第204話 火種
204
「こ、コケエッ。や、やわらかーい」
「遥花先生、その辺にしないと」
「胸に埋もれて死んゃうサメエ」
「あ、あれええ?」
額に十字傷を刻まれた少年、
「……遥花先生は、詠さんを本物だと思われますか?」
「桃太くん。炉谷先輩は、一般的には歴史小説好きとして知られていますが、実は重度のぬいぐるみ好きなんです。でも、ご家族以外で知っているのは、ごく一部の友人だけでしょう。だから、この子は本物の詠さんで、六辻家で異変が生じているのかも知れません」
桃太は遥花の推理になるほどと頷いて、
「遥花先生、詠さんを救護テントまで運びます」
「サメエ。うらやまし、ううん手伝うサメ」
桃太の背からずりおちないよう、紗雨が詠をフォローし……。
「ありがとう。詠さんを受け入れる準備をしましょう。柳さんと祖平さんは、先に女子区域にテントを立ててください。荷物を運ぶのに男手も必要ですから、羅生君も手伝ってもらますか?」
「おっけい、先生♪」
「了解です」
「わかりました」
遥花の指示を受けて、サイドポニーの目立つ少女、
遥花は三人が去って、起きているのが自分と桃太、紗雨の三人になったことを確認すると、大きく深呼吸した。
ジャージに包まれた胸が弾み、桃太はごくんと
「桃太くん、紗雨ちゃん。
遥花の告白に、桃太と紗雨は今更のことと驚かなかった。
過去に天才冒険者として知られ、昨年にはレジスタンスの実質的指導者として〝
「手紙にあった通り、地上では今も混乱が続いていますが、孝恵校長はここから先は大人の仕事だと仰っていました。焔学園二年一組に一足早い夏休みを許可したのは、貴方達を政争に巻き込まないためです。先の戦いで貴方が使った
そう、続けようとした遥花をさえぎって、桃太は口を開いた。
「遥花先生。俺はリッキーの、親友の仇を討つために、テロリスト団体となった〝
――――――――――
あとがき
お読みいただきありがとうございました。次回は、久方ぶりの登場人物紹介となります。
応援や励ましのコメント、お星様など、お気軽にいただけると幸いです(⌒▽⌒)
https://kakuyomu.jp/works/16817139557990913699#reviews
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