VS 緑竜:計略、反撃、本性

◆ 「9-43 緑竜大戦 (5)」より


 俺は葬式場にいた。周りは当然喪服を着た人たちばかりだ。


 視線がすいぶん低く、俺の足は小さく、短足だった。

 黒い革靴に白い長靴下、黒のハーフパンツ。黒いブレザーも着ている。小学校の入学式のような格好だ。


 子供……?


 ――大輔さんのところにお世話になればいいのに。あの人に1人で子供を育てるなんて無理でしょ。

 ――さてね。

 ――明海さん、顔しか取り柄ないのに。キャバだか水だか知らないけど辞めさせられたんでしょ? これまでだって恒義さんが、

 ――おい、葬式だぞ。そういうのはやめろ。

 ――なによ。いまさらあの人の肩持つの? 遺産だけはたんまりあるもんね。

 ――じいさんの遺産は恒義と愛人の山野辺一家の養育費と画家になった奴らへの支援金で、あとは美術館に寄付だがな。

 ――は? そうなの? あんたのは?

 ――言わなかったか? 親父たちが使い込んだんだよ。俺の絵もたいしたもんじゃないしな。だいたい期待するほどの額はもうねえよ。


 これは……父さんの葬式か?


 俺の隣にいた女性が顔を手で覆った。嗚咽がだんだんとはっきり聞こえてくるようになる。


「――なんで……なんで死んだのっ!? ……私一人じゃ何もできないのに!! 恒義さん……うぅ……」


 母さん……? 手で覆っているのであまりよく見えないが、言葉から察するに若い母さんだろう。


 耳をつんざくような声には驚いたが、納得はできた。


 父さんが胃がんで死んだあとの母さんは人が変わったように生活が荒れ、色々とひどかったと聞いている。

 手首や首を掻きむしり、しばらく入院を余儀なくされていた。やがて落ち着きはしたが、退院後は痩せ細るばかりで、ある日静かに死んだのだと言う。合わなくなった結婚指輪を握りしめて。


 近くで座っていた女性が駆けてくる。


「明海さん」


 女性は母さんを抱いた。髪が短いが、若い義母さんだった。


「大丈夫よ、大丈夫……大丈夫だから」


 一瞬本当に義母さんかどうか疑ってしまった。そのくらい義母さんの声音は優しかった。

 同じく傍にきていた義父さんが俺のことを見ていた。若い。言葉こそ口にしなかったが、気にしなくていいんだよ、と労わるような、穏やかな表情だった。


 義父さんの表情に熱海旅行に乗せていった時の老いた顔が思い出される。穏やかな顔は老いてから見せるようになったと思っていた。……




 ――気付けば俺は拘束されていた。背後の木から伸びた末、ベルトのように平らになった樹皮によって四肢を固定されている。

 周りには植物――茎なのかツルなのかは分からないが――による鳥かごのような檻。


 檻は人ひとり分程度のごく小さな収監サイズで、花がまばらに咲いている。

 花のいくつかは緑や紫色の光を幻想的に放ち、花の周りでも同じく視認できるほどの濃密な魔素マナが、光を放ちながら漂っていた。檻から覗く空は青かった。


 どういう状況だ……?


 腕に力を動かすが、俺を押さえつけている樹皮はまったく動きそうになかった。


 それにしても。


 さっきの父の葬式の風景はずいぶん昔のことだ。まったく思い返したことがない類の記憶だった。

 よく脳にしまってあったもんだ。俺には中学生以前の記憶はほとんどない。こうなるとほかにもあるかもしれないが……。


 ふいに木に胸を貫かれそうになったことを思い出す。

 慌てて胸を見るが、穴の開いた形跡はない。幻……? 葬式もか? いや、葬式のは別に幻っぽくはなかったが……。


 再び腕や足に力を入れたがまったく動きそうになかった。葬式の記憶を見る前も檻を破壊できなかったことが思い出される。


 俺はネロに負けたのか?

