20.迷惑防止条令違犯
ど、どえらい事!?
わ、私は一体、何をやらかしたのであろうか?
さっき食べたチョコレートをプレッツェルだと言い張る認知症の老人のように昨晩の記憶が私の記憶倉庫からすっぽり抜け落ちている。
私はリトルロックのクリントン記念館の壁にまんこマークを油性マジックで書いてしまったのであろうか?
だが、果たして、それが市の迷惑防止条例違犯に該当するのであろうか?
クリントンは現職時代にモニカ ルインスキーのまんこにちょめちょめしてたんだから油性マジックでまんこマークなんて悪戯もご愛嬌ではないだろうか?
や、やばい!
ディランの“ブルーにこんがらがって”のように頭の回線がこんがらがって気分は、もう新伍 山城のようにちょめちょめの気分だ。
わ、私は一体何をやらかしたんだ?
パーキンスがラップトップの前のパイプ椅子に座りラップトップのキーボードを人差し指で叩き出した。
どうやらブラインドタッチは出来ないらしい。
パーキンスが人差し指でポチポチしながら言った。
「ベントンビル3丁目13番地のフィオナ ターナーを知っているな、お嬢ちゃん」
キーボードをポチポチする手を止めてパーキンスが私を見た。
私は無言でこくりと頷き話の続きを聞いた。
パーキンスはポチポチをしながら言った。
「彼女から被害届が出ている」
私はドンペリのプラチナの事だなと思った。
「何でも彼氏の高級スポーツカー、マセラッティがボコボコにされていると連絡があった。昨夜は俺が当直でドライデンは非番だった。俺は嘆いたね。こんな月が綺麗な夜に事件だなんてとね。それで、俺はフィオナ ターナーのマンションに向かった。俺は彼女とマセラッティの所有者であるジェイク キーガンから話を聞きあんたとの口論の事を聞いた。だが、あんたと彼女達との口論だけでマセラッティの破壊行為に話を繋げる訳にはいかんのでな。俺は状況証拠を積む為に実況見分と証拠写真、それに近くの防犯カメラも当たったんだ。それで、この映像を見て驚愕したという訳なんだがね」
そう言い終わるとパーキンスはラップトップのディスプレイをくるりと回転させ私に向けた。
そ、そこには驚くベき映像が移されていた。
私がジェイクのマセラッティのボンネットの上にホップ、ステップ、ジャンプの要領で飛び乗った。
私は周囲を気にする訳でも無くベルトのバックルに手をかけバックルを外す。
そのままジッパーダウンするとデニムとパンティを一気に下ろしうんち座りして脱糞していたのである。
えー、えー、えー、マジっすか!
薄暗い中での暗視カメラでの映像なので断定は出来ないが、お尻から放り出されたうんこの影を見ると特盛の牛丼のようだ。
私は特大のうんこをマセラッティのボンネットに放り出すと徐に立ち上がり、お尻も拭かずにパンティとデニムを履いてジッパーを上げベルトを締めていた。
だ、だからか!
さっきシャワーを浴びた時。
お気に入りのライトヴァイオレットのTバックのパンティを脱いだ時にTの部分にうんこがこびり付いてたのはこれが理由だったのか!
映像は尚も続く。
私はマセラッティのボンネットから飛び降りて工事 仲本よろしく!体操の選手が着地を決めた時のポーズをこれみよがしに取っていた。
そして、私はデニムのポケットからライフのキーを取り出しマセラッティのボンネットにキズ付けながら絵を描いているようである。
絵を書き終えた私は欽ちゃん走りでライフの運転席の所まで戻っているようだ。
運転席側の天井にはバッグとどうやら開封しているドンペリが置いているようだ。
私はドンペリのボトルを掴みラッパでぐびぐびやっている。
そして、バッグを引っ掴み運転席に乗り込むと車を急発進させバックでマセラッティのフロントバンパー目掛けて突っ込んで行った。
ガシャーン!
防犯カメラには音声が入っていないがけたたましい衝撃音が伝わって来そうな生生しい映像だ。
私は、あっちゃーと目を覆った。
指の隙間から見える衝撃映像は尚も続く。
私は何度も衝突してはギアをローに入れ発進させ再びバックして突っ込むという惨状を繰り返したのである。
正気の沙汰ではない。
何かに取り憑かれたように執拗にジェイクのマセラッティをボコボコにしてスクラッップ置き場に送り出してやったのである。
そして、私はタイヤをホイールスピンさせながら急発進してその場を立ち去っていた。
時間にして約12分。
何が私をそうさせたのかは記憶が無くなるまでのフィオナとジェイクの行動が雄弁に物語っているのは明々白々である。
そう、私は憤っていたのだ。
ロバート ジョンスンがクロスロードで悪魔に魂を売り渡したの然り。
ストーンズが“シンパシー フォー ザ デヴィル”で悪魔を哀れんでいるの然り。
そして、デッドのジェリー ガルシアが“フレンド オブ ザ デヴィル”で悪魔のお友達について意味深な歌詞を書いたの然り。
そう、そして私も酒の力を借りて悪魔とサンフランシスコ平和条約ばりに友好的な調印を結んだのである。
「これ、全部、私がやったの?」
私はラップトップのディスプレイ越しにパーキンスの瞳を覗き込んで言った。
パーキンスは余命二ヶ月を宣告され未解決の連続殺人事件を追っていた老警部のように眉間に深く長い皺を刻みこくりと頷いて言った。
「ああ、お嬢ちゃん、全部あんたの仕業だ」
パーキンスは、そう言ってワークシャツの胸ポケットから一枚の写真を取り出して私に見せた。
それは、マセラッティのボンネットの上に放り出された私の極太特大うんことポコチンの形にキズを付けられた写真だった。
私は写真を手に取りまじまじと見た。
亀頭からカリ首にかけて生々しいデフォルメで描かれたポコチンの形のキズ。
亀頭の先端には尿道口の切れ目もちゃんと描かれてある。
その尿道口の切れ目から射精された精子のように私の極太特大うんこが写っているのである。
私は思っった。
これは、市の迷惑防止条例違反なんかじゃないと。
これはアンディ ウォーホールに匹敵するアートなんだと…
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