第3話 初めての会話

 翌日、文孝は自宅のマンションで朝を迎えた。


 寝床から起き上がり洗面所で顔を洗う。スッキリと目が覚めやる気が出てくる。昨晩の残りご飯を使って少々塩味の効いたお茶漬けを作りその上におひたしを乗せて朝食を完成させた。それを食べ終わると今度は昨日済ませた課題のプリントを軽くチェックしていく。特に記入漏れや明らかな間違いなども無さそうなのでそれを鞄にしまう。

 金をかけて一人暮らしをさせてもらっているし、学校にも通わせてもらっている。学生の本分である勉学を疎かにしないようにしないと、という気持ちがあった。他にも名の知れた作家の孫であるからあまりにも酷い成績を取らない様にしようという密かな気持ちも。

 文孝の両親は明言してはいないが祖父の様に活躍してほしいという想いを持っているのではないかと文孝は思う事がある。そう思うとやらなければならない事、注意しなければならない事が沢山あるのではないかと悩み始める。

(いや、俺は俺だし。文章を読んだり書くのは好きだけど適度にやって頑張りすぎず余程不真面目にならなければそれでいい……筈)

 そう考えても祖父の功績を完全に意識しなくなる訳ではないだろうと文孝も自分で思っていた。周囲と比べる自分が変わらない限り、記憶の祖父を通じて心の何処かでやらなければならない、義務感が知らずの内に醸成される気がすると考え文孝は軽く頭を抱えた。


 やらなければならない事――義務ときて彼女が思い起こされた。


 文孝は昨日の夕方、意味ありげでもしかしたら任務の最中だったかもしれない雨宮詩織を追って屋上に行ったが入れ違いで会う事はかなわなかった。会わなくてほっとしたのか、がっかりしたのかよく判別し難かったのをよく覚えている。

「……いや、今はいいや」

 彼女の謎について考えていると学校に遅れるかもしれないので文孝はいそいそと制服に着替え始めた。



 学校へ行き教室に入ると、雨宮詩織はいつもの通り友達に囲まれて談笑の花を咲かせていた。男女問わず気さくに交流するその姿は見ていて気分を良くさせる。

 雨宮詩織自身が騒いだり盛り上げたりするというよりも、受け答え上手な彼女なら安心して話せるというクラスメイトがやってきて日々思う事を口にするのだ。それについて少し掘り下げていると別の生徒がやってきて自分の意見を述べたり解決策を自慢げに話したり、或いはもっと面白そうな話題を提示するのだ。それが周りに広がって交流の輪になるのが一年A組でよく見られる風景である。

「……」

 文孝は彼女に関する霊文を思い起こし思索した。

(少なくとも今見ている現在の彼女は、目標に辿り着かんとする確固たる真剣な目をしていないし、青の線とやらも周囲で舞い踊ってはいない。目標というのはきっと良い成績を収めるか生徒会長などの責任ある立場になろうと意気込んでのものだろう。青の線については彼女が付けているリボンが風ではためいていただけだ。きっとそうだ)

 あんな交流の輪が広がっていきそうな雰囲気の中心にいる人物が、日常とは違う心境を重ねて持っているなんて文孝は思えないし思いたくない。

 にも関わらず日常とは違う非日常が頭の中に浮かぶのは、やはり【任務を遂行せんとする姿勢】と霊文が彼女の姿勢をそう評しそれが強く文孝自身に印象付けられたからだろう。

 任務というと危険を伴う仕事が連想される。警護や情報収集といった印象が濃い。


(彼女が自分を押し殺して危険な仕事を引き受けさせられているというならば不憫でならない。想像もしたくない、あんなに楽しそうに話しているのに、そうだ、あんなに楽しそうに普通の高校生活を送っているんだ。だから危険とは無縁のはずだ……だが、だがもしも違っていたら? 任務というのが辛かったとしたら、そして誰にもそれを話せず抱え込んでいたとしたら?)