 ……まあ、そう毎回うまくいくわけないよな。複数で仕掛けられてはいたが、そもそもネロとの戦いはあまりうまくいってなかった。補助を段々と強められるほどにはネロ側に余裕があったし、竜巻にまんまとしてやられていた俺に呆れていたっぽかった。


 というか……体がなんか重いというか。


『起きたかい?』


 そんな時に、覚えのある男と女の声の混ざったような声。


 声のした左前方を見ると、地面に伏せていた鹿のような角を生やしたドラゴンの顔――ネロがいた。

 傍にはケンタウロス。ケンタウロスは杖を向けてはおらず、じっと俺のことを静かに見つめている。


『きみが今経験したのは《春の祭典ライト・オブ・スプリング》というこの世界で私のみが扱える技でね。この大陸にいる知的生命体すべてに効果のある魔法さ』


 知的生命体すべてに……?


「子供の頃の夢を見たのもか?」


 ネロは意外そうに、『なんだ。ずいぶん落ち着いてるね』と俺の状態を評した。落ち着いてる?


 ネロはゆっくりと頭を起こし、巨体も起こした。空はすぐさま巨体と翼に覆われ、俺の元には影が作られる。ネロの後ろにはネロよりもさらに高い高木たちがある。

 ネロはそうして軽く翼をはためかせた。翼の骨格から垂れている無数のツルがなびき、葉擦れ音のようなわさわさした音も辺りに響いた。


 いまさらだが、ネロは翼が結構でかい。このでかすぎる図体で空を滑空する姿はいまいち想像ができないが、飛ぶための翼でないならここまで大きくないだろう。

 それにまたネロはインやジルよりも体長も大きい気がした。人型モードの“軽さ”を見ていると、少し意外にも思えてしまう。


『この《春の祭典》はね。魔法行使阻害、肉体能力の低下、幻を見せる効果、混乱・陰鬱・狂気といった精神錯乱の類、毒に麻痺、……他にもあるが、まあ実に様々な効果を術を受けた者に与える』


 内心で軽く慌てるが、俺の精神状態は至って普通のように思える。体の方も重い以外にとくに変化はない。……重いのは肉体能力の低下か。


『《春の祭典》の効果は状態異常を防ぐ装備をいくらつけてようと無駄さ。もちろんミリュスベの腕輪でもね。……魔法阻害、肉体の弱体化、幻視以外では毎回違う状態異常がかかるのがネックだが、相手の行動を阻害し足止めする技としては《春の祭典》に勝るものはないとされているよ』


 ランダム状態異常系に足止め系最強スキルか……。

 魔法行使阻害に肉体能力の低下もあるとか厄介極まりない技だ。


『気に病むことはない。この技の前に屈さなかった者などいないし、インやジルや他の七竜たちですら幻に捕らえられてしまうのだから』

「……インたちも?」

『ああ。軽く試したことあるからね。もっとも、インは殺したところで再生するし、ジルに至っては植物たちが近づきたがらず、拘束効果はほとんど効果はなかった。彼女は“いつも燃えている”からね。冗談抜きでね。ゾフも似たようなものだ。他のみんなも効果は半減といったところだったね』


 ゾフが燃えているのは黒波ニグルム由来かと訊ねると、その通りだと返される。


『さあ。ダイ。今のきみには選択が迫られているよ。その状態をどうにか脱して戦闘を再開するか、それともここでその生を終えるか』


 ……え? 生を終える? 生は生だよな。


『きみの体からはさぞ大きな霊樹が伸びることだろうねぇ。この世界に生まれてまだ日が浅く、世界との繋がりも薄いがゆえの純粋かつ異質な魂、異質であるがゆえか……我々以上の不遜なまでに膨大かつ濃密な魔力、そして……そのような魂や魔力を際限なく閉じ込めておける特別製の“器”!』


 ネロは最後には感極まった。


 ……何言ってるんだ?


