第5話 選別方法
方針は決まった。
(自分でもアホみたいな方針だが)
後はどういう風に行動するか・・
出来れば目立ちたくはない。
ラノベでもそうだが、マスコミなんかに付き纏われるのは勘弁してもらいたい。
それについては別人になる事も出来るので身バレする事は避けられるとは思うが。
今の俺に出来る事は病気や怪我を治せること。
なら、どうやって病人や怪我人を探すか?
いや、選別するか。
病院に行って、片っ端から治して行くのは流石に目立ち過ぎるし、身バレの危険が低いと言っても無いな。
どうするのが良いのか・・・
まあ良い案も浮かばないし、日課の御祈祷でもするか。
俺は着替えて、家から神社に移動する。
★★★★★
御祈祷を終え、どうするか考えながら境内の掃除をしているとある物が眼に映る。
そうか、忘れてた!これが有ったんだ!
俺の視線の先には【絵馬】が掛けられている棚があった。
家の神社の御利益は無病息災。
だから絵馬に書かれている事も病気や健康に関わるものが多いんだ。
俺は絵馬が掛けられている棚に行き見てまわる。
探すのは住所、氏名、病気が治るように書かれている物。
最近は住所が書かれてなかったり、名前だけの物だったりで個人を特定出来ない物が多いからだ。
出来れば近所で調べやすい人が良いな~、なんて思っていると条件にピッタリの物が見つかる。
まだ上手く字が書けないのに一生懸命書いたことが分かる文だった。
『お父さんのびょうきがはやくよくなりますように ○○市○○町521 ふじた まゆ 6さい』
「旦那さん、見ないと思ったら病気になってたんだ。」
俺は1人呟く。
藤田さん一家はご近所に住む四人家族だ。
俺は町内会の行事等は立ち場上出席することが多い。
町内の掃除などでは藤田さんと会えば挨拶するぐらいには関係がある。
「調べるのも楽だし、真由ちゃんの願いを叶えるか。」
★★★★★
「こんにちは、お久しぶりです。」
俺は偶然を装って藤田さんの奥さんと接触する。
旦那さんも奥さんも30代前半くらいの人当たりの良いご夫婦だ。
「あっ、青江さん、こんにちは。散歩ですか?」
「そうなんですよ。歳も歳だし健康の為に始めてみたんです。」
俺がそう言うと、奥さんの顔が少し曇る。
予定通りの反応に申し訳なく思うも、その流れで直球に聞いてみる。
「ああ、すいません。そういえばこの前、真由ちゃんが書いた絵馬を見てしまいまして、旦那さんがご病気になったとか?どんな具合いなんですか?」
奥さんはそれを聞いて納得出来たのか、色々と教えてくれた。
入院してる事、病気は癌で早期発見できたので手術で治せると言われている事、でも転移していないか心配だとか。やはり不安なんだろうな、あまり元気が無い様子だ。
ある程度の事は聞けたので、毎朝の御祈祷の際に回復を祈っておくと言って別れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます