とある神父が最期の瞬間、胸の裡に思い描いた人知れない懺悔のお話。
ボーイズラブ的な作品です。
この「的な」というのは、「作中で実際に恋愛関係などが成立するわけではない」という意味で一応留保したのですけれど、でも大きな括りではBLと言って差し支えないと思います。
時代の大きなうねりの中、戦火に翻弄された人々の、その生き様というか死に様を描いた物語。
とどのつまりは悲劇です。悲しくつらい現実のシビアさが見どころの物語。
主題のもたらす緊張感、「教導的な立場にある聖職者が、信徒に対して抱く性的な情愛」という題材のヒリヒリ感がすごい。
大状況である戦争とは一切関係なく詰んでいるというか、なんなら想いそのものは互いに通じていたこと、それ自体が最大の悲劇だったりしかねないところがなんとも強烈です。
あまりにも壮絶な、胃にくる感じの重いえぐみが魅力の物語でした。