こえる。
『……良し!解除出来た!』
マスターの声。フッと身体が軽くなる。
「危なかった。危うく
『大丈夫か?』
「ご心配なく。死にかけただけです。それより古めかしいイケオジ言葉使い治ってますよ」
「これからはコーヒーにワサビ入れて提供しますね」
「すみませんでした」
***
さっきは焦った。危うく
都市戦争。言語統一計画。こちらの棚は政府関連のものだ。
下手に触って足跡を残さないよう背表紙を見るに留める。
阿吽。白鯨。鵺。地葬。この辺かな。ズラーと並ぶ背表紙をじっくり見ていく。これ名前の順になってないの、これも罠だろ。
真米と書かれた書籍を手に取る。これだ!
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