第20話 輝石の兵器

 「んぐぐぐ、やっぱり気絶したかぁー」


そう言って、俺はまた昨日と同じような朝を迎える。もう2回目にもなるとしっくり感を覚え始める。


昨日も俺の臭いで彼女らは酩酊して過度なスキンシップを取ってきたのは覚えているが、そこから先はやはり気絶して覚えてない。


当の彼女らは昨日の疲れを感じさせず、パワフルに防衛拠点の外壁パーツを取り付けている。 


 天羽族の来襲まで残りされた時間はあと1日。それまでに俺はサウナ筒砲よりも強力な防衛装置を作らなければならない。敵は確実に前回の失敗を踏まえて対策を講じてくる。


故に、それを上回る兵器を作るのだ。


「で、何を作られるんですか?」


と、急に工房班責任者のアリカが後ろから声をかけてきた。


「うぁ、びっくりした……てか、なんでここにいるの?」


「それはジョースケさんが依頼された追加の建材を運ぶついでに、応援に駆けつけました」


「なるほど、確かにもう頼んでた建材は作り終えたから暇になるよね」


と周りを見ると、ほかの工房班の面々も合流している。これだけ人手がいるなら構想している兵器はなんとか間に合いそうだ。


 そうして、俺は工房班を集合させてこれから作る兵器の説明をし始める。


「これから作ってもらうのは、ダイヤモンドっていう輝石で…見てもらった方が早いか」


そう言って、俺は用意した器具と石炭をコークスに加工する際に出るメタンを使って人工ダイヤモンドを生成する。


米粒ほどの大きさではあるがその美しさに工兵の彼女らは興味津々な様子で釘付けになる。


「すごい、こんなに輝く石は見たことない」


「ずっと見ていたいです」

  

「まぁ、これ使って防衛兵器作るんだけどね」


その俺の言葉を聞いて彼女らの顔が曇る。悲しいけど、戦いが終われば装飾用に作るから許して。


「えっと、とりあえずこの輝く粒をいっぱい作ってもらうから。各自、俺の用意した器具でどんどん米粒ダイヤモンド量産しちゃって」


と、言って彼女らにダイヤモンドの量産を任せた。一方の俺はダイヤを使ったレーザー兵器を作るため、腕時計コンピューターを駆使しながらパーツを

加工および溶接していく。


そして、粒ダイヤがある程度生産できたところで、レーザー兵器の心臓部とも言える集光装置に取り掛かる。


「うわ、掴みづらい。想像と違って掴みづらい」


俺はまさかの粒ダイヤを掴めないことにより、悪戦苦闘してしまう。


「あの……代わりにその作業しましょうか?」


「うーん、お願いします」

 

と見かねたアリカ達が俺の代わりに超繊細な作業を行ってくれる。その間、少し手が空いたのでサウナ筒砲にライフリングを加えた改良版を残った工兵らと一緒に2基作る。


「出来ました」


とアリカが集光装置が完成させ、なんとかレーザー兵器が完成する。試し打ちでも目立った異常はなくレーザー光が大きな樹木に穴を開ける。


そうして、俺たちは天羽族の襲来前日に防衛拠点を完成させるのであった。

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