第3話

「そう・・貴方もここに来るのね・・」


暗い部屋の中水晶をを眺めながら女は一人つぶやく

その声は嬉しそうで悲しそうな声だった

女は一度考え込むとバッと立ち上がり


「準備しなくちゃ!!」


そう言って部屋を出て行ったのだった


★★★


「ここが古の塔・・」


母上と話した3日後、私は古の塔にいた

この3日特に訪問者も無く私は兵に連れられるままここに連れて来られたのだった

古の塔、遥か昔からあるこの塔は謎が多い、外壁は見たこともない鉱石材質が使われており表面がツルツルと輝いている。入口は一つしかなく入るには入口隣にある窪みに手を当てる必要がある。そして中には凶悪な魔物が蔓延るダンジョンが広がっており入ったら二度と出てこられないと言う。なぜ詳しいのか?

実は大昔に大規模な攻略作戦が行われた。

動員された兵は2万名、名だたる将も参加しており誰もが古の塔の攻略は間違いないと考えていた。

しかし結果を悲惨の一言、2万人の兵士のうち帰還したのはたったの2人、行軍の最後尾入口付近で警護していた新兵だけだった。彼らから語られる古の塔内部の劣悪な状況は後の世にまで語り継がれ今では子供のしつけにまで使われるようになった。


「悪い子は古の塔に放り込む」と


そしていつの頃か古の塔は国で厳重に管理され、今では大罪人の処刑場として使われるようになった。


「ささっと入れ!!」


兵に急かされ私は塔の入口に立つ

窪みに手を触れると扉がひとりでに開いた

そして足を踏み入れる


ここで私の人生は終わる

ここに入れば魔法が使えない私などすぐに魔物に食われ生きてはいられないだろう

それでもいいかもしれい

私は必要ない

私のことなどどうせ忘れられる

最後くらい笑って往こう


私は古の塔の中に入った

私が入ると扉が閉まり周り一面真っ暗に染まる

さあ、魔物達よ私を食らえ

せめて一思いに


だが決心した私を迎えたのは獰猛な魔物たちの牙ではなく暖かな光だった


「なっなんだ!?」


目を開いてられないほどの光量に私は目を閉じる

しばらくすると光も収まり私は少しずつ目を開く


「一体ないが・・・は?」


最初は何も見えなかった視界が少しずつ回復し最初に見えたの綺麗に整えられた部屋だった

その中心、品の良い装飾が施されたソファーに座る一人の女性、金の髪に真っ赤なドレスを着た女性は手に持つティーカップを持ち上げ、一口飲んむとほっと息を吐いた。

そしてゆっくりと私の方へと顔を向ける。

その

目元は鋭くどこかにらみつけてるような印象を抱かせ、全体的に気がつよそうな雰囲気を醸し出しているが私を見るその視線はどこか暖かく擽ったい

女性は私に優しく笑いかけると


「ぎゃああああああ!!え!?誰!!?」


大声を上げるのだった・・・


★★★


「あははっ驚かしてごめんね?お詫びに飲み物をどーぞ!!」


そうやって笑うのはライラと名乗る見た目とは正反対の活発そうな女性

私は彼女の体面に座りお茶を頂いている。

3日前からいろいろあった為か飲み物も喉を通らなかったが今は紅茶を楽しむ余裕すらあった。不思議なものだ。

出された飲み物に口をつけると


「んっ!?ん~ゴクン!!うっぱぁ~~!!」


飲み物が口に入った瞬間口の中を突然の刺激が襲った

なんとか飲み込んだが次に襲われたのは腹から湧き上がる猛烈なゲップ、いきなりの事に王族としてとてもはしたない姿を見せる羽目になったが今はそれどころではない。私は持っているコップへ視線を向ける。コップにはまだ半分ほど飲み物が入っており小さな気泡が見て取れた。これはなんだ?と言おうとしたが口が勝手に次の言葉を発していた。


「う、うまいっ!!なんだこれは!?」


驚く私を見てライラがクスクスと笑って答えてくれた


「どう?初めてのコーラの味は?」

「こ、コーラ?」

「そう、今貴方が飲んだのはコーラっていう飲み物。どうかな?」


再度尋ねるライラ、手を顎の下で組んで見上げるように私を見て尋ねる

そんな答え決まっている


「うまかった!!喉を突き抜ける感覚が溜まらない!!このような飲み物飲んだことない!!」

「よかった。なんだか死にそうな顔してから元気が出たみたいだね。やっぱり美味しいものは万能薬だわ~」


そう言ってはにかむライラ

ライラの言葉で私は初めて気づいた

今まで体にため込んでいた重いものが先ほどのゲップと一緒に吐き出されたか、今の気分はとてもいい。私はコップに残っていたコーラを飲み干し盛大にゲップをする。そして


「ありがとう!!なんだかすっきりしたよ}


とライラに笑いかけるのであった。


★★★


「なにそれっ!!!!許せないんですけど!!!!」


気分がよくなった私はライラに今まであったことを話した

不思議な事にライラになら口が軽くなり、今まで口では言えなかった鬱憤も一緒に吐き出すことができた。そのおかげか私にライラほどの怒りはなかった。

というか嬉しかった

私の事でこんなに怒ってくれる人がまだいたのだと

シルビアの時のように騙されているのかもしれない?

だからどうした?

私は自分が信じたい者を信じると今決めた

私にはライラの怒りは本物に見える

ならそれでいいではないか

私は心から感謝を込めて


「怒ってくれてありがとう」


ライラに感謝の言葉を送ったのであった。

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