自分が何の使命でここにいるのか、生きている意味って何だろうと考えたことはないだろうか? あるいは世界はどこへ向かっているのだろうとか。
陰謀めいた妄想に囚われることなく世界に対しての正しい認識が教養などだとすれば、この小説内ではそれは〈設定変更〉という認識である。
主人公はどうやら流転、変転を繰り返す世界の住人で、わかりやすい言い方をすれば「転生」して生きている、あるいは転生を繰り返して、微妙に前いた世界とは違う世界を生き直しています。
そこはある意味、夢のような世界ではあるのですが、そこにはしっかりとした現実感が伴い、死の物質たる蠍の毒が生産されている戦争の世界なのです。
この小説には奇妙で謎めいていて、何者をも阻むような魅力があります。それをお確かめください。