第17話
黒の輪でエミリが叫ぶ。
「それで?私に何も言わずにマスターの所に行くなんて酷いじゃない!!!」
「すみません」
「マスターもマスターよ!ロイちゃんの事を引き抜くのに抜け駆けするのは卑怯よ!!!」
「ついつい」
「ついつい、じゃないわ!!!!ロイちゃんと賞金稼ぎやるつもりだったのに!!!!」
「俺、平和主義なんですよ...」
「でも!!!!あなた戦えるじゃな」
「「シー」」
ロイとマスターはエミリを黙らせる。
「どこで聞かれてるか分からないので、その話は無しで」
「すみませんエミリさん。”アレ”がバレないようにこちらに引き込んだんですよ」
「そうね。今ごろ専務は必至で探してるでしょうね」
専務というのは、ロイの元の職場の重鎮で、ある事をきっかけにロイを消そうとしている。彼にばれないように茨ヶ丘に引っ越すことを計画したのだ。そしてロイは、無事に引っ越すことが出来た。エミリと一緒なら今頃死んでただろう。専務との件は町おこしとは別にいつか解決すべき問題だと思っている。しかし今はコケモモでの町おこしで忙しいので、しばらくは後回しだ。
「はぁ...」
「ロイちゃんどうしたの~?。そんなに落ち込んで」
「いや、専務面倒くさいなって」
「私も何とかしようとしてるんだけど、やっぱりセキュリティが硬くてさ~~~。今度そっち言って良い?」
「ダメです」
「何でよマスタ~」
「あなたが来たらバレるので」
「え~~~ロイちゃんマスターが酷い事言う~」
「ちょ、くっつかないでくださいよ」
「いいじゃん、どうせ電脳的な経験なんだから~それに童貞でもないのに何でそんな恥じらうの~?おらおら~~」
「乳を押し付けるなーー!!」
「お二人さん、他のお客様の迷惑になるので控えてください。出禁にしますよ」
「「すみません」」
「それでロイさん。キメラの方はどのくらい進んだんですか?」
「順調に進んでます。今、細胞に転写して孵化させてる途中です」
「なるほど、それじゃあ暫くはそちらを中心に動く感じですか?」
「そうですね」
「じゃあ、しばらく会えないんだねーー私寂しいわ///」
「...」
「本当は貴方と一緒に狩りがしたいの♡」
「...」
「新しい義体も一緒に見てほしいかな。あと、本物のスイーツも食べてみたい。本当もうロイちゃん好きだわ〜」
「うるせえ(素)」
「キャ///」
「まあ、vuにはちょくちょくログインするので気にしないでください」
「は~い、じゃあねーロイちゃん」
そういうとエミリの姿が消えた。どうやらログアウトしたようだ。
(エミリさんは相変わらずだな)
ロイはvuを後にして現実に戻る。
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