第35話 いきなり開店、小銀貨ショップ!


電源を確保したことにより、室内照明が使えるようになって快適な環境になったユニットハウス


室内照明用に購入したLEDランタンは、シャッター上部にとりつけ、外向けの照明に流用することにしました



お店はユニットハウスの左側、ガレージのシャッターを上げて店舗にします


そして、シャッター手前(室内)にアルミ製の長机を設置し、商品を陳列します


あとは、ワタシが座る椅子とこまごまとした小物を用意したら、終了


とりあえず、以上で開店準備完了です



営業方法は至ってシンプル


基本的に、シャッター手前のテーブルの上に商品を並べて置いておくだけ


お客さんはシャッターの外からシャッター内のテーブル上を覗く感じで商品を眺め、


欲しい商品を指定するみたいな感じです


(食品サンプルを見て注文するイメージかな?)


お客さんから注文をもらったら、【インベントリ】から別のモノをとりだして、お客さんに渡します


(一応、衛生面を考えて、ビニール袋に入れて渡すよ?)



調理はしません


だって、食中毒とか怖いしね


そっち方面はかなり気を付けます


商品と引き換えに代金をもらったら、取引終了


以上


とってもカンタンなお仕事です



商品は全て小銀貨1枚で統一しているから、会計も簡単


お釣りだって、ほとんど発生しないと見ています




営業時間は夕方から夜の早いうちまで


(宵の口までって感じかな?)


朝や日中は閉店


日中は人がいないので、営業しても無意味


そして朝は何かと忙しないので営業しないことにしました


(朝はみんな出立でバタバタしてるでしょ?)

(お店を開いたら、てんやわんやになっちゃいそうでイヤ)


ガツガツ荒稼ぎしようとは思っていないので、営業時間は短めです




そんな感じで、準備完了と共に間髪入れず、いきなりの開店です


とはいっても、試しにプレオープンするぞ、ぐらいのノリなので、とてもお気楽です



因みに商品ラインナップは試食の時のヤツ


【シンプルバーガー】

【ヘルシー野菜BLTバーガー】

【タルタルたっぷりフィッシュフライバーガー】

【キャベツもっさりロースかつバーガー】

【お肉たっぷり焼肉ライスバーガー】

【パリッとジューシーホットドッグ】

【名脇役フライドポテト&オニオン】

【甘党御用達フレンチトースト】


【焼きとうもろこし】

【焼き鳥 ねぎま 塩&たれ セット】


【強炭酸水レモン 1000ml】

【昼の紅茶 無糖 500ml】

【お野菜フルーツミックス 900ml】


【シーフードカップ麺】

【カレーカップ麺】

【鶏塩カップ麺】


【プラ先割れスプーン】




そろそろ辺りは暗くなり始めようとしている時間帯


公共休憩場の奥に目を向けると、大型の馬車が数台目に入ってきます



「それなりの人数が野営するのかな?」


「ええ、毎日数十人は野営するわよ」


「へ!?」



完全にひとりごとだったのですが、何故かリアクションがあって驚きです


もちろん、その聞き覚えのある声の主はジャージが似合うジェニー姐さん


どうやらワタシを追いかけてきたようです



「ちょっと目を離しただけなのに・・・」

「それで? これはどういうことかしら?」


「これとは?」


「この小屋よ、どうしたのこれ?」


「これは、ちょっと乙女の秘密的はアレでして・・・」

「とりあえず出してみました」


「乙女の秘密って・・・」

「まあいいわ。それで、この後どうするつもりなの?」


「え? ・・・えぇっと・・・これでお店を開こうかと・・・」


「お店?」

「いきなり?」

「何というかあなた・・・」

「突拍子もないわね?」


「(///▽///)」

「(てれてれ)そんなっ、大したことじゃないですってばぁ~」


「いや、褒めてるわけじゃないのだけれど・・・」

「あなた、大物というか何というか・・・」

「得な性格しているのね?」


「そうですか~?」


「絶対そうよ」

「それにしても、宣伝もなしにお客が来るとは思えないのだけれど」

「看板だって見当たらないし・・・」


「集客についても、ちょっと考えていることがありまして」

「まあとりあえず、実験的なプレオープンですし、ダメモトぐらいに考えて、あまり気にしてません!」


「やっぱりあなた、大物なのかしら?」




そんなやり取りをしていると、薄暗かったお外が、本格的に暗くなり始めました


それでもお店の中はLED天井照明で明るいですよ?


そして、お店自体も光り輝いて見えます!


LED照明でユニットハウス自体を照らしていますからね



公共休憩場で今晩の野営地を確保している皆さんのところの明かりは、


ほんのりオレンジの優しい灯


たぶん、たき火とか、魔法の灯(トーチ)の光なのでしょう



ひるがえって、ワタシのお店


建物の白い外壁を照らすLEDの照明は、不自然なほどの白さ


慣れない人だと、ちょっと目にくる感じです



(というか、ちょっと輝きすぎ? 目立ちすぎ?)



例えるなら、街路灯も何もないド田舎の農道わきにある、明るく輝く自動販売機のような


そんな、あたりの風景から浮いた感じになっちゃってます


(虫を引き寄せちゃうかな?)

(でもLEDの照明だから大丈夫だよね? 虫は来ないはずだよね?)


蛍光灯や白熱灯と違って、紫外線をほとんど発生させないLEDの光には虫は集まってこないはず


そんな知らないはずの知識が頭に浮かんでくるワタシです


ん?

紫外線?



ひとりそんな思考に浸っていると、お店の周りが何やら騒がしくなってきました



お店の外を覗くと、ワラワラとたくさんの人が私のお店の周りに集まっています


この公共休憩場にいるほとんどの人が集まってきている、そんな感じです



集まってきた人々の口からは、


「何だ? この小屋は」


そんな疑問の声が漏れ聞こえてきます



(うふふっ、闇夜に輝く、明るいコンビニ作戦)

(明るいコンビニにお客さんが集まってくる計画、成功かな?)

(これぞ、光源氏計画ならぬ、光る現地計画、なんつって!)


目論み通りの集客に、ちょっと浮かれはじめたワタシ


思考にもオヤジ臭が混ざってきました



(でも、ここまで多く集まると、ちょっと怖いかも)

(なんだか、光に虫が集まってる感じに似て・・・)



お客さんになってくれるかもしれない人々に対して、とても不謹慎なワタシなのでした

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