『仮にも我々を束ねる者となる予定だった魂が宿った樹だ。この古き竜の治める地バルフサに認められ、新しい第二の大霊樹となる可能性はおおいにあるだろう……!』


 ――ギャアアァァオッ!!


 ネロはそうして初めて咆哮をあげた。性別的には中性らしいが、ジルよりも野太い咆哮だ。


 大……霊樹? ユラ・リデ・メルファのことか? ……俺がか?


 ビリビリと肌に伝わってくる咆哮による振動に俺の体は震えが止まらなくなった。止めようとしても無駄だった。《春の祭典》とやらの効果かもしれない。


『喜びたまえ!! きみの霊樹は私たちが責任を持って育てることを約束しよう!! 大精霊たちに誓い、このバルフサの大地と木々にも誓おう!! この七竜は一柱である緑竜に任ぜられた使命であると!!』


 ネロは感極まってそう高らかに宣言した。最後にはびっしりと生え揃った、人間など一瞬でかみ砕けそうな鋭い歯を見せながら。この広い森のどこまでも伝わりそうな遠吠えのような大声だった。

 突如として”正体”を現したネロへの戸惑いよりも、恐怖が勝っていた。俺の肉体はネロの咆哮と宣誓にあまりにも簡単に屈した。肉体にもたらされた恐怖が俺の精神へと水流のごとく速やかに伝搬し、たちどころに俺はネロが大陸の覇者であると痛感せざるを得なかった。実際に俺をねじ伏せた実力とともに。


 そして到来したのは死への焦り、もう安寧の日々に戻れないことと俺はこれからどうなるのかという不安だった。

 「樹になる」なんて俺の意志が存在しないに決まっている。言葉通りの植物人間に違いない。


『フーリアハットのあらゆる命を育て、救う霊樹になるだろう。新たな救済の樹だ!! きみのリリアンの宝果よりも甘い犠牲心と心の奥底に眠るザロメンティアの剣のごとき義が、この世界のあらゆる生けとし生けるものを救うのだ!!』


 ケンタウロスも杖を何度も掲げながら、声こそなかったが歓喜した様子でその場を踊るようにまわった。

 季節を無視して鮮やかに色めいた木々が、ネロの宣言を歓迎するかのようにいっせいに梢を揺らし始める。精霊なのか、木々のいくつかには緑色や黄色の光が瞬いていた。まるで祭りの合図、戦争の勝利にでも歓喜するかのように、光は縦に横にと螺旋を描き、踊り狂っていた。


 な、なんだよこれ……。手合わせだろ?

 俺の身の震えは依然止まることがない。

 

「…………俺を、……殺すのか?」

『うん? 殺すわけないじゃないか。きみは“永遠に生きる”のさ! みなから感謝され、崇められながら、この世界の守り樹としていつまでもみなを見守るのさ!! 君がいつでも心では望んでいたようにろくでもない奴も立派な奴も等しく、だ。もっともきみがそれを望むなら、もしくはそうせざるを得ない状況なら、だがね?』


 ネロは後半には愉快そうに語り、アゴを上下させながら高笑いした。


 ……望むわけないだろ…………。


 思いっきり力を込めるが、俺を捉えている木はやはりまったく微動だにしない。《魔力装》も《魔力弾》も念じてみたがやはり無駄だった。くそ。どうすりゃいいんだよ……。

 焦った心境の中で、ダメ元で魔法名を脳内で念じていく。だが、何も動きはなかった。ただウインドウは出てくるようだった。ウインドウだけ無事でもどうにもならねえよ。


 思い切って念じてみたが、切り札である《凍久なる眠りジェリダ・ソムノ》もダメだったことにはさすがに落胆した。


 俺はここで死ぬのか……? イン…………アレクサンドラ……。イン!! インを念話で呼んだが無駄だった。

 そういえばインがネロとの手合わせにあまり乗り気ではなかったことが思い返される。無理やりネロがインを説き伏せたのだろう。もちろん、俺を殺す算段は伏せて。


 姉妹やホイツフェラーをはじめとする戦斧名士ラブリュスの面々やジョーラたちなど関わってきた人たちの顔が浮かんでしまう。

 七竜たちをもっと警戒すべきだった。でも……ルオやフルたちは親切だったぞ? あれも……なにか裏があるのか?


