私たちも行くんですけど?
「うるさいな~」
なんで夏休みなのにスマホのアラームなってるんだよ。アイツらの悪戯か?
質の悪い悪戯だよ全く。俺の寝起きが悪いことぐらい知ってるだろ。
「......静かにしてくださいな旦那様」
おっ静まり返った。俺を起こす諸悪の根源を倒したわけだし、二度寝二度寝。
今日は午前中いっぱい寝よう。予定も特にないし誘われないし。
......悲しくないはずなのに涙が出ちゃう。辛くなる前にさっさと寝よ。
「......」
あー蝉の鳴き声が鬱陶しい。ついでに学校の課題の存在も鬱陶しい。どっちも今は消えて欲しい気分。
......あーもう少しで寝れそう。
「へいへいへい!朝だよ時間だよさっさと起きろ!」
「あーうるさいうるさいうるさい」
「起きてこない勇ちゃんが悪い」
「今日は何も無いんです。寝てていいんです」
「いや、今日は綾華とアテナと一緒に海に行く日じゃない?」
「......マジ?」
「昨日言ってたじゃん。忘れる前にアラーム付けとこって」
「......あーあそんな事言ってたわ」
「ほら、朝ごはん作っておいたから早く食べて準備しな」
「了解です」
なんでそんな大事な事を忘れてたんだろう。本人たちの前では絶対に言えないな。
神様の悪戯じゃなくて自分の仕掛けた罠に引っ掛かってキレてたわけか。
......寝起きって頭が回んないよね!
「勇くんちゃんと準備した?」
「昨日の夜したよ~」
「海か~。もうずっと行ってないな~」
「お前のずっとって相当前なんだろうな」
「そんなだと思うけど?」
「じゃあどんくらい行ってないんだよ」
「う~んと半年前とか?」
「ずっとで表すような歳月じゃないだろ!」
神様のずっと前とかってさ大体何百年前とかさ人間には想像ができないぐらいの時間単位じゃないの?
「私が連れまわしてたからね一年間ぐらい」
「へぇ~どこ行ったりしたんだ?」
「アメリカ行ったりフランス行ったり」
「韓国とかエジプトも行ったよね」
「世界一周旅行か?」
「そういうわけではないよ。ただ、私が行ってみたいところに無理矢理連れていっただけ」
「今思えば結構理不尽な理由だったよ」
「どんな理由だったんだ?」
まあ、イリスの事だし誰かと遊びまわりたい気分だっただけでしょ。
「えっとね、こう言われた」
「おいクソニート。今からお前の事日射病にさせてやるからその面かせ」
「って言われた」
「お前ら本当に仲良かったのか?」
イリスの奴、口が悪すぎるだろ。もうそっちの人じゃんセリフが。
それ以上にその言葉を聞いてのこのこと着いていくアルテミスにも問題があるけどな。
「いや、本当だったら普通にあそぼって誘おうと思ったんだけどね~」
「いや~久しぶりに会った時だったからびっくりしたよ」
「......もう一度聞くが何年くらい会ってなかったんだよ?」
「......五世紀くらい?」
「そう!そういう回答を待ってたの!」
何月的にはリアリティーを感じないのだがその非現実的な数字の方が神様には合う。
「よく覚えてたな五世紀前の事」
「声だけは聞いてたからね。後、写真が定期的に送られてきたからすぐにわかった」
「怖かったな〜アルテミスの部屋に入ったら壁一面に私の写真が貼ってあったんだもん」
「怖すぎるよその光景!何がしたかったんだよ!」
「いっぱいあったからさ保管に困ってたんだよね〜気がついたら壁に貼ってあった」
「......えぇ」
貼ったじゃなくて貼ってあったは怖すぎるだろ。無意識に貼ってるって事でしょ?狂気を感じるよね。
「そんなことは置いておいて。海行って何するの?」
「さあ?スイカ割とか?」
「いいな~私もしたいな~」
「仕事があるでしょ仕事が」
「は~い働きま~す」
頑張って働いてください。そして今日は自由の身だ!ストーカーされることなんてないんだ!
「そういえば綾華たち何時に来るの?」
「八時に迎えに来るって言ってた」
「......もうすぐ八時だよ?」
「......ホントじゃん」
八時まで後五分じゃん!着替えてないし歯磨きしてないし急がなきゃ!
いや急いで終わるのか?ここはもう諦めて堂々と支度するべきなのでは?
「勇ちゃん綾華たち来たよ?」
「ごめんなさい!」
「何朝から謝ってるのよ?」
「勇くん支度何にもしてない」
「朝の支度だけな!海に行く準備はした!」
「わかったから。勇凛君が遅れる事を想定してこの時間にしたから大丈夫よ」
「俺への信頼感ゼロ!」
普段の行いが悪いのは仕方ないです。時間もいっぱいあることだしゆっくり準備しますか~
「そういえば勇凛先輩。ちゃんとスイカは買ってきましたか?」
「ちゃんと買ってきたよ。結構おっきいからな」
「私、スイカ割り楽しみです!」
「俺もやった事無いからな楽しみだな」
海に遊びに行くなんて何年振りだろう。アルテミス程ではないにしろ結構な歳月行ってない気がする。
母さんがまだ生きてる時だったかな。最後に行ったのは。
「着替えてくるからちょっと待ってて」
「手伝ってあげよっか?」
「一人でできるのでいいです」
「遠慮しなくていいからさ~」
「遠慮とかしてないから!というかズボン引っ張るな!」
「いや~ん手伝うの~」
「イリスさん朝から元気ですね」
「はいはい勇凛君の邪魔しないであげてくださいイリスさん」
朝からイリスのテンションが高いのが気になる。いつも高いんだけどね。なんかいつもと違うんだよ。
「それじゃあ行きましょうか」
「行きましょう!」
「そうしましょう」
「屋台の食べ物全部食べるぞ~!」
「水着の姉ちゃん見るぞ~!」
「待て待て待て待て!」
「「?」」
「?じゃないでしょ!お前ら来るの!」
「行くに決まってるでしょ?」
「仕事ですけど?」
そうだった~!仕事って言ってるからてっきりストーカー以外の事だと思ってた!
普通に考えてストーカーが仕事っておかしいけどね。最近は慣れてきたけど。
「私は空気です」
「私たちの事は無視していいから」
「......お前らめっちゃ目立つだろ」
決まったことはしょうがないよね。まあ、増える分にはいいや。
「あの荷物はいいのか?」
「あーアレはアルテミスが色々持ってこうとした残骸」
「荷物多すぎってイリスに言われた......」
「日帰りだからそんなにいらないでしょ」
「確かにな」
「次行くときは泊まろうよ〜」
「そうだな」
流石にそのときは男を呼ぼう。翔平ぐらいしか居ないけど。そしたら朱奈も着いてきそうだ。
......ちょっとだけ楽しみだ。
それはそうとして、今日はこの神様たちとの海を楽しむんだ。
......この五人が集まったらろくなことにならないけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます