第17話 現地組指揮官オリグー
ようやく、俺と建材パーツを乗せた船が予
定地に到着する。
整地されて間もないのか、掘り返されたあの独特な土の匂いが当たり一面に漂う。それをかき消すように資材がどんどん搬入されていく。
現場の工兵たちは目新しい道具や機械の使い方を頻繁に聞いてくる。
「おーい、ジョースケ、これどう使うんだ」
「これはここを押し続けると上がる仕組みになって…」
また別の子は
「これはー?」
「こうすれば簡単に使えるよ」
やはり、工兵をやっているだけあって彼女らは俺の教えたことをすぐに覚えていく。予定よりも組立作業は早く進む。
だが、俺自身少し思うところがあった。
拠点を作るのは無事終わりそうだ。だが果たして、それで空から来る大群を迎え撃つ事はできるのだろうか…
対空装置が必要なのではないだろうか、前に即席で作ったサウナ筒砲よりももっと強力なものが…。
「だが、それにはもっとエネルギーがいる。それこそ、入浴施設をフル稼働させてお釣りが来るぐらいのものが…」
「なに、ブツブツ言ってるんだ?」
俺の考えていることが独り言して出ていたようで、それを現場指揮官のオリグーに聞かれていたようで、
「ジョースケ技術顧問も大変そうだな。ハハハ、どうだい少し身体を動かさないか? そうすれば頭もスッキリするもんだぜ」
そう言って、オリグーは爽快な笑みで俺を誘ったので、二つ返事でそれに乗った。
◎○▲△
「ヨイショー、ヨイショー」
「ヨイショー、ヨイショー」
「よ、よい、しょ〜…」
少し身体を動かすって聞いていたから軽いものだと思っていたが、まさか土塁を作るのを手伝うことになるとは思ってなかった。
「もうへばったのかい? ひ弱だねー、男っていうのは」
「ぜぇぜぇぇ…まだまだ…」
俺は全身の筋肉が悲鳴を上げながら、もう少ししか出なくなった力で土塁を作っていく。
「アリカにお礼を言ってもらったか?」
「ええ、妹さんを助けてくれてありがとうって…」
「そうか、あたしからも礼を言うよ。あたしとアリカとは幼馴染みたいなもんで、よくアリカの妹も遊んでたからさ」
「知り合いを助けれて…良かった…よ…」
「そうか。しかし、まさかその恩人と一緒に土塁を作っているとは不思議だな、ハハハハ。」
オリグーは豪快に笑いながら、土を積み上げていく。俺も積み上げようとスコップを掘った時、硬い石に当たる。
なんだ、また石か。と思い退かそうとして見ると黒々しい石である。もしやと思い分析スキャンをかけると
結果:石炭
「マジかよ…」
よもや、偶然にもエネルギー問題を解決方法を土塁建築中に見つけるとは驚きである。
その瞬間、俺は体力の限界をど忘れしたように狂い掘りしていくのであった。
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