 文孝は休み時間の合間にクラスメイトの何人かに「雨宮さんは学業とは別に何か仕事とかしているのか」と聞いてみたが誰もそんな話は聞いていないようだった。

 文孝は教室内を見渡した。雨宮詩織の姿は無い、数人の女子と連れたってジュースでも買いに行ったのだろう。

(あんなにクラスの中を明るくする少女が危険な事をしている訳がないし、させられている事も絶対に無い)

 そう無理に決定付けて授業に向かう。

 幾つかの科目を潜り抜けて昼休みになった。数人の女子と連れたってお昼に行くらしい雨宮詩織が目に入る。

「……」

 授業を使って抑え込んでいた疑念を吐き出してスッキリさせようと文孝は席を立って彼女の後を追った。彼女たちは屋上へ行くらしい。

 昼休みを楽しもうとする生徒達でごった返す廊下を潜り抜けて屋上に辿り着き屋上の柵に近い場所で雨宮詩織含む女子達がお昼を始めるのを確認する。

 後は「雨宮さんは学業とは別に任務ってやってる?」と聞くだけだ……。

 春の正午、陽光を真上から浴びる女子達、吹いてくる微風を心地よさそうに浴びている雨宮詩織の姿を見て文孝は何て声をかけたらいいか分からなくなった。あんなに気候やお昼を楽しもうとする女子に割り込んでいって任務という言葉を持ち出し、それを人気のある雨宮詩織に結び付けたら大きく変に思われる事だろう。

 しかも雨宮詩織に心当たりがあったとしたら彼女の表情を真剣にさせ下手すると気まずい不穏な空気になるかもしれない。クラスメイトの誰も知らなさそうな事からして雨宮詩織は任務に関することを隠している。

 それを何故か俺は知っている風な事を言われたら。よく知りもしない男子に言われたら。一度も面と向かって話した事すらないのに。

 ここに来て急に時と場所を間違えたと感じた。ここで聞くのは無理そうだと尻込みし始める。

 ……女子達を遠巻きに眺めながら立ち尽くす文孝。一つ深呼吸し、踵を返して屋上の扉を開けて出ていった。授業で縮こまった体をほぐすために、陽の光と風を浴びたら直ぐに帰りますという風を装って。



 放課後になった。

 この時間になると生徒は部活動を見学し早い者は入部を決めて練習に励んでいる。

 女子の団体が活気づきながら教室を出ていく。その中に青リボンを揺らす生徒も居た。雨宮詩織があちこちから誘われて部活動へ繰り出すのは恒例のものとなっている。

 別れを告げあい、又は肩を組んで街に繰り出そうとするクラスメイト達。文孝は部活は何が良いかと考え話し込む小山や他のクラスメイトに別れを告げ鞄を掴んで立ち上がる。文孝も幾つかの部活を見学したが、具体的にどんな部活動を通して高校生活三年間を送りたいかは決めかねていた。

 徐々に陽が落ちていくのを感じさせる教室の風景、そこを一瞥して教室を後にする。

 放課後……人の気配が遠ざかっていく廊下に立って文孝は雨宮詩織に関する霊文を自然と思い起こしていた。彼女の霊文に共通するのは放課後の屋上だ。

(落日を屋上で見る事に何か意味があるのか?)

 そう考えた時、額に感覚が起こる。直ぐに合言葉を口に出す。

「ゴースト」

 現れる縦書きの文章。


【生徒の若き情熱の場を通じて日常を体験する少女。一刻の後、離脱し屋上へと足を向けるだろう】


 文孝は目の前に表示された文章を直ぐに分析し始める。

 ――。

 若き情熱の場という言葉を見て放課後のせいか部活動を連想する。

 日常を体験というのは非日常を体験していた者がそれをするという意味にとれる。

 一刻は現代の三十分に相当する。

 屋上へと足を向けるといったら例の彼女の事が思い浮かぶ。


 少女というのが例の彼女の事だった場合、何故部活動に没頭せず離れるのだろう。体育の授業を見た感じでは運動神経は決して悪くはないようだ。加えて人と関わるのも好きそうだし友達と何かを協力してやるという姿勢は彼女によく似合っている様に感じる。

