お稲荷さんって寿司ネタなの?

 結局、俺がアルテミスの好きなお菓子を買ってきて解決という形でゲームが終わった。

 イリスは何処か不服そうだが、俺は知らん。

「そういえば、アテナと綾華さんは夏休みの間に天界に帰るんですか?」

 アルテミスたちと話した時に疑問に思ったことだ。

 綾華さんもアテナも天界での話はあまりしない。聞かれてはまずい事なのは分かっているが何も話してくれないと正直、何かあるのではないかと考えてしまう。

「......まあ、一応帰るつもりではいるけど......あんまり帰りたくはないかな」

「私もですね......顔ぐらいは見せろって言われてるので」

「なるほどね~」

 そりゃスパルタ家庭だと嫌だよな。俺も、親がめちゃくちゃ厳しかったら帰りたいとか思わないもん。

「勇凛君は親戚の家に行ったりするの?」

「今年は、特にないですけど、お盆ぐらいは母さんの墓参りに行こうかなと」

「......そっか」

 アテナを除く、3人の顔は何処か暗いように感じた。

「イリスさんとアルテミスさんは帰る予定はあるんですか?」

「私たちも帰るよ~ゼウス様がアルテミスの顔見たいって言ってるから」

「......私は帰りたくないんだけどね」

「因みに、勇ちゃんも連れてく予定」

「それ、大丈夫なんですか?」

「許可取ったから大丈夫」

「許可取れたんですね......」

 そこが、驚きだよな。そんな簡単に関係のない人を連れていけるんだと思った。

「まあ、勇ちゃんに神様の存在をちゃんと知ってもらういい機会になるじゃない?」

「未だに、神様かどうか疑てくるしね」

「だってお前ら神様っぽくないじゃん」

 近所のクソガキって感じ。

「誰が近所のメスガキじゃ!」

「そんな事言ってねえよ!」

 なんだよ、近所のメスガキって。近所にメスガキ居ても嬉しくないだろ。

「夏休みって言っても特にやることないでしょ」

「まあな」

 休みになったからと言って何か始めるわけでも勉強するわけでもない。

 来年になれば、受験があるから高校で遊べる最後の夏休みって感じなんだろうな。

「みんな忙しいだろうし。ゆっくりしてるかな~」

「勉強はちゃんとしないとダメよ?夏休み明けにテストあるんでしょ?」

「あのテスト、しなくていいでしょ。なあアテナ?」

「ちゃんと勉強していれば特に困らないと思いますよ?」

「......」

 そういえば、アテナはちゃんと勉強できるんだった。

 この中で平々凡々なのは俺だけか。ちゃんと勉強しないといけないとはわかっているけど、中々やる気が起きないよね。毎回言ってる気がするけど。

「そういえば、アルテミスとイリスは勉強できたのか?」

「当り前よ」

「当然できますよ」

「......ホントか?」

「嘘じゃないわよ!ちゃんと勉強してたし」

「そうだそうだ!ちゃんと成績は上位の方でした!」

「補足すると、割とアルテミスさんとイリスさんの役職っていうのは学業成績がよくなかったり学校以外での活動が高く評価されてたりしないとなれない役職なのよ?」

「へえ~お前ら意外とやるじゃん」

「「意外とって何よ!」」

 イリスはまだしも、アルテミスは意外だな。単純だから逆に勉強できたのかもな。

 それにしても、そんな高い役職だったんだ。やってることってこう、営業みたいな感じのイメージだったから勝手に低いと思ってた。

 神様の存在を忘れられないようにするために活動してるわけだから、そりゃあ、優秀な人物を選ぶか。

 でも、こいつらで優秀だったら他の人はもっと優秀なんじゃないか?

「結局、優秀なだけじゃダメなのよ。他の要素も求められてくるの。勇ちゃんが社長だったら勉強できるだけの人より仕事をちゃんとこなしたり、自分から行動できる人の方がいいでしょ?」

「そうだな。お前たちみたいに相手とコミュニケーション取らなきゃいけないような仕事だと、柔軟に対応しないといけないだろうし」

「堅物には出来ないって事よ」

 そう考えると、こいつらってコミュニケーションって部分だけで考えると合ってるのかもな。

「そんな私たちの事は置いておいて。そろそろ、ご飯頼みますか」

「だな。俺も腹減ってきたわ」

「じゃあリクエストある人~」

「わ私、お寿司食べたいです!」

「いいね~お寿司。アテナは何が好き?」

「無難にマグロですかね」

「アルテミスはハンバーグでしょ?」

「子ども扱いするな!」

「じゃあ何が好きなんだよ?」

「穴子」

「......渋いな」

「そう?タレが美味しいじゃん」

「あんまりいないと思うけどな。イリスは何好きなんだよ?」

「イカかな~それか貝類。勇ちゃんは?」

「俺はサーモンとかかな~ということで綾華先輩。オチをつけてください」

「オチをつけろって何よ!」

「ズバリ!綾華が好きなネタは何!」

「......お稲荷さん」

「それって寿司ネタ?」

「お稲荷さんって!」

「お稲荷さんって言い方可愛いですね!」

「いい感じのオチありがとうございます!」

「勇凛君!」

 ちょっと喧嘩したりもするけれど、なんやかんやでみんな仲良くやっていけてます。

 ......仲良くやってるよね?

 現場からは以上です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る