第5話

「がぁぁぁぁぁあぁあぁぁ!!!!!」


身体が大きく真っ赤な鱗ののドラゴン

もしかして?

いや、今は考察より


「我の声に堪え顕現せよ、ライラ!!」


俺の声に反応し地面に魔法陣が現れ、俺の体を光の粒子が包み込んだ

そんな俺に構うことなくドラゴンは飛来し、俺に牙を突き立てようと襲い掛かる

普通ならドラゴンの牙に貫かれ俺の命はない

だが・・


「がきっつ!!がぁあああ!?」


ドラゴンの牙は弾かれた

ドラゴンは衝撃で一歩後退する

そして


「これがライラの力・・・」


光の中から黄金の鎧に包まれた俺、ソラが出てきた

背中は真っ白なマントを羽織、腰には鎧と同じ黄金の鞘に収まるロングソードと左腕と肩に円盤型の縦が付いてた。


俺は一通り自分の姿を観察する

そして


「派手だな・・」

『そうかな?これくらい普通だよ?』


思わず出た一人言に応えるべくライラの声が頭の中に響く


『それより来るよ?』

「ん?」


「がぁっつ!!!」


俺の反応が気に入らなかったようでドラゴンが吠える

そして顔を引き


「あれは」

『ブレスだね』

「ライラ、行くぞ!!」

『いつでも!!』


俺は腰にあるロングソードを抜く

刀身は透き通るような霞模様、曇り一つないその剣は片側にしか刃はなく刀身からうっすらと魔力が滲み出ていた。


「これは・・」

『これはね、遥か東にある島国で刀と呼ばれてるんだよ。その名も【叢雲】。存分にお使いください』

「了解」


叢雲を構え俺は踏み出すそれと同時にドラゴンがブレスを吐き出した


「くっ!!」


俺はとっさに左腕に付いている縦で防ごうとするも楯は小さくとてもドラゴンのブレスを防げるとは思えなかった

だが


「ん?熱くない?」


ブレスは確かに俺を包み込むように襲い掛かっている

周りを見ても真っ赤な炎の世界だ

だが全然熱を感じないし俺の身体、ひらめくマントすらも熱を感じ燃える気配すらない


『なにしてるのですか?これ程度、ガードする必要はありません』

「そのようだ」


ライラの言葉でようやく頭が働きだし俺はドラゴンの首めがけて跳躍

そのまま叢雲を横一閃に振る

俺的には本当に軽く振った、しかし結果は


「があぁ?」ドスッ


ドラゴンの首が地面に落ちた。


「・・・はは・・はぁ」


先ほどからの驚かされてばかりで俺の心は限界を迎えたらしい

俺はその場にしゃがみ込み深く息を吐いた


★★★


クリスタリア王国王都

王国の首都となるこの場所は大勢の人間で溢れていた

今街の人々が語っているのはある令嬢を愚鈍で下種な婚約者から助ける王子の話


「いやーしかしアネーモ公爵令嬢はほんとよかったよね」

「ああ。なんの取柄もないく努力もしない婚約者バカから平民俺たちの英雄である第二王子、サイモン・クリスタリア殿下に見初められたんだ!!今この国で一番の幸せ者だよな」

「お二人の幸せに」

「「かんぱーい!!」」


街の方々で内容に違いはあるがおおむね似たような話題、サイモンとシルビアの婚約発表に祝杯を挙げていた。

そんな街の入口、外壁を警護している兵士達が遠くから見える大きな魔物の大群を発見し厳戒態勢を敷くべく慌ただしい動きをしていた


「急いで王宮に連絡し騎士団を要請しろ!!魔物大群が攻めてきたと!!急げっ!!」

「た、隊長!!俺たちは・・」

「言うな!!例え無駄と分かっていても少しでも時間を稼ぐぞ!!新兵達は街の人々に知らせ避難誘導をに努めろ!!他の者は魔法と弓による遠距離攻撃を行うぞ!!支給準備しろ!!」

「「「「はっ」」」」


兵士たちはすぐに迎撃態勢を整え外壁の上部に布陣し、魔法射程に魔物達が来るのを待つ

だんだんと近づく魔物達、しかしその動きにはおかしな点があった。

最初に気が付いたの愛する妻に心の中でお別れを告げた隊長だった


「ん?なんだあれは?」


魔物達は一列に、それも引きずられるかのように進んできた

よーく見ると何体かは首を地面に付け動く気配すらない

そのことに疑問を持っていると隣にいる副長が大声を上げた


「な、なんだあれは!!?」

「どうした?」


彼の手には双眼鏡が握られており、大声の後は口をわなわなと震わせ信じられないとうわ言を発するばかりで返答は期待できなかった。


「かせっ!!・・なっ・・・」


隊長は副長から双眼鏡を奪い取り自身の目で状況を確認する

そして絶句した

彼が見たのは大小さまざまな魔物達が縄に繋がれた状態で先頭を歩く黄金の鎧を纏った一人の人間に引きずられていたからだ

魔物達は絶命しているのかピクリとも動かない

隊長は夢でも見ているのかと自身の頬を抓るのであった


★★★


「いや、重いな・・調子に乗りすぎてしまった・・」

『ソラ、いい笑顔だったもんね』

「ああ、こんなに笑ったのはいつぶりだったか・・凄く晴れやかな気分だよ」



ドラゴンを両断した後俺は高揚感からか禁断の森を歩き回り目に付く魔物達を討伐していった。そして気づくと魔物の山が出来ていた


「さてこれからどうするか・・」


気分が落ちついた所で俺は近場の岩に腰を下ろした

ここから俺はどうする?

一番近いのはクリスタリア王都、ここから馬車半日、歩けば1日ぐらいでつくか?

しかし俺はこの国ではお尋ね者・・・ん?あ、間違えた。

俺、もう死人扱いだった。

そしてクリスタリアの法律では・・・

そこまで考えた俺の口角はとても愉快と吊り上げった


『どうするの?』

「ああ、クリスタリア王国王都に向かうよ。ただこれどうしよう?」


俺が後ろを向くとそこには魔物の死体の山、禁断の森の魔物は凶悪な種類が大多数、しかしだからこそその素材は希少で高値で取引されている。俺は今無一文、だからこそこの魔物の死体のお宝の山を捨てていくわけにはいかない

だが、厳選したくてもどれが一番高値かなど俺に分かるはずもなく・・


「どうするかな」

『ソラ、ならさ』


今も俺はライラを顕現させている。

顕現とは星霊の力を具現化し己に身に纏うこと

そして顕現中は星霊を意思の疎通を心の中で行うことができる

便利な力だが俺の考えなどが筒抜けな為若干恥ずかしい

そんなわけで俺の悩みを読み取ったライラはなんでもないかのように告げる


『全部担いで行けばいいんだよ』


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