32.女の疼き
グスン。
公然で、しかも初見の私とパーキンス、ドライデンの面前で叱責され旦那の浮気と自身がマードックの性処理係である事も暴露されトロイの目尻から一筋の涙が零れた。
トロイが人差し指で目尻に溜った涙を拭い大きく息才した。
それを見たマードックが言い過ぎたというような悔恨を感じている表情に変わった。
ケッ、泣き落としかよ。
フッ、男ってのは女の涙に弱い生き物。
私は、このトロイって女に憐憫の情は沸き起らなかった。
だって、この女は私にコーヒーを淹れなかった女だから。
マードックがトロイの前に歩み寄りカップを握っていない右手で肩まで伸びたトロイの黒髪を耳に掛けた。
「おい、トロイ、ちょっと言い過ぎた。俺が悪かった。機嫌直せよ、なあ、トロイ。笑っている時のお前の方が可愛くて俺は好きだぜ。今夜はお前の好きな立ちバックで可愛がってやるからさ。な、だからいいだろう、拗ねてないで機嫌直せよ、ほら」
マードックがトロイの目尻から伝う涙を親指の腹で拭ってやり唇にチュッとキスをした。
うわっ、キモッ!
いくらトムクルーズのような顔立ちでも空襲後の焼け野原みたいな頭頂部のおっさんにキザったらしい言葉で攻められてキスまでされたら鳥肌立っちゃうんですけど。
だが、トロイは違った。
「ほんとなの?今日は私の大好きな立バックでガンガン突いてくれるの?」
「ああ、突いてやる。腰が抜けようとも、お前のヴァギナがぶっ壊れるまでガン突きしてやる、ハニー」
トロイの表情が500万ルクスのLED電球のようにパッと明るくなった。
いくら性処理係でも旦那にNASAの見習い宇宙飛行士と浮気され女の疼きが抑えきれずに甘えん坊で甘ったれの甘ちゃん中の甘党の利かん坊のマードックのポコチンでも欲してしまうのだろう。
下半身でしか物を考えられないという人の典型的模範例だ。
そう言えば、さっきのジョアンもそうだ。
私がパーキンスにフェラしてあげたのだってそうだ。
女は上のお口も下のお口もポコチンを求めているのだ。
それが自然の摂理なのだ。
私はトロイの元に横み寄り肩をポンと叩いた。
「あんた、今晩は立ちバックでガン突きされて今までに感じた事の無いオーガズムに達するんだよ」
私は振り返りマードックに言った。
「今夜は野獣ボブ サップのように突いて突いて突きまくってファックしてあげてちょうだい」
マードックは前歯の金歯をキラリと覗かせて笑みを浮かべた。
「ああ、勿論そのつもりだ。膣の奥深くまで俺のディック(巨根)を捻じ込んでやるぜ」
私は興奮のあまりポコチンを勃起させていたマードックの股間のテントをちらりと見た。
ディックと自分では言っていたが実物はパーキンスのグロックと然程大差はなかった。
男とは見栄を張り虚勢を張り股間にはテントを張るバカな生き物。
マードックが胸の前で手をパンと打って言い放った。
「よし、まあ、そんなこった。俺とトロイには新しいミッションが神から命じられた。神が欲望の欲するままにファックしろと言っておられる。コスビー、ホルム、後は任せた。翌朝9時までは俺に連絡するな」
マードックはパーキンス、ドライデン、私の順で握手を求めてきた。
パーキンスが言う。
「幸運を祈る。チンポの皮が擦り切れるまで彼女をファックしてやってくれ」
マードックが無言で頷く。
ドライデンが言う。
「カァーーー、捜査官、今夜の夜勤は超重大だな。俺にもいいスケがいたら紹介してくれよ」
マードックが無言で頷く。
私が言う。
「私は人工妊娠中絶には賛成派だからおもいっきし中出ししてあげるといいよ」
マードックが無言で頷く。
「パーキンス保安官、コズニックの件は心配しなさんな。大船に乗ったつもりであんたはドンと構えてればいい。それじゃ」
マードックの左腕にトロイが腕を絡ませ手を組んで入り口に向かう。
途中で止まってマードックとトロイは私達の目も憚らず舌を絡ませて熱烈なディープキスをした。
ドライデンがヒュ~と口笛を鳴らす。
そして、マードックとトロイはビュイックのハッチバックに乗り込み公道にバックで出るとタイヤをホイールスピンさせて夜の帳へ消えていった。
コスビーが慇懃な物腰でパーキンスに言う。
「では、パーキンス保安官、なにか進展がありましたら追って報告します。それでは、また」
コスビーとホルムもトヨタのステーションワゴンに乗り込むと安全運転で夜の帳へ消えていった。
保安官事務所から2マイルばかし行ったところに【ペイバック】という安モーテルがある。
マードックとトロイは、その安モーテルに金を払い(ペイ)立ちバックを思う存分楽しむであろう…
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