第12話
ロイは頭を悩ませていた。どんなキメラなら食用に最適か。AIが示した結果は危険性が伴い、下手したら飼育中にこちらが襲われかねない。結局は実用性の無い見た目だけの個体ばかりだ。
AIとの意見の相違。21世紀以降、高性能なAIによって多くの職業が奪われた。2045年問題。AIは
巨大なカエル、六本脚の牛、二足歩行するウサギ。ロイはホログラムに投影させたこの動物たちを見てため息をつく。
カエル肉はvuで食べたことがある。あっさりとした味わいで鶏肉に似ている。色々なお酒にあうだろうがAIが提示しているものは余りにもデカい。
カエルは小さな虫を食べるから飼育しやすく、多数を育てるのが妥当だ。仮に小さいサイズで美味しいものを作ったとしても、やはり人間が持つ本能か、若干の嫌悪感を催す。却下。六本脚の牛はいいアイデアかもしれないが牛の足はそこまで需要がないな。
今度豚にこの遺伝子を持ってきてどうにか豚足を増やせないか考えてみるとしよう。
二足歩行するウサギ。確かに二足歩行は今まで出来た試しがないからいいアイデアかもしれないが人間のようでやはりちょっと食指が動かない。
う~~ん。なかなかいいアイデアが降りてこない。
そんな時だ。扉の向こうから声が聞こえる。
ノック音。
どうぞという返事を待つことなく雫は部屋に入ってくる。
「おはようございます」
彼女はいつも通り広報用の極薄曲性のタブレットを携えており、ロイの前に立つ。雫は一呼吸置く。
「ここ二週間、全く休みを取ってませんね!vuにもログインしてませんし……マスターが心配してましたよ。最近はラボに籠りっきりで、サプリしか飲んでないじゃないですか。そんなんじゃ気が狂ってしまいますよ」
バンと机を叩きロイを見る彼女の顔には心配の色が浮かぶ。確かにロイは休みを返上してまで実験を繰り返し、ろくに睡眠をとっていない。
彼の目は血走り、眼の下には濃い隈が出来ている。
「いや、軽く生体改造されているし、まだ三日は寝なくても大丈夫だぞ。なんなら前の職場では二週間寝ずに実験したこともあったなhahaha─」
「ロイさん…あなた深夜テンションで今物凄い躁状態ですよ。寝た方が良いですよ」
「いや大丈夫ⅾ」
「寝てください!!!!」
有無を言わさない雫さんの声で寝る事にした。ソファーをベッド替わりにして寝る。横になり数分後、意識が飛ぶ。
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