 人の輪の中心にいる彼女が、生徒達が最も燃え上がる部活動の場を離れていくというのは大きな違和感があった。


 放っておくと勝手に消える霊的文章はいつもの如く勝手に消えた。

 ……そして文孝は歩き出す。

(いつも人に囲まれている雨宮さんにサシで話せるのはこういう時しかないかもしれない)

 廊下を曲がり階段を登り幾人かの生徒とすれ違いながら階を上げていく。屋上の傍にある階段の前に着き、そこで辺りを見回す。近くの教室に誰も居ない事を確認してその中の席について三十分程スマホをいじって時間を潰す。

 トントンと、階段を登る誰かの足音が聞こえてきた。文孝は息を潜める。足音の主は文孝の居る階と同じ階に到達し、そのまま更に階段を登っていく。足音の聞こえ方からして、文孝の居る教室の近くにある屋上に繋がる階段を登っていると思われた。足音は一人分の様だ。

「……よし、霊文の通り」

 文孝は立ち上がり教室を出て耳を澄ませる。足音は止み、代わりに上の方で扉を開く音がした。音の主は屋上に入ったのだろう。屋上へ続く階段の前に立って上を仰ぐ。これからどうやって話を進めるかはシミュレートして決めておいた。

(不自然な接し方にならないように。嫌われたり警戒されたりしない様な言葉を選ぼう)

 階段を登り始めようとする所までくると緊張してきた。まだ、あの彼女とはろくに会話もしていないのだ。人に囲まれる彼女を気が向いた時、遠くから見ているだけだった。霊文で見て居なければこうして彼女に関わろうとする事はなかっただろう。霊文で見てさえいなければ――こうして緊張する事も無かったのにと文孝は思わなくもなかった。しかし、もしかしたら彼女は困っているのかもしれない。わざわざゴーストに霊文で知らせられたのだ。可能性はある。

(というか、俺に文章を見せているゴーストが詳しく説明してくれればいいんだ。彼女の任務はこれこれこういう内容で――とか。何で気になるような情報の出し方をしてくるんだろう)

 心の中で文句を言いつつも程ほどにしておく。文孝に文章を見せる存在は姿が見えないという理由でゴーストと名付けているが、そのゴーストはあらゆる事を知っていて千里眼と呼べる様な力を持っていると想像できる。文孝の心の声もゴースト自身に文句を言っている事もお見通しになっていたら、あまりゴーストを悪く言っているとゴーストの機嫌を損ねて霊文を表示してくれなくなるかもしれないからだ。

 頭を振り余計な事を頭から追い出しつつ階段を登りきる。 

 そして屋上の扉を前にして一つ深呼吸する。

 扉を開ける。

 ――。

 思った通り部活を抜け出してここまで来たのは青リボンの少女、雨宮詩織だった。扉を開ける音が響き、丁度屋上の中央に立って向こうを見ていた雨宮詩織が音に気付いて振り向いた。部活をやってきたせいか顔が火照っている。

 背景の夕焼けも合わさって全身ほんのりと紅く光を纏っているかに見えた。屋上には自分含めて二人しかいない事を確認する。

(よし、二人きりなら彼女も言いやすくなるだろう)

 気力を振り絞って前へ足を踏み出し彼女を前から見据える。心臓が急に重量を増やして跳ね始めたかのような感覚を覚えながら文孝は更に数歩近づいて息を吸い込み口を開く。

 クラスの華と呼べる彼女と話すのは初めてかもしれない。

「や、やあ」

 軽く手を挙げて言う。

 言ってからちゃんと応えてくれるかどうか少し不安になる。会話は無くとも入学式から二週間以上経っているし、一応クラスメイトでこんな人居たな位にでも認識してくれていると嬉しい文孝。