 俺は依然として小刻みに震えている体を無視するように頭を振った。今はとにかくこの状況の打開だ。

 魔法名を再び念じていく。祈るように、あるいは叫ぶように数回ずつ。


 ……やがてもう念じていないのは《灯りトーチ》《微風ソフトブリーズ》《水射ウォーター》のお馴染みではあるがまったく戦闘向きでない3つの魔法しかなくなっていた。使えたとしてもどうにもならないだろう。


 うなだれながらダメ元で《灯り》と念じてみると、俺の眼前に現れる温かな魔力の気配。え?

 諦めかけていた俺の心境に小さいながら希望の光が灯った。


 だが《灯り》は――俺の目の前に現れた《灯り》は、俺の想像していたいつもの小さな火ではなく、一回りも二回りも大きかった。

 また、確かに外部では“燃えている”のだが、燃えている火の内側ではドロップ型の巨大な宝石と血のような真紅色の艶やかな輝きがあった。宝石が発火しているというには火の部分と宝石の部分がなんら違和感なく溶け込んでいた。宝石には大量の魔力にくわえて魔素があった。魔力は俺のだ。


 チリチリとかすかな音と焦げたにおいがあり、見れば俺を捕縛している樹皮の表面が軽く焦げていた。天井の檻のツタもだ。別に接面はしていない。


 これは……始原魔法だ。

 教えてもらったばかりだし攻撃用に使ったことはないが……いけるのか?


 脳裏に浮かぶのは、部屋の天井に届いていたごうごうと燃え盛る火柱。


『それは……』


 俺は目を閉じて念じた。強く。そして、いくらか動揺しているらしいネロから邪魔を受けないよう素早く。


 ――檻や俺を捕縛している木を燃やせ!!


 まもなく俺の眼前には急速的に熱が発生し、魔素も爆発的に増え。爆発の気配を感じて顔をそむけた。

 そうして「ボン!」という鋭い破裂音。音の割に衝撃は多少の風のみだったが、唐突に磔刑の支えを失った俺は軽くよろめいた。


 驚いて周囲を見てみれば、檻はもはやなく、地面に少量の炭らしきものを残すばかりだった。


 手足の枷の木もなくなっていた。同じように少量の炭が手には残っている。煙はなかった。

 足元に輝くごく小さな赤い石ころが点々と転がっているのに気付く。


 目の前には相変わらず宝石めいた火が空中に鎮座していた。内部の宝石の輝きは強まり、外炎への浸食も多くなっている。


『…………驚いたよ。まさか始原魔法まで使えるとは』


 ネロは知らなかったようだ。

 ネロの驚いたという言葉をよそに、ケンタウロスが杖を掲げていた。杖の周りで一気に膨らむ魔力。


 俺はとっさにケンタウロスに向けて再び燃やせと念じた。

 するとケンタウロスが突如“発火”した。ケンタウロスは一瞬で炭になった。俺の眼前の火のような赤い石は一瞬熱を持ち、輝きを強めただけだった。石からケンタウロスへ火が投じられた形跡もなかった。さながら発火能力パイロキネシスだ。


