第2話
「・・・・うっ・・ここは?」
目覚めると私は石の床に寝ていた
体中が痛い・・
「起きましたか?」
「母上・・」
声をかけられた方へ視線を向ければそこには王妃である母が立っていた
鉄格子の向こう側に・・
そこで私は思い出した。あの時事を・・
★★★
「っ!!ファイアボール!!」
私の投げた炎球は抱き合う二人に向かい猛スピードで飛んで行った
だがその炎が二人に届くことはなかった
二人と炎球の間に一人の女生徒が立ちふさがり魔法を発動させた。
「ウォーターウォール」
突如現れた水の壁に私の炎球はぶつかりジュワァと音を立てながら消えていった。
水の壁を残したまま
唖然と立ち尽くす私など眼中にないかのように水の壁を出した者はサイモンとシルビアの前に行き膝をつく
「殿下、アネーム公爵令嬢。ご無事ですか?」
「ああ、ルシア。ありがとう」
「サザマール伯爵令嬢。ありがとうございます。」
「いえ、殿下達ならばあの程度の魔法片手で対処できたでしょう。余計な事をしてしまいました。それはそうと。お二人の様子を見るに殿下、長年の思いが上手されたので?」
「ああ、そうなんだ。今日は祝いだ!!シルビアとは想いが通じ合った記念を祝わなくてはな。皆を集めよ」
「サイモン様・・恥ずかしいです・・」
「お二人ともおめでとうございます」
私を置いて話を進めていく三人・・
そして一通り話し終えた三人は立ち尽くす私に目を向けると
「ああ、兄上ではないか。そんなところで立ってどうなさった?こちらに来て兄上も祝ってくれ。今日はめでたい日だ。なんせ俺が長年想いを寄せていた想い人よ結ばれた日でもあり。王家にとって不要な
「なにを・・うっ!?」
サイモンの言葉に再び怒りを募らせ足を一歩踏み出そうとした時だった。
急に後ろから衝撃を受け私は地面に倒れた。いきなりの事に驚いた私は起き上がろうとしたが倒れている私の背を踏みにじる様に足を置いた者がいた。
「終わったかい殿下?」
「アースか。ああ、計画どうりな」
「それは良かった。じゃこのゴミはいらないか?」
「があ・・」
そう言ってアースと呼ばれた男は足に力を入れな私を潰すように踏みつけた
かかる圧が肺を圧迫しうまく呼吸ができない
「やめておけ。それでも一応王子だ。それにこの後こいつに自身の婚約者と弟を殺害しようとした罪を問わないといけない。そしてシルビアとの婚約破棄、処刑。それに心を痛め悲しむシルビアを私が慰め二人の間に愛が芽生え婚約。その流れにを作るのに必要なのだ。」
サイモンの言葉を聞いた私は満足に呼吸ができないのと合わせて顔を青ざめた。
この後の自分の運命に悲観してではない。
今の話を聞いたシルビアが一言も否定をしない事についてショックだったからだ。
アースと呼ばれる男にサイモンは言った「計画どうり」と、始めから仕組まれていたことだったのか?私がシルビアの姿を追って来ることも・・・
「サイモン様、最後によろしいでしょうか?」
「シルビア?」
「不本意ではございましたがエドワード《それ》は私の元・婚約者だったのです。最後に一言お別れを」
「君は優しいな。わかった。アース」
「はいよ」
それが合図だったのかアースの足から力が抜けた。
抜けたと言っても起き上がれない程度の力は入れられており。私は頭を動かしシルビアを見上げる形で彼女を見た。
そんな私の姿を見たシルビアは口角を吊り上げ
「エドワード様。なんと惨めなのでしょう。これが本来あなたに相応しい姿だったのです。私は長年あなたが私の隣にいる事が我慢できなかった。これでようやく私は自由になれます。さようなら。二度と私の前に現れないで下さいね」
そう言ってシルビアは踵を返しサイモンの元へ歩いて行った。
サイモンはシルビアを傍らに抱き寄せる
そして俺を見下ろし
「これで父上も決心されるであろう。さようなら兄上」
「サイモうっつ」
サイモンの名を呼ぼうとした瞬間胸に強烈な一撃(おそらくアースに蹴られたと思わる)を受け私の意識は暗闇に沈んだ。
★★★
「っつ」
「思い出しましたか?」
全てを思い出した私は胸を押さえ顔をしかめる
痛みはもうない、しかしまるで胸に剣を突き立てられたかのような痛みは残っている。
私が一呼吸入れると母上は言葉を続けた
「意識を失った貴方はサイモンが手配した衛兵にここに運ばれました。貴方のした事を聞いた陛下がそう判断したからです。貴方とシルビア・アネーモ公爵令嬢との婚約は破棄されました。頃合いを見てサイモンと婚約させます。」
「そうですか」
もうどうでもいい
私を必要としてくれる人はいない
私は必要ないのだ
「愚かな事をしたものです。このまま卒業すれば貴方とアネーモ公爵令嬢は結婚、臣下降籍としてアネーモ公爵家に婿として下る予定でしたのに。公爵は優秀な人材です。貴方が婿に入れば王家との関係強化になったものを」
つまり私は公爵を手に入れる為の駒だったのですね?
でも
「私たちの婚約は公爵家の希望ではなかったのですか?」
「ああ、それですか。公爵家は最初からサイモンをと希望していました。しかし当時、サイモンには隣国の王女との縁談の話が持ち上がっていたため仕方なく貴方にしたのです。今頃公爵も相手がサイモンになって諸手を上げて祝杯を挙げている事でしょう」
「そんな・・」
「何です?貴方のような者を誰かが必要としてくれると本当に思っていたのですか?そんなまさか。貴方の様な出来損ないないを愛する者などいませんよ。貴方は3日後北の森にある古の棟に追放という事になりました。すでに貴方には魔法を使えなくする呪印が刻まられています。せいぜい残り僅かの命を大切にすることです。では」
そう言って母上は牢を出て行った
私はもう何が何だか分からなくなりただ茫然と座り込んだのだった。
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