「やあ」

 彼女が応えた。内心文孝は嬉しくなった。が、わかりやすく表には出さない。

(やった……)

 さて、挨拶も済んだし彼女が抱える任務とやらの少しでも知れればいいが……と、文孝はより前方に集中し始める。整った彼女の顔を真正面から見ると、改めて美人、可愛いと思う。その美少女が先に口を開いた。

「深野君、どうしたの? 屋上に用事なら私出ようか?」

 名前と顔をしっかり結び付けて貰えていたことに感動……ばかりしている訳にもいかない。彼女が居なくなっては来た意味が無い。彼女との会話シミュレートを思い出す。

 文孝は気配りに感謝しつつ、ぎこちない笑顔を少し浮かべる。手で頭を意味も無く触りながら言葉を紡いでいく。

「いや、部活どれにしようか迷ってて。気分を変えて屋上で考えようかなって思ってさ。雨宮さんにも偶然出会えたし、良かったらどこが良さそうか提案してくれると助かるな」

「部活か――。私結構色んな部活やってるから少しなら内情を教えられるよ」

「へえ、そういえば最近放課後に色んな部活に誘われてるのを見かけるけど?」

 雨宮詩織は少し顔を上向けて思い出す仕草をしながら楽しそうに話す。身振り手振りでその当時を鮮明に思い出すように。

「うん、どれもそれなりの良さがあるけど楽しかったのはバスケ。皆でワイワイやる感じが良いね――。でもちょっと練習はハードそう。書道部はちょっと上下関係厳しそうかなって印象、でも真剣に教えてくれるんだよ」

 さすが色々な部活をやってきていて詳しそうだ。文孝は話題を変えることにした。

「そうだ、雨宮さんは部活には入らないの? クラスで女子と一緒に部活に行ってたし、ここにいるから訳あって途中で抜け出してきたと思うんだけど。もしかして学業のほかに何かバイトや仕事みたいのがあるの?」

「うん? うーん、特にないかなあ」

 そういう彼女の姿勢は事実を隠そうとして気張ったものではない。微笑し、物腰柔らかな雰囲気と受け答えは変わらずだ。が、ゴーストの情報は確かな筈だ。任務というのは生徒の日常から離れているものと想像しやすいし、その任務に関わるとなると今の様な雰囲気とは何処か違ったものになるだろう。文章越しでしかわからないが、この今見える穏やかな水面を思わせる優し気な表情とは別の顔になる時があるのだ。

 霊文を見ていなければ、守ってあげたくなるこの笑顔をそのまま受け取り何の疑問も思わず平和で可憐な少女だと信じていたに違いない。文孝は心を引き締め、何でも相談に乗るよという姿勢で身構えた。危険な事があるなら引き離してやりたいと。

 文孝はもっと踏み込んだ。

「何かこう……義務みたいなやらなきゃいけない事があって抜けてきたのかなって」


 ほんの少しの間があった。


 雨宮詩織が応える。

「別に。一つの部活動に打ち込むよりも色んな事してた方が得だなって」

 彼女は普通に応えた。動揺している風は無い。

 文孝はわずかな時間、相手に集中した。放課後、ここで任務とやらに思いを馳せる少女。遠くから聞こえる吹奏楽部の練習音が夕暮れの微風に乗っていく。グラウンドから聞こえてくる運動部の掛け声によって彼らの昂った心が放つ熱気が立ち昇ってくるかのようだ。

 ――。

(俺は、今。放課後にここで立って想う所がある少女、雨宮さんと同じ場に立っている。時間は同じく放課後、場所は同じく屋上、人物は同じくして雨宮さん。前日に視た霊文の通りの状況に今立ち会っている。部活を抜けてきたという事は任務とやらを意識していると思われる。何もかもが霊文を通じた情報と一致している今この時、俺はここに居る。目の前に彼女が居る……)

