第3話 存在していた共通点
数日後、頭痛に悩まされていた真夜美は、近所の薬局で薬を購入したかったが、いつもなら営業しているはずの時間に、シャッターが下りていた。
その日は、薬に頼る事を断念し、安眠効果を狙いホットミルクにハチミツを入れて飲み、早々に就寝した真夜美。
その甲斐あって、翌朝、真夜美は、頭痛からも解放され、スッキリと目覚められた。
いつも通り新聞の発火死亡欄に目を通そうとすると、そこには、見覚えの有る近所の薬局の奥さんの名前が載っていた。
と同時に、地域版の記事には、その薬局が安全性の確立されていない『無承認無許可医薬品』を取り扱っていた旨が記載されていた。
「嘘みたい……あんな人当たりも気前も良い感じの夫婦だったのに……」
その薬局の常連客となっていた真夜美にとって、その事件は衝撃が大き過ぎた。
「だから、人は見かけによらないって言ったろう! 真夜美はお人好し過ぎて、騙されやすいから気を付けないと!」
目に見えて落ち込む真夜美とは正反対に、サバサバと受け流している様子の健治。
「でも、そうなったらやっぱり……宇宙人達は、私達の行動を逐一観察していて、世に出てない犯罪や、指名手配犯を狙って発火させているのかも知れないわ!」
「確かに、発火死した人達は、何らかの犯罪に関わっていながら、警察にバレずに、しらっとして普通に生活をしている人もいるのかも知れないな……」
発火死亡欄の名前や年齢や前科の有無と、昨日の事件欄を見比べながら、やっと検証する姿勢を見せて来た健治。
こうして、上手く捜査の目を潜り抜けて隠れて来た犯罪が、どんどん白日の下にさらされる機会が増える事を期待した。
「健治は、どんなに私達が貧しくても、絶対、悪に手を染めたらダメだからね!」
健治の出勤前に、いつものようにハグした後、身を離そうとする健治を尚も強くハグし続け、念を押した真夜美。
「ははは、真夜美は心配性だな! 俺が、悪事に手を染めそうな男なんかに見えるか?」
「ううん、健治に限って、そんな事は無いって信じている! でも、私の推測が外れる場合だって有るかも知れないし……とにかく無事、発火しないで今日も帰って来てね!」
健治を送り出した直後、真夜美はいつものようにいそいそとパートへ向かう準備をして出かけた。
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