第2話 ど忘れ防止の脚輪

 転生して初めて出会った人間たちの村。

 人間といってもうさ耳や耳のとがった女の子がいる。

 そして突然現れたナイスバディなお姉さん。

 お姉さんはルフ様とよばれていた。


「フェニックス殿がなかなかこないから、私直々に来てやったぞ」


 ふふん!と胸を張るルフ様。

 大きな胸がボインボインと揺れる。

 だいぶ露出が高い格好なので、はみ出ないか勝手にハラハラしてしまった。

 というか、どこからやってきたんだ?


「ルフ様、申し訳ございませんでした!」


 青い髪の子がルフ様に頭を下げる。


「よいよい。どうせこんなことだろうと思うておった」


 耳に髪をかけながらにこやかに青い髪の子へ伝える。

 見えた耳がとがっていた。

 ルフ様もエルフらしい。


「えーっと、ルフ様?」


 おそるおそる話しかける。


「ルフでよい。ここの長はそなたじゃ」


 ルフ様、改めルフは俺に艶っぽく笑う。


「ルフ、ここはどこだ?」

「……ふむ、脚輪あしわを贈ってからお話しよう」


 ルフが指をついっと動かすと、ルフの手の中にキラキラと輝く金の輪っかが現れた。


「ど忘れ防止の脚輪あしわじゃ。これをつければ三歩歩いても忘れぬ」


 そういうとルフは俺の脚に脚輪あしわを通した。

 ルフがしゃがむ事で、上から見られるおっぱい。

 これはこれは……。


「よし、似合っているぞ」


 脚を持ち上げると足首(?)に輝く金の輪っか。

 深紅の宝石がはめ込まれていて、キラキラと輝いていてる。

 細かな模様が組み込まれていて、思わずみとれてしまうほどの素晴らしさだ。


「キレイだな」

「フェニックス殿なら分かると思うておった。

 これは私の祖父が作りし純金の脚輪あしわよ」

「へぇ……」


 どんなに眺めても飽きないキラキラの脚輪あしわ

 ずっと眺めている俺に苦笑してルフが話し出す。


「やはり、光りものには目が無いな。

 フェニックス殿、最初の話に戻ろうぞ」

「あ、あぁ」


 そうだ、ここはどこなんだろう?


「ここは火山を中心に存在する大陸じゃ。

 そしてフェニックス殿は、大陸の真ん中にある、火山で産まれた不死鳥なのじゃ」

「なるほど」


 まったく日本ではないことが分かった。

 異世界ってやつか。


「そして、この大陸は諸国しょこくが兵をあげてそこら中で争っておる。

 勝利への願掛けと、フェニックス殿の加護を得るために、生贄いけにえとして女がここに連れてこられるのじゃ」

「だいぶヘビーな話だ……」

「ふふふ、話で聞くと大層なことかも知れん。

 しかし何千年も争っているのじゃ。

 今更騒ぐことではなかろう。

 それに、この村そのものがフェニックス殿にまもられた村。

 この大陸の、どの場所よりも天国よ」


 まるで何千年も生きてきた魔女のような顔でくくく、とルフが笑う。


「俺はさっきここにやってきたので、まもっているつもりはないんだが……」

「存在してくださるだけで良いのじゃ。

 フェニックス殿の魂が代々この村、ボルケニアをまもってくださる」

「代々?」

「そうじゃ。フェニックス殿は不死鳥。

 滅多なことでは死なん。

 しかし、フェニックス殿が“死にたい”と思ったときは死ぬことができる」

「前のフェニックスは死にたいと思ったのか……」

「そうじゃろうな。……もう500年も前の話じゃ」

「え?」

「なんじゃ?」

「500年間フェニックスがいなくても大丈夫なのか?」

「卵になって眠っているだけじゃからな。

 卵であっても、フェニックス殿が存在する限り、加護を受けることはできる」

「???」

「そんな顔をしないでくれ。

 フェニックス殿は神聖な存在。

 私らも全て分かっている訳ではない」

「そ、そうなのか……」

「当たり前じゃ」


 なかなか理解するのに時間がかかる話だ。

 前の世界の常識は、一度捨てたほうがいいな。


「おや!フェニックス殿!本当におられるとは!何百年ぶりかのう?」


 ぼふん


 黒い煙のなかから、黒いネコ耳の女性が現れた。

 着物みたいな服だが、このひとも露出が高い。


「こやつは、ウビじゃ。

 私とともに村の管理をしている」

「ルフよ。わしの自己紹介を取るでない!」


 ウビは子供っぽく頬を膨らませた。

 ピンと立つしっぽと耳がかわいい。

 っていうか、半ケツじゃないか?

 このネコ耳の人。


「ネコ?」

「キツネじゃ!フェニックス殿は動物の見分けがアレじゃのう」


 ますますウビは頬を膨らませる。


「すまん」

「まあよい。ヒナに怒るのもアレじゃ。

 しかし1から説明するのもアレじゃ。わしのお宝を贈ろう」


 ウビはおっぱいとおっぱいの間から、銀色の輪っかを取り出した。


「そんなところに!?」

「入るのならば、入れるのがつねじゃ」

「はぁ……」


 また脚輪あしわがつけられた。

 今度は無骨な銀細工に青と黒の宝石がついている。


「これはこれでいいな」

「ワンポイントで素敵じゃぞ!」

「あ、ありが……」


 お礼を言おうとするとウビの頭の上に、文字が浮かぶ。


『ウビ。獣人族・キツネ』


「ん?」

「その脚輪あしわの効果じゃ!最初はビックリするが慣れるぞ!」


 ウビがガッハッハと笑う。

 ガサツなキツネだ。


「ウビ、ありがとう」

「おや、フェニックス殿。私の脚輪あしわのお礼がまだじゃが」


 ルフが俺を責めるようにみてくる。

 うっかり教えてもらうほうに夢中になっていた。


『ルフ。ハイエルフ』


「ありがとう、ルフ。ハイエルフなんだな」

「そうじゃ。私はハイエルフの姫であったのじゃぞ」

「いまじゃ、わしの言葉が移った年増のエルフじゃがな。

 千年前は、よろしいかしら?なんて高飛車に言っていたんじゃぞ」


 胸を張るルフをからかうウビ。


「千年前!?」


 いちいち数字がケタ違いだ。


「魔術を操るものは悠久を生きるのじゃ。

 不死ではないがのう。ひゃあ!」


 ウビのしっぽ掴まえたルフがぶぜんとした顔で言う。


「たかだか100年先輩のくせに偉そうじゃのう?」

「100年は大きいのでは……」


 俺のツッコミに彼女たちは目配せをしてニヤリと笑った。


「ヒヨッコにはな」

「お姉さんたちが手取り足取り教えてあげようぞ!」


 俺は、妖艶な二人の魔女に振り回される未来を感じたのだった。


 ◆◆◆

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