第418話 七罪家と〝K・A・N〟残党の末路

418


「はーい、お疲れちゃん。逮捕するよ」

「お、お前は元勇者パーティ〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟の東平ひがしたいら孔偉こういかっ。お前も一年前はテロに加担して、捕まっていたろうが!」


 冒険者組合代表の獅子央ししおう孝恵たかよしは、新しいヒーロー出雲いずも桃太とうたが代表、七罪ななつみ業夢ぎょうむを捕縛したことで、内紛を始めたテロリスト団体〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟を迅速に鎮圧すべく、とっておきの秘策を用いた。


「いざ、〝強敵と書いて味方ともと呼ぶ〟作戦なんだ、なっ!」


 すなわち、かつて三縞みしま家が率いた〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟に所属して日本政府に反乱を起こしたものの、四鳴しめい家および〝S・E・Iセイクリッド・エターナル・インフィニティ〟が大規模電気異常テロを引き起こした際、司法取引で桃太とうた達に協力した、東平ひがしだいら孔偉こういらベテラン冒険者に接触――。

 冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟に試用員としての移籍を認めて、クーデター軍との最前線に投入したのだ。


「東平孔偉、節操なしの成金野郎め。勢力を転々として恥を知れ!」

「お金が好きなのは否定しないが、テロが嫌いだから〝C・H・Oサイバー・ヒーロー・オーガニゼーション〟から離れ、こうやって悪党共をとっ捕まえているんだよ」


 孔偉らは、自らの未来を掴むためにも、地球上に残った七罪家と〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟残党を、警察と協力して積極的に逮捕した。


「出雲代表と合流するために迷宮の奥まで来たが、ここでクーデター軍を放置すれば退路を断たれる。かくなる上はくれ栄彦はるひこ殿とくれ陸羽りうさんの二人を先遣隊せんけんたいとして異世界クマ国へ行ってもらい、我らは本隊である焔学園二年一組の安全を確保する。何度も命を救ってくれた彼の恩義に報いるは今だ。私に続け!」


 また異界迷宮カクリヨ内でも、かつて〝神鳴鬼かみなりのおにケラウノス〟を相手に、焔学園二年一組と力を合わせて戦った防衛戦闘の達人、幸保さちほ商二しょうじが、冒険者パーティ〝W・Aワイルド・アドベンチャラーズ〟の別働隊を率い、業夢救出を目論んで抵抗を続ける七罪家と〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟の軍勢を散々に打ち破った。


「ああもうっ。異世界クマ国へ業夢を助けに行く予定だったが、これじゃミイラ取りがミイラになりかねない。命あっての物種ものだね、撤退するよ」

「おのれ幸保おおっ。てめえのせいで僕は妻に離縁されて、せっかく補充した式鬼しきおにもおじゃんになったじゃないかあ」


 そして、蜘蛛くもの子を散らすように逃げ出したクーデター軍の中には――。

 行き場を失って七罪家に降った元勇者パーティ〝J・Y・Oジュディジャス・ヤング・オーダー〟代表の一葉いちは朱蘭しゅらんと、奥羽家を除名された奥羽おうう亜大あだいこと、離岸りがん亜大あだいの姿があったのだ。


「ちょいと、亜大。負けたのはともかく、奥羽の家を追い出されたのは自業自得だろ。勝手に奥さんの預金を使ったり宝物を質屋に入れたりと、ずいぶんやらかしたそうじゃないか。離婚にならない方が不思議だよ」

「そうは言いますがね、僕は妻を女として愛していたんじゃない。財布として愛していたんだ」


 さしもの朱蘭も、亜大の言動にはドン引きだった。


「うっわ、最低だねえ。燃費が極悪なアタシの〝鬼神具〟酒呑童子しゅてんどうじの鉄棒じゃ、これ以上の戦闘継続は困難だ。だっていうのに、アンタみたいな悪党が一緒のせいか、ここいらの岩山にあるはずの隠れ家セーフハウスもみつからないし、もうダメかも知れない」

「諦めないでくださいよ。僕も朱蘭様も捕まったが最後、運良く死刑を免れても、元妻の一族に消されちゃいますぜ」


 二人は同じ敗残兵との合流を目指して、隠れ家を目指して岩山をウロウロしていたところ、とうとう追手に見つかってしまう。


「「〝K・A・Nキネティック・アーマード・ネットワーク〟、見つけたぞ」」


――――――――――

あとがき

お読みいただきありがとうございました。

応援や励ましのコメント、お星様など、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る