 時と場所は同じだが、目の前の少女は全く普通の雰囲気で力まず自然な体勢でこちらを見ている。ぱっちりした目の美少女がだ。真剣な眼差しもそこには無い。文孝という混ざりものがあるせいか。

「そっか……」

 仮に彼女に人に言えない秘密があったとしても少なくとも今はそれを言う気が無いのは解った。意気込んでいた心が、何処かしら開いた穴から気が出ていてしまった様にしぼんでしまうのを感じた。

 打って変わって自分が後ろ向きな考えになるのがわかった。

 ――無理に聞き出すのも相手にとってストレスだし、仮に聞いたとしても自分で満足に相談にのれて相手の事情をくんでやれるかも分からない。そもそも困っているのかどうかも定かではない――。

 だが文孝が視た霊文の通り、【任務を遂行しようとする毅然とした姿勢】という所からして緊張感ある仕事を担当していそうなのだが。

「わかったよ。じゃあ雨宮さん、邪魔しちゃ悪いから俺はそろそろ行くよ」

 文孝は何かを内包する少女から、名残惜しくも背を向けて屋上を出ていった。


 ……屋上の扉を閉める。

 彼女が事情を話さないという事は話したがらないのだろう。同じクラスとはいえたった今初めて会話をしたかもしれない男子生徒に、いきなり尋ねられて秘めた任務を正直に話すわけもないが。

 自分の名前を覚えてもらい、クラスの華と言える存在と話せた嬉しさで興奮していた体は火照っていたが、自分に任務とやらを打ち明けてくれなかった寂しさがある。

(よく知らない俺なんかに話すわけが無かったよ。幾ら【ゴーストライト】と自称する能力があるからってそれを使って雨宮さん相手に動いて。彼女を出し抜くように結果を出して優越感に浸ろうとしていたのかもしれない……浅はかだな)

 急に自己嫌悪しだす文孝。しかし文章を視る能力を使って自分で解決できる問題を解決していこうという行動は今に始まった事ではない。高校生になる以前から【ゴーストライト】とは付き合いがあるのだ。周りが普通に生きて社会のレールに沿って動きその時その時自身の狭い視界で捉えられる世界が全てだと思う中、文孝自身だけが誰も知りえない情報を知る。悪い現実が起ころうとするならそれを回避し、人や場所に関する少し驚くような事情を知って得した気分になる。

 それらは今に始まった事ではない。今回思う様な結果が得られなかったからといって、自分の能力を使わない様にする事はないと文孝は解っている。その行動原理がどこから来るものかははっきりしていない。周囲と比べるコンプレックスがあり優越感を得ようとしているからか、読書が好きな自分に心地よく感じられるからか、祖父の血が流れているから文章を効果的に使おうと考えているからか。

 それとも普通に能力によってあらゆる事が視えてくるのが面白く楽しいからか。自分の行動によっては何かを変化させられるのがもっと楽しいからか。


 階段を下りる前、振り返って閉められた扉を見る。自分と彼女を遮っている様に見えた。分厚い隔たりを彼女との間に感じ、それが胸に重く感じた。気を落としながら歩き下駄箱に着く頃には体温も姿勢も俯き気味だった。

 夕日を浴びながら下校していく。

 ふと立ち止まり下を向いていた顔を上に向けて夕空を仰いだ。ゴーストは何処から見ているのだろう、と。

 答えるものはない。紅い世界を泳ぐ雲達の姿が見えるだけだ。グラウンドから部活動に励む者達の声が耳から入って流れていく。

 今は四月の半ばである。文孝は部活を何にしようかとぼんやり考える。風に乗って何処かからかやってきた桜の花びらが頬を掠めていった。

「――」

 体をひねり屋上のある方角をちらりと見てから再び歩き始めた。

「ふう」

 一つ重い息をついた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る