第五部/第四章 大蛇、第七の首
第365話 利用し利用される悪党達
365
「ああああっ、わしの勝利が、わしの夢が消えてゆく」
西暦二〇X二年八月一二日黄昏時。
額に十字傷を刻まれた少年、
〝
「……だれか、だれでもいい、わしをたすけよ。はっ」
業夢は、衝撃のあまり気絶していたのだろうか。
目覚めると、異界迷宮カクリヨの第九階層、〝木の子の谷〟の外れに落下していて、目の前には長きにわたり苦労をともにした腹心、
「業夢様。お迎えに来ましたぞ」
「おおっ、晴峰、助けにきてくれたのか。まだだ。まだ再起できる。ヨシノの里にはまだ隠している戦力があるし、蛮族どものもう一つの勢力、〝
業夢の歓声を聞いて、ポーカーフェイスの中年男、晴峰はニヤリと悪意に満ちた笑顔を浮かべた。
「七罪業夢。諦めが悪いのは結構だけどね。さすがにカムロを
「晴峰、なにをっ。いや、お前は……」
業夢の眼前で、腹心の顔がぐにゃりと歪んで変わる。
「他者に化けるコピー能力! 貴様は
業夢の問いに、八闇越斗は、老若男女とくるくると顔を変えながら答えた。
「まさか、協力したじゃないか。その為にアンタ達の姿を変えてやった。でも、
「おのれ詐欺師め、我々を囮にしたのか?」
業夢は越斗に利用されたと知って、カメレオンのように長い舌を伸ばし、ツバを飛ばして抗議する。
「今、異界迷宮カクリヨの第八階層〝
が、越斗はすがりつく業夢を冷酷に一喝した。
「
――――――――――
あとがき
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