22.部屋で猥褻な私
射精後。
ハッと我に返ったパーキンスは「き、気持ち良かったよ」と言ってボクサーブリーフとブラックデニムをずり上げた。
何だか余所余所しい態度に急変したような気がする。
「お、俺は職権を乱用していると思うか?」
私は明鏡止水の境地で答えた。
「別に。あなたは自分に与えられた職務を忠実に遂行しているだけだわ」
パーキンスは真面目腐った顔付きで言った。
「コーヒーでも淹れて来る。あんたも飲むだろ?」
「有り難く頂くわ」
パーキンスは取調室をそそくさと出て行きコーヒーを淹れだした。
コーヒーメーカーからコポコポと音が聞こえてきて香ばしいコーヒーの香りが取調室まで漂って来る。
私は一人の男を満足させたという充足感と香しいコーヒーの香りに夫の存在を忘れていた。
最後に見た夫はボリュームの無い髪を風に靡かせて寂し気に佇みながらルームミラーに映っていた。
まぁー、今の私がこんな状況に陥っているのも夫のきちがいじみた蛮行に端を発するのだから、まっいっか!と軽く割り切る。
久し振りに味わった他人棒も悪くはないというものだ。
上のお口は貞操観念はないけれど下のお口は大丈夫と自分に言い聞かせる。
さっき銜えたポコチンの味を思い出していたらカップを二つ持ってパーキンスが戻って来た。
「まー、飲んでくれ」
私はカップに口を付けてコーヒーを啜った。
パーキンスもラップトップを自分の方に向けて供述書を人差し指だけでポチポチと作成しだした。
「お嬢ちゃん、あんたには借りが出来た。供述の際に涙を流しながら反省していたと記述しておく。後、裁判が始まったら真摯に反省しているので更生の余地を残してやってくれと俺からも情状の上申書も判事にかいてやる。安心しろ。あんたはムショには行かなくても済むだろう」
私はカップを握っているパーキンスの手の甲を指でなぞって言った。
「ありがとう」
パーキンスは赤面した。
パーキンスは早漏だったのでドライデンの帰りまで暫く時間があった。
パーキンスは短い供述書を作成しラップトップに保存し終えると言った。
「俺は、あっちで本でも読んでる。あんたはこのパソコンで時間でも潰していてくれ。
私はパーキンスの温情に報いる為に「もう一回抜いてあげようか?」と言った。
パーキンスが肩を竦めて言った。
「俺ももう57だ。あっちの方も一回イッたら後が続かん。昔の若い頃みたいに連続射精は難しいもんさ」
「でも、奥さんとはご無沙汰だったんじゃないの?」
私はパーキンスに歩み寄りブラックデニムの上からポコチンを摩った。
「お、おい、そんな事されたら俺も男だからな」
口では連続射精があーだとか言っていたがポコチンは正直だった。
ちょっと摩ってあげただけでパーキンスのポコチンはピサの斜塔のようにそそり立った。
私は夫とはセックスレスだったので久し振りに味わった他人棒が、たった数十分で愛おしくなっていた。
私はベルトのバックルに手を掛け慣れた手付きでブラックデニムとボクサーブリーフを下ろしてポコチンにむしゃぶりついた。
私は無我夢中にしゃぶった。
「アー、ウー、ウッ」
パーキンスが壊れかけのブリキのおもちゃのように果てた。
また苦み走った白濁の液体が喉元を過ぎ去っていく。
日本の格言にもあるではないか。
喉元過ぎれば苦さ忘れると。
射精まで要した時間は2分11秒。
さっきよりも早いじゃないの!
