第42話

 数日後、ロイと市長は農協に集まった。大吉と向かい合う。


「それで、どこまで話は進んでいますか?」


「お二人が真米を作りたいことは分かった。しかし、農協うちでは米を扱っていないんだよ」


「農協を名乗っているのにですか?」


「ああ。これに関しては馬鹿にされてもしょうがない。真米に関する権利は政府が管理し、財閥が牛耳っている。幸い、種籾と準米の遺伝子データは十分に揃っており協定により実験用での栽培は行えている。そちらは貸し出そう」


 前回と違って大吉は素直に協力してくれるそうだ。


「こちらでも調べました。日本種子保存協会ですね。財閥の共同出資で作られているやつですね。では、そこに所属している人にアプローチを掛けるのが一番早いですかね」


「財閥って言うと、草薙アームズ水鏡メディア天照ホスピタル月読メガバンクだな」


「はい、そうなりますね」

「市長、コネないですかね...」

「残念ながら無いな」


 ロイは意を決して発言する。


「では、大図書館ライブラリからデータを貰うのはどうでしょう」


「ああ、あれか。それは私も考えたんだが、流石に難しいだろう。あそこの情報はトップシークレット扱いだ。例え君でもおいそれと閲覧は出来ないだろう。ましてや協力を要請するのは現実的では無いだろう。諦めたまえ」


「いや、ですが!財閥に手出しをするよりは遥かに可能性があります」


「ふむ、それもそうだな。よし、分かった。奥の手を使おう」


「はあ、お願いします」


「君は今からvuで開かれる財閥のパーティーに行くんだ。そこでコネクションを作って来い」


「いや、いやいやいやいやいや、無茶言わんで下さいよ。コネがあるなら僕に依頼しませんよね?僕はただの町おこし実行班ですよ?」


「いや、君はもう立派な大人だよ。私の娘だって君には一目置いている……それに娘と付き合いたいんだろう?」


「そういうことじゃ無くてですね!……はあ、分かりましたよ。でも無理だと思ったらすぐに引き返させてもらいますからね」


「ああ、構わない」


「はあ……」


 いつも俺は運が無いんだ!!ちくちょう!パーティーでも何でもやってやる!

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