第23話 その目は何を見る
その凍てつく瞳は翼と同様に片方は翠色、もう片方は紅色をしていた。
その魅力に一瞬、目を奪われそうになるが二色羽の眼力に殺意を感じて我に返る。
だが、奴はそれよりも先に二本の剣を構えて俺に飛び込んでくる。反応が遅れた俺は何もすることができない。
「ジョースケ! 手を離して!」
リティナの声が聞こえたかと思えば、俺は下から突き飛ばされるように宙に舞う。だが、それにより二色羽の斬撃が逸れる。
この時、リティナが咄嗟の判断で俺を風魔法で飛ばしてくれたおかげで助かった。
二色羽の背後を取った俺はショックガンをすぐに取り出し撃つ。放った閃光は彼女の翼に命中する。
「やったか」
しかし、二色羽は勢いそのままに上空へと方向転換してその場を離れる。そして、空の上で羽ばたく奴のその目は俺たちを睨みつけていた。
やはり、チャージせずに放ったことと撃った箇所が翼だったため、二色羽を気絶させるには至らなかったようだ。
「やばいよ、またあいつ襲ってきそうだよ」
「ああ、なにか手を打たないと次は確実にやられるな」
その時、
「今だ、撃てー!」
と女性指揮官の大声が戦場に響き、二色羽に目掛けて散弾や矢が放たれる。その飽和攻撃で味方の誰もが奴を仕留めたと思った。
けれども、二色羽は剣の舞を踊るかのように華麗にそれなら弾き防いでいく。
「嘘でしょ……」
「これでも駄目なのか……」
味方の誰もが勝てないと悟ってしまう。
だが、あの大声が味方を怒鳴る。
「諦めるな! 諦めるのは死んでからにしろ!」
逆境でも女性指揮官は諦めず、この無茶苦茶な言葉を言い放ち抗う。
その言葉に俺は爆笑してしまう。だが、不謹慎なこの快刺激が停滞していた俺の思考を閃かせる。
「そうだな、諦めるのは死んでからでもできるな!」
俺はもう一度、二色羽に抗うためレーザー兵器の手を掛ける。そして、奴に発射口を向けて腕時計コンピューターに計算させてある軌道を導かせる。
「サウナ砲隊、まだ諦めるのは早いぞ。散弾を俺の合図で撃てみようぜ」
その言葉を言い放つ。それにより、諦めかけていた彼女らの目に抗う意思が宿る。
「はい!」
「はい!」
彼女らの気合に入った返事とともに最後の抵抗を試みる。その間も二色羽の目は俺を睨み続けながら、飽和攻撃を対処した。
そんな圧倒的な二色羽の戦士の目を見ながら俺は中指を立てて、
「かかってこい、対色クソ鳥」
と煽る。その行動を知らない二色羽でさえも、自分が煽られていることがわかるほどであった。
そうして、煽られた二色羽の彼女は俺を確実に殺そうと殺しに掛かってくる。
「さすが、鳥頭。煽りやすくて助かったぜ……。撃てーー!」
その合図と共にサウナ砲隊がダイヤモンド散弾を放つ。だが、それを二色羽は難なく避ける。
その直後に俺もレーザーをぶっ放す。二色羽はそれもすらも華麗に避けて突っ込む。
この時、彼女は俺の瞳の奥を覗いてやっと気づいたのであろう。俺がもう自分の目を見ていなかったことに。
そうして次の瞬間には、避けたはずのレーザーが小さなダイヤモンドに反射し、二色羽の翼に穴を開けたのであった。
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