第9話 神様、ありがとうございます。②
倉田(竹原)咲 視点
私と旦那のヒロ君の馴初めは会社の飲み会でした。
会社の同僚という事もあり、名前と顔くらいは知っていましたが、話をした事もなく、どんな人なのかも知らなかったんです。
最初の印象はハッキリ言って良くなかったです。
アルコールが入っていたとはいえ、「俺、精子ないからさ〜、避妊しなくていいんだよ~。」
なんて、自虐ネタなのか、本当かどうか分からない冗談めかした口調で下ネタを言ってたのを覚えてます。
当然私は自分の病気の事もあり、皆が楽しそうに飲んでいる中、あまり楽しめなかったです。
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会社の飲み会から少し経ったある日、人事異動の発表があり、私はヒロ君の部署に異動する事になりました。
そして私の教育係としてヒロ君が選ばれ、一緒に行動する事が増えたんです。
最初は憂鬱でしたが、一緒に仕事をしていると彼が優秀で、優しく、真面目な性格をしている事が嫌でも解るんです。
外回りしていた日、時間もあまりなかったので、コンビニでおにぎりやパンといった軽く食べれる物を買い、公園のベンチで休憩していた時です。
私は飲み会の席で彼が言っていた事が、本当なのかどうか聴いてみました。
彼は困った様な、少し悲しそうな感じで、苦笑いしながら答えてくれました。
彼は24歳の時、結婚する約束までした彼女がいたらしく、二人でブライダルチェックを受けたとのこと。彼女の方に問題は無かったらしいが、彼の方に問題があり子供は望めないだろうとの事。
彼女の親や、彼女自身が子供を望んでいて、お互い嫌いではないが最後は話合いの末、円満に別れたとのこと。
そんな話を公園で遊んでいる子供を見ながら、同情を誘うような話し方でもなく淡々と語ってくれた。
私はその話をしている姿を見て、この人は辛い体験をしたのにちゃんと乗り越えてるんだな~。なんて思ってました。
そこから私は彼の事が気になりだし、二人だけの時にはプライベートな話もするようになり、私の病気の事も打ち明けました。
そんなこんなで、付き合いが始まり、あれよあれよという間に結婚までいったんです。
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そんな経緯がある彼だから、なかなか検査に前向きにはなってくれなかったんですが、何とか説得し、一緒に病院に行く事になりました。
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