ストーカー歴は今年で17年

 「あなたは何者なんですか」

今度は仏壇にいる母を交えて話しを進めようとしてみる。母は会話に参加しないが。

 彼女は一拍置いて艶やかな唇をゆっくりと動かし


「さっき言ったじゃない。私は君のストーカーであなたのお母さんに頼まれてやってきた神様なのよ」


 と、最後まで笑みを絶やさずに答えた。ストーカーである事を認めちゃったよこの自称神様。


「ちなみにストーカー歴は17年だから。君の事は何でも知ってるよ」


...まて。


「それって僕が産まれてからずっとじゃないか!」


 今明かされる衝撃の事実。ストーカーされてるなんて一度も気がつかなかったぞ!


「気付かれたら、君のお母さんとの約束を破った事になってしまうからね。神様パワーで何とかしてきたのだよ少年。」

「人の心を読むな!後、神様パワーってなんだよ!」


 そんな信徒の信仰心で力が変わりそうなパワーで生きてきたのかよ。

 このままでは埒が開かないな。そう思い自称神様から一番聞きたい事を話が脱線しないよう短い言葉で聞く。


「単刀直入に聞きます。母との約束とは何なんですか」

「...短刀を直入なんて...高校生ってエッチね」


 ...ツッコミを入れるのも疲れた。そう思い机にうつ伏せになる。


「すみません。ふざけすみました」


今までの会話からは想像する事のできない謝罪の仕方に驚きが隠せず、頭を勢いよく上げる。その時、自称神様と初めて目が合う。

 目は誰にも触れられず何億年と自然の美しさを保ってきた海の様な碧眼であり、鼻は世界に冠たる彫刻師が余力を全て出し切り作り出されたと思わせる程美しく、唇は全ての男を魅了する事が可能だと思わせてしまう。そんな顔の最後の仕上げと言わんばかりの長い金髪は全ての髪に手入れが行き届いており、彼女が大切にしている事は素人目でもわかってしまうほど綺麗だ。

 そんな事を思ってしまうと頬が熱くなってきた。


「おっ!遂にデレたか少年!お姉さんと結婚したくなった?」


なんて聞かれたがそんな事を無視して


「母との約束を早く教えてください!」


と声を荒げて伝えた。お隣さん、朝から騒がしくてすみませんと心の中で謝りながら落ち着きを取り戻す。


「しょうがないわね。今から言う事はノンフィクションだからね。...これはフィクションだけど」


などと意味の分からない事を渋々言いながらも声のトーンは落ち着かせ二人しか知らない17年前に起きた真実をゆっくりと語ってくれた。

 母の一周忌である事を忘れて。

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