第9話 即席の案
俺は何事かと10秒で服を着て様子を伺うと、キャンプのある大樹の上を数十人の天羽族らしき集団が飛び回っていた。
無数の悲鳴が聞こえてきて、天羽族の奇襲でキャンプが混乱状態だとすぐに理解する。
すぐに加勢しなくては行動を起こそうにも、間の悪いことに肝心のショックガンのバッテリーはお湯を沸かすための装置に組み込んでいて使えない。
「は、離して! 誰か、誰か助けて! 」
「やだーー! やだーー! 」
向こうの方から、天羽族が数十人のエルフィン族の少女たちを連れ去られようとしている様子が見えた。
少女たちを誘拐した天羽族の一行は俺の作業工房の方角から逃げようとしている。
「なんとか救わないと、女の子たちが危ない」
何か手はないかと脳細胞を総動員して考える。
その時、めちゃくちゃな案が思いつく。
だが、迷っている時間ない。俺はその一か八か賭けるしかなかった。
すぐに湯気をサウナ室へと送っていた排気管を急ピッチで変形させて、即席の固定式長筒に改造する。弾の代わりに余っていた小型の鉄パーツを突っ込む。
そして、俺は湯沸かし装置を限界まで稼働させた。
カタカタカタカタ
筒が歯ぎしりのような音を立て始める。腕時計コンピューターの測定からすでに狙いは定められており、
ブシューーーー!!!
水蒸気の雄叫びのような音とともに鉄パーツが発射される。
「ガハッ…」
一発目は、見事に天羽族の兵士の腹部に直撃。捕らえられていたエルフィン族の少女が落下していくが、樹の枝に捕まて難を逃れ、
「ありがとうーー!ジョースケさーん」
「やっぱ、運動神経は子供の頃からすげぇんだな」
彼女の無事な声を聞いて、要領を理解すれば、後は次々と装填、発射を繰り返して連れ去られようとしているほかの少女も開放していく。
天羽族のある者は、武器でを防ごうとするが武器を破壊されてしまい直撃。また、ある者は避けようとするが、俺は鉄パーツに傷をつけて変化球のようにして直撃。
残り、数人となった時、天羽族が捕虜を全員捨てさり逃走を図った。
「逃がすか」
と狙いをそいつらに定めて撃っていく。
だが、意識が逃走兵ばかりに向いていた。
「一緒に来てもらうぞ」
かなり俺に怒りを覚えた女の声を聞いた瞬間には、俺は背後から近づいていた天羽族のひとりに連れ攫われてしまうのであった。
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