第10話 台風接近、見た光景に目が点。な、つぶやき

 ここ数日、台風が世間を騒がせている。

 自分の住んでいる地域も例外ではなく、暴風が吹き荒れていた。

 そんな状況でも、当たり前だが仕事は休みになってくれないので出勤してきた。 

 交通手段は車。

 仕事帰り、そこそこ田舎な我が街は不要不急な外出を控える人が多いのか、はたまた身の危険を感じているからなのか、道路は閑散としていた。

 確かに、こんな天候の時に出歩かなくても良ければそれに越したことはない。

 そう、瞬間風速は侮っちゃいけなかった。横風を受けて、ハンドルを取られそうに何度もなった。

 吊り下げ看板も「あなた鉄棒選手?」ってなくらい回ってる。雨が降っていなかったのがせめてもの救いだった。

「ちょっとヤバいな……」

 神経すり減らしそうな状況なので途中コンビニへ寄った。

 甘いモノ食べて疲労回復だ。そんな気持ちで……。

 車は今しがた通ってきた道路側に向けて駐車させ、買い物も終わり「さて食べるか」と座席で袋をガサガサさせた。


 瞬間、なんだが暴風の音とは違う妙な爆音が……。


 何??


 真夏の夜によく聞くエンジン音。

ほら、ヤンチャな子達がよく乗るバイク。


 目を凝らして見たら、前方の道路を走って行くではないか!

 元々低速で走る事の多いバイク。強風に煽られ、普段以上の低速走行!!

 走りにくそうにしながらも、頑張って疾走する彼等の姿は一種の勇姿に見えてくる。

 いつもは「うるさいなぁ、普通に走れよ」と毒づくのだが。


 がんばれよな……。


 今日は彼等に称賛を送ってしまった。




 




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