私の体内時計は日本のスーパージョッキー豊 武ばりに正確だ。
普通、男は一回抜けば二回目は中中イカないのに一回目よりも二回目の方が早いなんて。
私のフェラテクも満更捨てたもんじゃないわね。
このフェラテクだったら一晩に50人くらいの客を取ってウハウハだわ。
何よ、連続射精は無理だなんて。
2分11秒はノーザンソウルのシーンで注目を浴びていたベイビー ワシントンの“ディープ ダウン ラヴ”と同じ時間だわ。
たった2分11秒。
私は久し振りのポコチン、しかも他人棒をもっと味わいたかった。
私は、まだまだ物足りなかった。
あの白濁の液体をもっと味わいたい。
私は上目遣いでパーキンスを見つめて言った。
「後一回くらいイケるでしょ」
私は射精直後のポコチンにむしゃぶりついた。
「アー、アー、ウー、だ、駄目だ、俺はもう狂っちまいそうだ」
私の愛のこもったフェラでパーキンスは精神科病棟の廃人のように果てた。
「ア、ア、ア、ウー」
放心状態でディープにダウンするパーキンス。
今度の射精までに要した時間はディランの“トゥームストーン ブルーズ”(墓石のブルーズ)と同じ5分58秒だった。
ディープにダウンした直後に廃人同然と化したパーキンスは墓石の下に直行した。
最愛の妻子を眼前で交通事故で失った憐れな男の様にポコチンを出したまま茫然と立ち尽くしているパーキンス。
今日の私はなんて大胆で猥褻なんだろう。
取調室で猥褻に乱れる私。
確か日本の愛理 平松とかいった歌手のヒット曲に“部屋とYシャツと私”とかいう曲があったな。
今日の私は取調室という名の部屋の中でとっても淫らで猥褻な私だわ。
私の日本語のスキルを生かして日本で歌手デビューする日がいつか訪れたら“部屋で猥褻な私”という曲でデビューしよう。
そういえば夫が著作権侵害の違法サイトで日本の『ミュージックステーション』をよく見ていたな。
タモリが言う。
「今夜のミュージックステーションはアメリカから素敵なゲストがやって来てくれました。キャシー マッキンタイアーさんです」
私は飛び切りのスマイルで日本のファンに向かって言う。
「こんばんは、日本の皆さん」
タモリが仰天する。
「いやー、驚いたなー。キャシーさん、日本語お上手ですね。キャシーさんはアーカンソーの貿易会社で日本の業者との電話応対やメール、ファックスなどでの通信業務の仕事をしていたそうなんです。だから、日本語がお上手なんですねー。俺もキャシーさんに日本語習っちゃおっかなー」
私はアメリカ人っぽくわざと片言で謙遜してお道化てみせる。
「ワタシ、チョトダケ。チョトダケ、ニホンゴワカル」
タモリが突っ込む。
「またまた、そんな事言っちゃってー。ほんとはデーブ スペクターよりも上手いんじゃないのー。ところで、今日歌ってもらう“部屋で猥褻な私”は実話を基にしてるって聞いたんだけどほんとなの?
私は頬を赤らめて言う。
「そう、そうなんです。実は私、昔、逮捕されちゃって。その時の取り調べの時に、ある事を黙っておいてもらう為に交換条件で保安官のポコチンをフェラしてあげたんですー」
タモリが身を乗り出して興奮気味に言う。
「そ、そ、それ、ほんとなの?何だか話聞いてたら倅が元気になってきちゃったなぁ~。あー、早く聴きたい。じゃ、早速歌ってもらいましょう。キャシー マッキンタイアーさんで“部屋で猥褻な私”です。どぞ」
私はスポットライトを浴びながらアリーサのようにソウルフル、そして、パワフルに歌う。
あっ、やばいやばい。
久し振りのポコチン、それも他人棒という幸福に酔い痴れ、またも妄想が膨らんでしまった!
私は二度続けて白濁の液体を飲み干して喉がいがらっぽくなったので飲み掛けのコーヒーを飲んだ。
射精してから3分ちょっと経っているのにパーキンスはポコチンを出したまま茫然と石像のように固まっている。
私はコーヒーを啜りながらパーキンスの前に立った。
私が眼前にいるにも関わらず尚も石像のようにぴくりともしないパーキンス。
私はパーキンスの鼻先で指をパチンと鳴らした。
すると、催眠術から解き放たれたかのようにハッと我に返った。
「ハッ、お、俺は一体何をしてたんだ?」
足首までずり下がったブラックデニムとボクサーブリーフを見てパーキンスは『レナードの朝』のデ ニーロのように目覚めたようである。
既にしょんぼりとなっているパーキンスのポコチン。
何をしていたかパーキンスは察した。
私はニタニタ笑いをしながら言った。
「お掃除してあげよっか?」
「い、いやいい。あ、ありがとう。この思い出は墓場まで後生大事に持って行くよ」
そう言い終えると慌ただしくボクサーブリーフとブラックデニムをずり上げ、そそくさと取調室を出て行った。
一人取調室に残された私。
私はカップの中のコーヒーを飲み干した。
もう一杯飲みたい。
私は自分の家のように遠慮なく立ち振る舞った。
コーヒーメーカーからカップにコーヒーを注ぎ取調室のラップトップの前に座ると私はオンラインカジノでバカラに興じた。
オンラインカジノには230ドル分のチップが残っていた。
この前の水曜に元手が30ドルで200ドル儲かっていた。
だが、その前の水曜には熱くなり過ぎて500ドルやられている。
3ヶ月前くらいからオンラインカジノを始めたがトータル2000ドルくらいやられている。
私は、その負債分を取り返そうと躍起になっていた。
5分後。
やられた。
やっちまった。
物の見事にたった5分で230ドル分のチップを失ってしまった。
もうチップは残っていない。
昨晩のフィオナ邸から始まった散財は既に470ドル。
絶対にこの借りはオンラインカジノで取り返してやる。
この発想に至った時点で私は負のスパイラルに突入していたという事をこの時は知る由もなかった。
私はコーヒーをもう一杯注ぎに行った。
革張りのマホガニーのデスクに足を投げ出して座っているパーキンスをちらっと横目で見た。
後頭部で腕を組んでデスクチェアに大きく身を預けポカーンと虚空を見つめている。
本を読むとか言っていたがニヤニヤと思い出し笑いをしながら薄知の子のように虚空をぼんやり見つめている。
さぞ気持ち良かったのだろう。
今はそっとしておこう。
私のフェラ顔を懐古させながら…
私は取調室に戻り仕方なくネットゲームでバックギャモンに興じた。
左手で頬杖を突きながらマウスでポチる。
今日は、これでコーヒー4杯目だな。
カフェインは自律神経を乱す悪の枢軸だ。
だから最近、私は不眠に悩まされている。
悪の枢軸かぁ~。
ジョージ“W”ブッシュが偉そうに言ってたな。
そう言ってアメリカの大統領は他国の戦争に介入したがる。
だって軍事兵器が売れれば政治家の懐に献金ががっぽり入るんですもの。
何が民主主義の根幹だ。
何が侵略国家は許さないだ。
バイデンのボンクラは自国がインフラで景気後退に突入してるのにウクライナに武器だけ送って自国の兵士は送らない。
完全にウクライナを利用してロシアの弱体化を狙っているのが見え見えではないか。
所詮、ウクライナの国が破壊され多くの国民が犠牲になってもバイデンの懐は痛むどころかパンパンに膨れ上がっていくのである。
戦争が長引き世界が恐慌に陥ろうと特権階級の奴らは裏で懐を肥やしているのだ。
戦争が長引き貧困国の人々が飢餓に苦しもうが金持ちの腐った政治家どもは口先だけの偽善者ばかりなのだ。
ゼレンスキーのクソヤローも「もっと武器を送ってくれ」だとか言いやがって。
和平交渉も満足に纏めきれないノータリンでプーチン同様、戦争犯罪者だ。
殺し合いたければ政治家同士でやり合えつーんだよ!
何の罪もない国民を巻き込むなつーんだよ!
私には愛国心なんてない。
先程、瞬く間にオンラインカジノで230ドル失った寂寥感と相まって、またしてもペシミズム的思想に傾倒してしまった。
そうこうしてるとドライデンが保安官事務所の扉を開けてしょっぴいてきた男に何か言っている。
「手間取らせるんじゃねえ、このクソガキ」
私とは打って変わって両手首を後ろに回され手錠と腰紐を付けられた17,8くらいの兄ちゃんがいた。
「保安官、しょっぴいてきました」
ドライデンが精悍な顔付きで晴れやかにパーキンスに報告した。
パーキンスが先程の廃人のような状態から一変し俺がこの町の保安官なんだぜ!モードに切り替わった。
ドライデンといい、パーキンスといい表と裏で見せる顔がナイアガラの滝のような落差でわたしは何だか楽しくなってきた。
私は今、逮捕されているというのに…
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