『……へぇ。アドラヌスの聖火と同じか。……インやジルが退屈しないわけだ』


 そうつぶやいたネロは、ケンタウロスに首を向け、彼の最期を見守っているばかりだった。


『だが――』


 と、今度はネロの方からケンタウロスとは比べものにならない量の魔力の膨張を察知できた。

 そうして一転して素早い動作で俺に向けて開けられる口。上下に鋭い歯が所狭しと生えた暴力的な口腔内には白い輝きが漏れ、今まさに溢れんばかりだ。くる――


 だが檻を壊したところで、《春の祭典》の効果のせいか、俺は相変わらず本調子ではないようだった。


 俺はネロの攻撃――ブレスを避けることが出来なかった。


 ジルのブレスの速さには劣るが、ただ、ジルのものとは比べ物にならないほどネロのブレスは範囲が広かった。

 本調子だとしても果たしてまばゆい光で満ちた広範囲光線を避けられたかどうか。俺には分からない。


 ――何も出来ないまま、俺はブレスの直撃を受ける羽目になった。

 視界が一気に白み、目を閉じた中、俺は死を覚悟した。義母さん……義父さん……――


 ……だが、ブレスを終えても俺の体は無事だった。まったくもって無事だ。周囲の地面も変化はまったくない。


 ただ、脱力感が酷い……。俺は立っているのがやっとで腕を上げる力もなかった。何もやる気が起きなかった。


 俺の眼前には多少大きくなった始原魔法の火があり、防いでくれたのか分からないが、輝きがなくなり透けてしまっている。内包していた俺の魔力や魔素もかなり減っている。弱々しい存在感だ。


 突如として俺の周囲の地面からは再びいくつもの太い木が出現し、伸びてきた枝に俺はただちに捕えらえた。

 さきほどの磔刑の時の木と比べるまでもなく木々は数倍太く、伸びてきた枝々は強靭な蛇のように素早くうごめき合い、俺は半ばもみくちゃにされる形でなすすべなく木に埋もれていった。頭以外ほとんど木の中に埋もれてしまった。


『私のブレスは浴びた者からたちどころに戦意を奪う代物でね。《春の祭典》と合わせれば無力化できない者はいない。もっとも、本来なら魔力も枯らすのだがね』


 俺はぼんやりとした意識の中、納得した。

 納得しながら、大陸を統べる最強のドラゴンにしては悠長なブレスだと思った。ネロはそういうタイプのドラゴンなのか……? でも、あの竜巻はきつかったな……。


『…………前々から思っていたが。きみはこの世の理を無視しすぎている。この世界で着々と育まれ、厳戒に守られていた理をきみはあまりにも容易に無視し続けている。七竜というバルフサで最も強大な存在を目の前にしても』


 理……?


『我々にしても理を脱却できずにいるというのに。……羨ましいとすら思うよ。きみを捕らえられる者はもはやこの世界に存在しないかもしれないな』


 ネロは視線を彼方にやりながらつぶやくようにそう語った。諦念を多分に含んだ静かな口ぶりで、冗談っ気は欠片もない。


 規格外だと言いたいんだろうが、俺だって好きでやってるわけじゃない……。今だって拘束できてるじゃないか……。


『まあ……たとえきみがこの世界の理を破壊し続け、誰も到達できない純理を発見し続ける者だとしても、今の私はきみの一歩先をいくことが出来る。例の氷の大規模魔法はここでは通用しない』

「え……」


 《凍久なる眠り》もダメなのか……?


『当然だろう? 私がわざわざ氷像になりにいく愚か者だと思ったのかい? そんな愚か者は七竜にはいない。事前にどのような魔法が来るのか分かっているのなら封じることはできる。たとえ、理から外れている魔法だとしても、魔法であることには変わりない限りはね。私たち七竜をなめるなよ』


 ネロの言葉は相変わらず静かだったが、いくらかの怒りも内包しているように思えた。

 俺は……七竜をなめてたのか……? なめてたんだろうな……。


『私はきみと戦うにあたって対策を練ってきた。本来なら大陸に終末を呼ぶこむ類の魔人への対抗手段だった。600年以上もの間、私や精霊たちが魔力を注ぎ続け、効力を上げ続けてきた設置型の大型魔法だ。ジルにはよくからかいのタネにされるがね』


 設置型の大型魔法……。


『どんな魔人でも倒せるようになるレベルダウンの魔法さ。理論上は150はレベルを落とすことができる。フーリアハット以外で使うには大幅に効力は落ちるがね』


 ……レベルダウン?

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